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キツネコさんのちょい飯恩返し  作者: 西座屋


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1/2

(1)『あの空き家の家族』

  舞台は自然災害で復興を目指す地方の町。


  災害後は町の住む人が減って、人間が少な

  くなったと感じているキツネさん。


  小さな稲荷ほこらのキツネさんは、よくネ

  コに化けて人間から美味しいものをもらっ

  て食べていた。

  人間が作り出すものは美味しいものばかり

  だったのに、住む人が減って美味しいもの

  があまり食べられなくなったと感じていた。


  でも、しばらく空き家どうぜんだったあの

  家に人間が帰って来た!


〇地方の町・家屋(日中)

  地震後、

  しばらく人が離れて人気がないまま

  随分経過した二階一戸建ての空き家。

  家の中は地震が起きて片付けられて

  いない状態。

  ガチャガチャのまま経過している…。


  久しぶりにその家に片付けに帰って来た

  母(60代) と娘(20代) の二人。

  この家の家族の人だ。


〇稲荷ほこら(日中)

  この家の直ぐ隣に、稲荷神社の小さい

  ほこらがある。

  母はその稲荷ほこらに(袋に入れたまま

  で)市販の油揚げをお供えして手を合わ

  せる。

母「(手を合わせていて)…」

  母、片付けに戻る。


〇家屋・庭(日中)

  母、家の中に戻る途中、庭に野良猫が

  いる事に気付く。

母「(野良猫に)!」

野良猫「…」

  母と目が合っている。

  逃げる素振りはないようだ。


  人気がない空き家状態の時に、この家の

  庭は野良猫たちの通り道や休憩地になっ

  ていたらしい。

  母、昔実家で猫を飼っていた事もあって

  猫好き。

母「(あっ)!」

    ×    ×    ×

  母、さっきお供えしていた油揚げをねこ

  まんまにして、庭にいる野良猫に差し出

  してみる。

  野良猫、ねこまんまを食べる…。

  母、それを嬉しそうに眺めている…。

  母は気が済んだようで家の中に戻る。


〇同・居間~台所(日中)

  母と娘、片付けの合間に昼食を済ませる。

  母、食器を洗い終わった時…、

  振り帰ると、

  台所から居間にかけて、きれいに片付け

  られている!

  まだ片付け途中なのに…。

  というか、地震前の元の状態に戻ってい

  る。

母「……!」

  母にだけ、幻想スタート。


〇同・廊下~玄関内(日中)

  トイレから出て来た娘。

  母が居間から出て来て、玄関に向かう。

  靴を履く。

娘「(母に)? どこか行くの?」

母「(うん)、買い物行って来るから」

娘「(えっ)」

  買い物に行っても近くの商店街のお店は

  みんな開いてないはずだけど…。

  母はセカセカと玄関を出て行ってしまう。


〇同・玄関外(日中)

  外に出た母。

  玄関外の横に、野ざらしになっている

  自転車がある。

  タイヤは空気が抜けて、全体的に砂ぼこ

  りだらけになってしまった自転車。

  母、その自転車に乗って、ペダルを漕ぐ

  がっ…。

  空気が抜けて変な乗り心地のタイヤ…。

母「(ハッ)!」

  母、幻想から目が覚める。

母「…。(え)? (えっ)…!」


〇同・居間(日中)

  娘、片付けを再開している。

  母が急いで戻って来る。家の中を一通り

  確認している様子。

母「!? !? !?」

  母の様子がおかしい。

娘「お店って今みんな閉まってるよね?

 (お店で)再開してるところあるの?」

母「…」


  母はキツネに化かされていたらしい。


  さっきの野良猫は、稲荷ほこらのキツネ

  さんで猫に化けていた。

  人間はどうも猫に弱い。

  何かを上手く進めるには猫になった方が

  都合が良い。

  中でも猫好きの人間には効果てきめんだ。

  

  キツネさんは先程の油揚げのねこまんま

  が美味しかったらしい。

  お礼にちょい恩返しで、母が戻りたかっ

  た地震前の状態を幻想で見せていた。

  もしくは、未来を。短い間だけど。


〇同・庭(日中)

  庭に、あの野良猫 (キツネさん) がいる。

野良猫「にゃー」


〇地方の町(数週間後・日中)

  数週間後。


〇家屋・居間など(日中)

  母と娘は、また残っている片付けに

  帰って来る。


  二人は現在、同じ県内にいるが他の町に

  住んで生活している。

  休みの日に車でこっちに来て、少しずつ

  片付けを進めている。

  出来ればまたここに住みたいが、近くの

  商店街やスーパーマーケット、病院…な

  ど、まだ再開されてない。

  安定して生活するにはまだ難しい…状態

  だ。

  また、この家で生活したいなぁ…。


  娘、家の中から庭を見ている。

娘「…」

  庭には、決まった同じ野良猫が

  くつろいでいる。

  娘、ジーとその野良猫を観察中だ。

    ×    ×    ×

  娘は母に頼まれて、庭にいる野良猫に

  ねこまんまをあげる。

  今回は、油揚げとふりかけのおかかを

  混ぜている。

野良猫「(食べていて)…」

娘「(それを眺めている)……」

  娘、これでも野良猫に癒されている。

  さわりはしないが眺めているだけでも

  十分、癒されている。

    ×    ×    ×

  野良猫はきれいに平らげた。

  口の周りなどをペロペロして満足そう

  だ。

    ×    ×    ×

  娘、皿を台所の流し台に置く。

  皿に水を入れておく。

  振り返ると、

娘「(ん)?」

  何かが変わってる。

  ここから見た部屋の景色が違う…。

  部屋の片付けが完了している!

娘「(へっ)…!?」

  何で!?

娘「…」

  今度は娘に、幻想スタート。

  娘はそろーと家の中を見回したり、

  物にふれてみたり…。

  そのまま家から出る。


〇同・前の道(日中)

  娘、家から外に出て、家の前の道路に

  出て歩いて行く…。


〇商店街(日中)

  娘、商店街に来ると…、

  シャッターが閉められているはずの

  店たちが開いている!!

  地震前と同様に、人が居て、声や生活音

  が聞こえている…!

娘「(この景色に)…!?」

  町の人たちの姿が見える!

  お店の人が居て、客が居て、道を行き交

  う人が居る。

  娘は、その活気のある商店街の中を歩い

  て行く。

  と、娘の後ろから「わああーー!」と

  走って来る子供たち。

  娘の横を走って通り過ぎる!

娘「! !」

  一人がつまづいて転んでしまうっ!

娘「(あっ)! 大丈夫っ?」

  と転んだ子に声を掛ける。

  その子は自力で起き上がる。

  おばあさんの所へ行く。

娘「…」

  そのおばあさんの顔に見覚えがある

  ような気がする…。

  何か…。私に似てる?

  ような気がした…。


娘「(ハッ)!」

  幻想から目を覚ました。

  気付くと現在のシャッター商店街に

  戻っていた。

  そこに一人ポツンと立っている娘。


  娘はキツネに化かされていたようだ。


娘「…」

  地震前の思い出を見せているようで、

  本当は、本人が見たい未来を見せてい

  た。

  町に生活する人が戻って、活気も戻った

  ら良いなという願い。

  キツネさんは娘が想っている事を短い間

  だけ見せた。

  油揚げとふりかけのおかかのねこまんま

  のお礼にちょい恩返し。


  商店街の入り口付近に、

  あの野良猫 (キツネさん) がいる。

野良猫「にゃー」

  そして、どこかへ行く。

  その際に、一時だけ野良猫のひょろっと

  したしっぽが、キツネのフサフサしたし

  っぽに変わる。

野良猫「わんっ」

  と野良猫の姿のままでキツネの鳴き声を

  する。

  そして再び、ひょろっとした野良猫のし

  っぽに戻る。


〇地方の町(後日・昼)

  後日。

  町で除染作業が行われている。

    ×    ×    ×

  昼休憩。

  単身赴任中の除染作業員の男性。

  一人で買ったお弁当とインスタントの

  味噌汁で昼食中。

  その美味しそうな匂いに釣られて、

  あの野良猫 (キツネさん) が来る。

  野良猫、鼻をクンクンさせながら男性

  に近付く。

男性「(野良猫に)…!」

  野良猫、お弁当の具が目的だ。

野良猫「…」


(了)


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