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結末の結末 【聖魔光闇様主催リレー小説 第五話】

作者: このはな

この小説は、聖魔光闇先生のリレー小説第3弾となります。こちらのリレー小説の設定事項はこちらになります。

(※【第一話】よりコピー)

 ★全20話(一応出来るだけこの間に完結したいと思っています)。

 ★一話1000文字以上。

 ★登場人物の制限なし。

 ★重複執筆可。

 ★ジャンル:ファンタジー。

 ★魔法等の概念の設定はお任せ。

 ★執筆予約制度再開(執筆著者様は、活動報告に掲示させていただきます)。

 ★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください。

 ★執筆投稿後、必ず御一報ください。

 ★あらすじは、前話までの要約を明記。

 ★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します。

 ★後書きに、執筆著者様募集広告を添付。


 【結末の結末 第一話】 http://ncode.syosetu.com/n1793br/

 【結末の結末 第二話】 http://ncode.syosetu.com/n2503br/

 【結末の結末 第三話】 http://ncode.syosetu.com/n5929br/

 【結末の結末 第四話】 http://ncode.syosetu.com/n9487br/


 現在、第六話の執筆者様を募集中です。

 ミルダが目覚めたとき、香ばしいパンの焼けるにおいが、辺りに立ち込めていた。

 おそらく先に起きたハルモネアが作ってくれたのだろう。彼は修行僧の身であるため、肉を食わない。いつも手作りのパンか米だけで朝食を済ます。

 ミルダは一族を追っている途中、彼とオアシスで再会できた喜びを今いちど噛みしめた。


 ――うふふ。これで獲物が見つからないときでも、食糧に困らなくなるなあ。


 だが、起きるなり、「いっただきまあす!」とパンにかぶりつくのは避けなければならなかった。修行僧は何かと小うるさい。顔を洗って身を清めろだの、なんなのと、お母さんみたいなことを言うのだ。

 先の旅で、彼の人柄を十分すぎるぐらい学んだミルダは、用心深くなっていた。そこで、とりあえずハンモックの上から彼の様子を探ることにした。


「ん……もう、朝かあ」


 ふわあ、と大きな欠伸をひとつ。ミルダは、そろそろと目を開けた。

 ハルモネアは大きな背中をこちらに向けて、あぐらをかいている。朝の日課の座禅を組んで、心身を鍛錬中のようだ。他の存在を忘れているようにも見える。

 ミルダは、にんまりとほくそえんだ。


 ――ふふん、しめしめ。この隙にかまどへ行こう。久々に腹いっぱい食ってやる!


 と、手足を思いっきり伸ばした瞬間。

 こともあろうに、ハルモネアの後頭部に、その足が直撃した。


「ぐふうっ……!」


 さすがのハルモネアも、不意をつかれた攻撃をよけきれなかった。低いうめき声をあげたあとに、体がゆっくり斜めに傾く。そして、そのまま床の上に倒れ込んでしまった。

 万人ならば耐え難い痛みだった。レベルの低い魔物がくらったら、一撃で消し飛び、お星さまになってしまうほどの凄まじい蹴りである。


 旅の間ミリテの一族だとばれないよう、特徴のある赤い髪は被り布で覆い、人並み外れた力はセーブするよう気をつけていた。思わぬところで懐かしい仲間と再会し、緊張感をなくしてしまったようだ。


「ハル!」


 ミルダはハンモックから飛び降りると、彼の体を揺すった。

「ごめん! 大丈夫? ねえ、ハルちゃん! 目を覚ましてよっ」

「う……っ」

 ほんの少しだったが、彼の口角があがった。


 よかった。意識はある!


 ミルダは彼の腹にまたがり、厚い胸板に手を置いて強く揺すった。

「ハルちゃん! ハルちゃん、ってば!」

 彼の目が薄く開いた。ぼんやりとした視線を天井に向ける。

「ハルモネア……?」

 おそるおそる声をかけたら、彼はミルダの目を見てうなずいた。


「泣くな、キャッミルダ。心配かけたな」

 やさしい低い声がかえってくる。

「ううん」

 ミルダは目をこすって涙を拭いた。

「おれの方こそ、すまない。こんなつもりじゃなかったんだ」

「わかってる。もういい」

 ハルモネアは短く言うと、こほんと咳払いをした。

「それより、この体勢はまずい。早く降りて、身だしなみを整えてくれないか」

「えっ?」

「ネーネに見られたら、このエロ坊主! と、どやされてしまうからな」


 身を縮め、髪のない頭を、はずかしそうに指でポリポリとかくハルモネア。

 丈の短い肌着のまま、ほっそりとした脚をさらし、男の上にまたがっている状態のミルダ。

 ネーネでなくとも、他の誰かに見られたら大問題である。

 しかし、ミルダはハルモネアの言いたいことがわからない。


 ――なんで、ネーネが怒るんだ?


 不服そうに口を尖らせた。

「どうして? おれとハルちゃん、なかよしさんだろう? 別にいいじゃんかよう」

 ハルモネアは苦笑した。

「まあ、それはそうだが。わたしは男で、ミルダは女であろう」

「だけど、おれ、まだ女じゃないんだってさ。バング先生が言ってた。月のさわりが来てないから、だって」


 ――なんなんだ、それは。


 いさめているつもりであったが、やさしすぎる言い方のせいか、ミルダにはまったく通じていないことを彼は悟った。無知なことは罪である。とは、よく言ったものだ。


 ――くっそう、あの男女。ミルダを守ってやらねばならないのに、よけいなことを。


 ハルモネアは元暗殺者バングをうらめしく思いつつ、深いため息をついた。

「いいか、キャッミルダ。馬乗りになった相手が、この愚僧だったからよかったものの、他のやつらだったら、そうはいかないぞ」

「他のやつらって?」

 ミルダは小首をかしげた。血のように燃える長い髪が、さわさわとハルモネアのあごに触れる。くすぐったくて仕方がない。早く彼女を遠ざけねばならなかった。

「そうだなあ。たとえを言うなら、ミューグレンやエルドランみたいな若い男だな。つかまったら痛い目にあうぞ。用心するんだ」

 彼女にわかりやすく、なつかしい仲間たちの名をあげる。

 すると、彼女はさらに質問を重ねた。

「どうして、痛いことするの?」

 無邪気にたずねる少女に、男女の理を直球で説明するわけにもいかず。ハルモネアは「うー」と口ごもった。迷いながら説明をする。

「そ、それだはな。なんというか、花には、雄しべと雌しべというものがあってだな……」


 急に難しい話になってしまったので、ミルダは戸惑った。


 ――ハルちゃん、やっぱり変。ひょっとして、おれのせいかな。頭打ったから。


 これ以上、大好きなハルモネアを困らせたくない。ミルダは、にっこり笑った。

「うん、わかった! グレンとドランに気をつけるんだね。いいよ、おれ、大丈夫。足が速いし、力も強いから」

「……は?」

「それよりさあ、腹へったなー。早くご飯を食べようよ!」

 と言いながら、ミルダはハルモネアの体から滑り落ちた。走って、台所の方へ行く。


 ――やれやれ。微妙に困ったことになったな。これから、あいつらを捜しにいくんだが。


 ハルモネアはミルダが見えなくなると、部屋の壁際に置いてあった皮袋をひきよせ、口の紐を解いた。油紙に包まれた小包を取りだす。

 膝の上に乗せて包み紙を開けたら、水晶のかたまりがあらわれた。上部がまるくなだらかで、下部はあごのように尖り、前に突き出したような形になっている。中央には、ぽっかりと二つの穴が開いていた。どこからどう見ても、どくろのようだ。


 ハルモネアは、この水晶のどくろを持って旅をしていたのである。かつての仲間を見つけ、これを手渡すために。

 正体は、なんなのか。かつて世界を救った英雄の中でも、ハルモネア一人だけしか知らない秘密であった。

 だが、秘密が秘密でなくなる日は、もう近いはずだ。




(第六話に続く)




 全20話のうちの第五話ということで、未登場の主要キャラを出しました。坊主と女の子の組み合わせ、いかがだったでしょうか。

 あまり話がすすんでいないうちに、次の方へバトンすることになってしまい、恐縮です。

 書いていただけるという方は、聖魔光闇さん(http://mypage.syosetu.com/107085/)までご連絡ください。

 お待ちしております!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは。 第5話お疲れ様です。楽しく読ませていただきました。 ハルモネアさんは良いロリコ・・・・・・もとい、パパっぷりですね。 堅物大男と天然幼女の凸凹コンビ、というのはかなりハートを…
[一言] まずは、執筆お疲れ様でした。ならびに、ありがとうございました。 で、ですね。私の頭の中ではキャッミルダは、神聖魔法の使い手で、いわば回復魔法専門の予定でしたが、見事に崩されてしまいました(…
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