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プロローグ

「ちょっと、ほらほらあそこ。こっそり見て。ルーディス様とリディア様のお姿を」

「いつものことながら、なんて微笑ましいのかしら」


ここは緑の景色が広がる、丁寧に整備された庭園。花々は咲き誇り、鳥たちは天高く空を舞い、さえずりを聞かせる。庭園の掃き掃除をしているメイド二人の頬を綻ばせているのは、彼女達の視線の先にいる二人の子供だった。


「ルーディス様とリディア様の髪が太陽に当たり、まるで金の糸みたいに輝いているわ」

「本当、可愛らしくて、絵になるお二人。いまからあんなに見目麗しくて、大人になったら、どうなるのかしら」


トピアリーガーデンの茂みの中、芝生に座り、何やら会話をしている。

しゃがみ込んだ二人は、どうやら茂みに隠れてるつもりなのだろうが、遠目でも目立つ二人組だ。その場にいるのだとメイド達は把握していた。

なぜなら二人がこの庭に集まって遊ぶのは、いつものことだからだ。


こそこそ囁きあったり、時には大きな声で笑ったり。たまに言い争うこともあるけれど、女の子の口達者さにはルーディスもたじたじになってしまうようで、いつも負けていた。そんな二人が仲睦まじく、二人だけの世界で遊んでいる姿は、見ているメイド達の心を和ませていた。


二人は太陽の恩恵を受けて輝く金の髪に、キャッキャッとはしゃぐ声は鈴の音のごとく。

時折ひそひそと聞こえる内緒話は何を語るのかと、メイド達は微笑ましく思っていた。

リディアは由緒正しき、この侯爵家の娘。そしてルーディスは、リディアと大変仲の良い関係であり、お共を連れて、よくこの屋敷を訪れていた。性別を超えて仲の良いお二人を、周囲の者は皆、温かい目で見ていた。


そんなお二人は、今年で九歳になられる――


「そんでよ、俺のこと、子供だと思ってるから、いちいち風呂にまでついて来るんだ。そして三人がかりで体を洗うんだぜ」

「わかるー。お風呂ぐらい、一人で入りたいわよねー」


緑の茂みに隠れて、こそこそと話す二人の声は明らかに不満そうだ。声のトーンも下がっていて、周囲の誰の耳にも聞こえてはいない。

その口ぶりからいってこの二人は、自分達が周囲の人間から見て、保護が必要な子供だということを、いまいち理解していないようだ。

だがしかし、どこからどうみても子供なのだ。


「あああ、なんでこうなった!俺の人生!!」


ルーディスが、金の髪がさらさらしている頭をかきむしりながら叫んだ。


「しっかりして、ルーディス。私も同じ立場じゃない!!」


リディアがすかさず慰めに入るのは、いつものこと。実は、彼らには重大な秘密があったのだ。


「いきなり目覚めてみれば俺は赤ん坊。そして異世界とくれば、驚きを通り越して、何も言えないよな」

「うん、うん。わかる。私だって、目を覚めした先はいきなり知らない世界で、ここどこよ!?状態。文句を言えども口を開けば、オギャアギャオギャアと、言葉にならない赤ん坊。参ったわ」


リディアのツインテールが、うなずくと共に風に揺れる。

太陽の光を浴びて輝く姿は、世間から絶世の美少女と呼ばれている。サファイアのごとく輝く瞳は、吸い込まれそうだと評判だった。

そして目の前にいる、ルーディスもまた、金髪碧眼の王子様のような姿。……というより、本物の王子様なのだから驚きだ。

ルーディスの母である正妃、クレア様譲りのこの美貌は、将来有望だと皆が口を揃えて言ったものだ。


「そしてなぜか前世の記憶はしっかりあるし……」

「うん、うん、記憶があるからこそ、子供の体が不便でしょうがないわよね」


そう、彼らは過去の記憶を持ったまま転生してしまった者同士なのだった。

ここ、リディアの住む屋敷、ティールズ家の庭園の茂みの一角が、彼らの集合場所となっている。


そして、転生者であるがゆえの苦労、お互いの切ない気持ちを吐き出し、時には慰めあう、唯一の楽園場所だったのだ。

三人称の練習で書きました。けど挫折マッハ

次から一人称です(テヘペロ)


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