0話 愛したかった
異世界転生、それはみんな一度は聞いたことがある言葉。聞いたことがない人は、少しだけ耳を傾けて聞いて欲しい。
漫画やアニメでよく見る異世界転生した主人公がなにかしら行動をおこし、偉大な事を何しとげる。その国の聖女になったり、恋人が出来たり、強い敵をやっつけたり、他にも色んなことが起こる。それが「異世界転生」だった。少なくとも私はそう思っていた。
_______あの時までは
草木は整い、美しい花が咲く庭。賑やかで清潔な街。優しい私の使用人。
大好きだった。私の大切なものだった。
でも、今はそんなものは消えてしまった
目の前には真っ赤な炎が、庭の草木を糧に燃え上がっている。街も同様、人や家が燃やされ破壊されている。
そして......私の腕の中には、大好きな親友が眠っていた。
首だけになってしまっても可愛い、本当の主人公。
私は夢中になって、もう喋ることも動くこともない彼女を見つめる。
だから気づかなかった。背後にいる彼の存在に
「.......アリス」
私は咄嗟に後ろを振り返った。
背後の炎に負けないくらい強く、美しいルビーのような髪色の男。顔立ちは驚くくらい整っており、赤の瞳も綺麗だった。
「どうしてこんな事をした?」
私は答えなかった
「誰かが、君になにかしてしまったのか?」
私は答えなかった
彼は私が何も答えずに立ち尽くしているのを見てから、手に持っていた剣を私の首に当てた。
首からは血が滴り、白い服を真っ赤に染めた。
「もし.....もう一度やり直せるなら、次こそは君を.....アリスを救ってみせる」
私の名はアリス・フィレナード
この世界にいらない、唯一の存在。
「.......できるものなら、やってみてちょうだい」
「どうせ、なにも変わらない」
彼は1度きつく目を閉じてから剣を振った。
ああ、クソみたいだ
こんな世界なかったら良かったのに
私は真っ赤な炎の色を最後に、静かに目を閉じた。




