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氷は冒険者になれなかった ――負価を抱いたまま、世界は進む  作者: たからの
名を持たぬ氷

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氷転生

目を覚ました瞬間、冷は異変に気づいた。


「……寒っ。てか体、ねぇ……?」


視界いっぱいに広がるのは白銀の世界。

自分を見下ろすと、そこにあったのは――


「氷!? 俺、氷になってる!?!?」


記憶がよみがえる。

不意の転落。油断。暗闇。

そして、そこで途切れた意識。


「いや転生するにしても、もっとマシなのあるだろ!!」


叫んでも声は空気に溶けるだけ。

動けない。転がれない。ただの氷。


「くそ……せめて誰にも見つからず――」


その時。


「……あっ」


人の声。


「え、なにこれ。きれい……」


少女が、冷を拾い上げた。


「やば、宝石みたい。持って帰ろ」


「待て待て待て待て!!」


叫びは届かない。

そのまま家へ。


夜。


「喉かわいたな……」


「やめろ!! 水飲め水!!」


少女は冷を眺め、少し考えてから言った。


「……氷だし、いけるよね」


「いけねぇよ!! 俺だよ!! 元人間!!」


ガリッ


「ぎゃああああああ!!?」


体が砕ける。

意識が薄れる。


「冷たっ。でもおいし……」


「感想言うなあああああ……」


最後に聞こえたのは、胃が鳴る音だった。


――こうして、

不幸な事故から始まった冷の異世界転生は、

食われて終わった。


「……せめて次は、

 もう少し穏やかな終わり方で……」


その願いが届くことは、なかった

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