獄狼竜 前編
今回は獄狼竜が主役です。
俺は産まれたときから孤独だった。
十年前、俺は渓流に巣を構える雷狼竜の子供だった。六匹兄妹一番下ということもあり、俺は兄貴や姉貴,両親から愛情を注がれていた。
そんな俺に、ある小さな事件が起きた。
雷狼竜は産まれて半年もたつと、自分で発電が可能になる。が、俺は何故か発電できなかった。
親は「お前は一番下だから、成長が遅れているだけだ」といっていた。
俺も最初はそうだと思っていた。でも、一年たっても発電できなかった。
親も流石におかしいと思ったのか、自分達の電気を俺に送るようになったが、半年たっても変化がなかった。
親は「雷光虫の居るところに連れていってみるか」と言った。親曰く、雷狼竜は雷光虫と共生することにより、自らの電力を底上げするのだと言う。
なので、雷狼竜の居るところには自然と雷光虫が集まると言うことらしい。
俺は親と一緒に、雷光虫が数多くいる草原に来た。そしたらあろうことか、雷光虫が俺に攻撃してきたのだ。こうなると親は今までの愛情が嘘のように、俺を見捨てた。俺が気付いて追い掛けると、親は俺を尻尾で叩きつけたのだ。
俺はその衝撃で、雷狼竜の象徴である二本の角の内の一本が根本から折れ、吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされた先には壁はなく、あるのは崖だった。
俺は運悪く、崖の下に落ちた。下には川があり、俺は川に叩きつけられた。
俺は必死に生きようともがいたが、体力が尽きてしまい、そこから先は記憶がない。