第08話 竹取の翁という者が・・・・・
学校ぽい施設の鍵.......鍵穴に差し込む方または現実離れした方法のどちらからも探した。
この世界が生前にいた普通の日本であったのなら、鉄製または真鍮製の鍵か細くて堅い金属の棒(針金)で扉を開ける事が出来たであろうが、ここ、この世界はほぼ間違いなく私が生前に生きていた日本とは異なる世界だと思う。
そんな訳で、物理的な鍵だけでなく、扉を開ける為の条件や方法等も探した。
丸々、二日もかかったが何とか、扉を開ける方法が解った。
結論から言って・・・・・・・・・・・
予想通り、あの施設は学校ぽい見た目だが勉強等を学ぶ為の施設ではなく、【住居寄りの役場に近い】存在だと蔵の荷物の中から出土した紙の束にその事が記載されていた。
あの施設の扉の鍵についてなのだが、”鍵”という概念のモノはなく、”守護結界”という魔法に近い何かで守られており、扉を開けるには近くにあった井戸からくみ上げた水でこの身を洗い清め.....所謂、水垢離を行う必要があるとの事だ。
水垢離を行うには、幾つかの手順を踏まないといけない。
井戸に備え付けられた”ガチャポンプ”の穴に、綺麗な水を注ぎこみ、”呼び水”を行う必要がある。
で、その呼び水を行うに必要な”きれいな水”を何処かで採水しなければならない。
きれいな水は、学校(仮)の裏手にあった弓道場跡地の更に奥にある”清められし竹林”の最奥にある【癒しの泉】が湧き出る”試練の洞窟”の奥まで行く必要があるとの事だ。
先ず、その洞窟に行こうとしたんだが、弓道場跡地から洞窟までにある”自生竹林”の手入れもとい竹の剪定を行う必要がある。
洞窟まで徒歩数十分の距離と記載されていたが強行突破した場合、『行きは良い良い、帰りは怖い』なんて事になる。.........ん。何か一瞬頭を過った様な.................ああ、某脱出ゲーにそういうシチュエーションがあったな。あれ?.......1作目?....2作目?....だっけ。あれと違って、笑い泣きしながら補給物資探索者を待ち構えている魔女の名を持つ何かや筋肉ムキムキ仁王立ちしてる何か、咳き込みながら執拗にストーキングしてくる何か等がいないだけマシだが。
という事で・・・・・先ずは洞窟に行く・・・・・の前に、洞窟までの道を確保する為に余分な竹を根元から切り倒す必要がある。
切り倒すのに必要な道具は、蔵の中にあった。
竹切専用のちょっと価格の高い専門職御用達のノコギリとナタが三本ずつ見つかった。あとついでに、最近見かけなくなった麻縄も手に入れた。
それらを同じく蔵で見つけたそこそこ丈夫な布に包むと、弓道場跡地に向かった。
この竹林の竹はやや平面に近いデコボコした土地に育っている為か、木材の代わりとして色々使えそうな真っ直ぐで太さも硬さも申し分のない良いモノだ。
これだけ良い竹なので適当に剪定という名の間引きをするのではなく、なるべく無駄な傷を付けない様に慎重に切り倒したい。
竹だけでなく他の木もそうだが、一気に切り込むのではなく、切り倒したい方向から幹の3分の1まで切り込みを入れ、ロープ等で切り倒したい方向に軽く引っ張る様に重心を寄せ、引っ張った状態をキープしたまま残りを切る。この誘因を行うのは一気切りを行った場合、任意の方向に倒れる事は殆どなく、大抵切り込んでいる方向(ギーコギーコやっている人のいる方向)に向かって倒れてくる。竹でもシノビ竹だとか、幹の肉厚の小さい軽い木であれば然程惨事にはならないが、これが真竹や孟宗竹等の太くてしっかりとした竹に育つ品種の場合だと大惨事になる。
また、この場に二人いるなら、倒す方向に切り込み入れて引っ張り役に引っ張って貰いつつ、切り手が残りを切るという三段構えで済むのだが、現状この竹林にいるのは私のみだ。
そこで最初の切り込みから縄を掛けて引っ張る所までは同じで、引っ張ったロープを少し離れた頑丈そうな竹数本の根元付近に結びつけてから、残りを切る。
精神的に疲れはしても、この肉体?
肉体的には疲れない。
同じ作業を”永遠”(限りはあるけど)とやり続けるには、私の精神はひ弱だ。
これが、レベル上げ.......というかステータス系概念のある世界であったのなら、喜々として同じ作業をやったと思う。
余談として.......生前、RPGとして好きだったのはド○クエよりは人気の無いマイナーゲーと云われていた『シェ○ザー○』というゲームを好んでプレイしていた。人気RPGゲーではまったといえば『F○7』や『○F9』、ちょっとRPGというジャンルでなかったかも知れないが『女○転生ペ○ソナ』にははまった。RPG系以外に含まれるが何度か繰り返して遊ぶ系の中に含まれる『バ○ドシリーズ』、『デ○エルセ○バー』には特にはまった。
うむむ。よ~く考えたら、もう二度とファ○コンや○Cエン○ン、パ○ゲで遊ぶ事は出来ない.....orz
気をとりなおして.....さて。
木こりしますか。
お読み下さり有難う。ちょっと短いですが話がほんの少し前進します。
分かり易い伏線を大量投入してみました....。
誤字等見つけたら、それとな~く報告して戴ければ幸いです。
20160510 一部誤字修正。