第04話 謎解き型脱出ゲ?
お読み戴き有難う。
朝になり、真っ暗闇の空間に光が差し込み、ある程度見通せられる光量となったので作業を再開した。
左手がそこそこ自由に動かせる様になったので、更に隙間を作る為、左手側の箱をゆっくりと押してみた。
すると左手側の箱が左奥側に崩れ、完全に動かせるようになった。
右前の箱....顔下まで積み重なった箱を慎重に右斜め前に押し出す様に、左手で押してみた。
続けて、右側に山積みされた箱をゆっくりと慎重に右側に崩す様に押し込んでみた。
__作業開始から数時間。太陽の光の位置から、たぶん昼前後。
顔下まで積み重なっていた箱全てを各方向の奥に崩す様に押しのける事に成功した。
作業途中で気付いた.....凄く気になる事。
何故か、私は日本の武士鎧ぽいモノを身に着けている様だ。
両腕を見ると、五月人形が着けている武士鎧の籠手ぽいモノを着こんでいる。
自由になった両腕を曲げ、私の顔の辺りを触れてみた所、兜を被っているのが解った。
着こんでいる鎧が邪魔で思う様に下を向く事が出来ないが、ぱっと見た感じではそこそこの位に就いた武将が着こんでいる武士鎧である事が伺える。
詳しくは、未だ埋まったままの下半身を掘り出してここから外に一度脱出した後、再度室内に入り鏡かそれの代用となるモノを探す事にした。
__今日の作業開始から更に数時間。
私の周りを埋める様に囲んでいた箱の山は全て周りから退かせる事に成功し、慎重に箱の上を恐る恐る慎重に出口に向かって歩き出した。
出口に辿り着いたのは良いのだが、また更なる壁が.....。
文字通り、木の壁というか分厚そうな木の扉なのだが押しても引っ張ってもビクとも動かない。
このままではまた陽が沈み、扉の前で真っ暗闇が明けるのを待たなくてはいけなくなりそうだ。
ただ待つのでは時間が勿体ないので、この背中の向こうにある扉を開けるのに使えそうな道具はないか探す事にした。
先ず、試しに直ぐ手前にある箱の梱包紐を解き、箱の上蓋を開けてみた。
箱の中に入っていたモノは・・・・・
縦50、横300、高さ40mmの粗目の長方体型砥石が三個と、同じくらいの大きさで目の細かい砥石が二個。藁状の袋に入れられた黄色ぽい砂ぽいモノ(砂砥石)が一袋。
・・・・・。
気を取り直して・・・・次の箱は・・・・・
黒い大きな皮状の布に包まれているコレは・・・・和包丁?
唯の包丁ではなく、種類は色々あり、1..2...3...4...5.........十本も色んな形のモノがあった。
この蔵の持ち主は日本料亭の相当腕のたつ包丁人....?
料理を趣味にしている者や主婦ではこの様な代物は使わない。現代系のステンレス製やセラミック製と違い、包丁職人(祖が刀匠)が作る錬製モノは購入金額もさる事ながら、それ以上に日々のメンテナンスが難しく、ステンレス包丁(型貫又は鋳造)と同じ使い方や手入れを行うと碌な事にならない。
因みにダイ○モンドシ○ープナー系砥石の使用は切れ味や包丁の性能を著しく劣化させるので注意。偶に街中で実演している研ぎ専門の職人か刀匠系職人に任せるのが吉。
余談だが、作者は幼少時に某時代劇の影響で砥ぎの世界に魅了され独学で覚えました。納得いく仕上がりに砥げる様になるまで十年かかりましたが。
三つめの箱の中身は・・・・・・
色々な和風柄の布が束ねられたモノと、和服問屋等で見かける織物の布をロール状に巻いたモノが十種類。
包丁人ではなく.......問屋?
・・・・・・・・。
ええ~い。もう焼けだ。適当に片っ端から梱包を解いて中身を漁ろう。
薄暗くなる直前までで入手出来たモノが・・・・こちら。
荒縄で纏められた新品の20cmくらいの仏壇に使えそうな蝋燭三十本、
火打石五つ(内一つはヒビが入っている)、
荒縄を束ねたモノ一巻き(長さは結構あると思うが、ココで広げる事は出来ないので正確な長さは不明)、
和装製本された書物数十冊(一箱分)、
焼き物の壺に入った梅干し三壺(重さから合計十キロくらい)、
ソフトボールの一号サイズの大きさの琥珀の塊が十個(売ったら金持ち・・・)、
布袋に入った、一銭硬貨が・・・1...2....の3.....の........百四枚、
色違いの布袋に入った、朱金(朱色に塗られた小さな金の粒)が・・・・1...2...3........二十粒、
百円札が・・・・・十枚、
紫色の布袋に入った何処の国の硬貨か解らないモノがじゃらじゃら・・・・、
綺麗に和紙で梱包された七輪が一つ、
竹を割る際に使う平べったい鉈ぽい手斧が三本、
古めかしい青銅鏡が三枚(ついでに私の顔を映したかったがさび付いていてはっきりと解らない)、
形状的に勾玉と思われる石が各色十五個ずつ、
さび付いた十手 二本 など。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
何....? この統一性のないモノ....。
唯一、ここからの脱出に使えそうな手斧を手に持ち扉に切り付けてみたが・・・・・
・・・・・・この扉・・・・・おかしい・・・・・。
どっからどう見ても木製の扉なのに・・・・傷一つ・・・・付けられない・・・・。
何度も・・・・何度も・・・・手斧をふるっているのに、扉はびくともしない。
・・・と。
・・・・ああ・・・・陽が落ちて来た・・・・
が。
今回”は”、大丈夫。
先程漁った箱の中にあった蝋燭に火を灯す為、要らない布の切れ端を箱から入手した青銅製の器に糸を解して入れ、火打石で火花を糸と布に打ち付けた。
数回カチカチ叩きつけて布に種火が付いたので火が消えない様に百円札1枚を捩じったモノで火力を上げ、そこに蝋燭の紐部分に火をつけ、扉横の蝋燭台に載せた。
ちょっと薄暗いけど、これで夜間も作業が可能となった。
後は蝋燭が燃え尽きる前に新しいモノに火を移せばOK。
・・・・・・・。
こういう作業してると・・・・・昔に・・・・・サ○ーンでやった某ゲームを彷彿させる。
探索して、日常系の何気ない道具を入手して、道具同士を組み合わせて、脱出する為の道具として使う。
よくよく考えたら、今、私がやっているコレってそれにしか思えない。
あのゲームと違う点は、ヒロインの美少女を助ける為ではなく、転生したっぽい私が脱出する為・・・・・という点かなぁ。
何のゲーム....かって? ヒント:1作目。バスの運転手がは(ry