1/1
世捨て人の苦悩
ジャネンは、森の中に住む魔術師であった。
世を捨て、一人で暮らしている。
ジャネンには、することがなかった。
なので、頭の中で妄想をしていた。
そして今日も一日、過ぎていく。
彼は、自分自身を閉じ込めていたのだ。
その檻は、外からは開かない。
入ってきた光によって、内からのみ開く。
孤独ゆえに、孤独に気づかず。
ただ自ら、静かに蝕まれていくのだ。
頭の中はいつも、楽園である。
そこには、コストはない。リアルはない。
ただ耽るだけで、過ぎていく。
まるで、アヘンである。
一人だからといって、自由になったわけではない。
頭の中から逃げることは、できないのだ。
そこを変えてくれたのはいつも、外だった。
何の気まぐれか、突然、天地が入れ替わる。
そして、彼はもう、以前のではない。
あまりにもゆったりと、流れるトキ。
もっと早ければ溺れるだけだと分かっていても、
それを求めてしまうトキ。
彼は自らに藻掻き、自らに絡め取られた。
自らからは、逃れられないのだ。




