7. 反省と再犯
「で?なんでこうなった?」
「すいません。もう、ただただ、すいません」
「すいませんはいらん。なんでこうなったかを聞いてるんや」
怖い。
もう怖い。
もう声が冷たすぎる。
「おい?何黙ってんや?」
怖い怖い怖い。
「えっと、そう、ですね」
あの後スライムは倒した。
中にいる戦士を二回くらい切り付けて。
そのあと結局僧侶に回復してもらえたんやけど。
なんでこうなったか?
そうやな、こいつが吸い込まれたからやと思うんやけど...
「お前が吸い込まれたからちゃうか?」
こいつすごいな。
もう、ただただ尊敬や。
なんでこの雰囲気でそれ言えんねん。
「そうか。そういう結論か」
「はい!」
はい!ちゃうやろ。
絶対に。
もう絶対に違う。
「お前次吸い込まれたら覚えとけよ」
「はい!でも吸い込まれることないと思います」
「あーわかったわかった」
「助けて!助けて!助けて!」
なんでこんなにきれいにフラグ回収できるんやろ。
今俺たちは5メートルのスライムと戦ってる。
もうそれだけで今の状況は分かってくれると思う。
「よーし。さっき言ったことは覚えてるよな?」
「いや!違う!冗談やん!冗談やん!」
「おい僧侶!切り傷は治せるよな?」
「まぁ、治せるけど」
「ありがとうな。また仕事よろしく」
「あ、あぁ」
「あぁちゃうて!止めろ!そいつ止めろ!」
「よーし行くぞ!歯食いしばれ!」
「ごめん!ちょっと止められへんっぽいわ!」
「いや待て待て待て待て待て!
もうちょっと頑張って!お願い!頑張っ」
「やぁ!」
おー。
結構、豪快に、いったな。
あれ大丈夫かな?
「もうこれで平等にしよな」
「そうやな。そうしよ」
「いや待てよ。なんで俺と戦士が切られたのにお前らは無事やねん」
「そうやな。平等って言ったらお前ら2人も切らなあかんな」
「それは無理あるやろ!」
「そうやそうや!
お前らが勝手に吸い込まれて、勝手に切りあっただけやろ!」
「いや、分かるよ僧侶。
お前はな、回復してくれただけやもんな?」
「そうやな。
僧侶は回復してくれただけやもんな。
でも、ユウジャ。お前は?」
「えぇ?」
「そもそも、ことの発端はお前やぞ?」
「いや、お前やろ!
お前が吸い込まれたのが始まりやろ!」
「あぁ、そうか」
「そういう考えか」
「怖い怖い怖い。
何その雰囲気!
怖い怖い怖い!
僧侶!お前も手伝ってくれ!」
「いや、ごめん。
俺はもう関わらんとくわ。
回復だけ、するわ」
「ちょ待って!待て待て!
お前何見捨てようとしてるん?
自分が切られたくないからって、なんで見捨てようとしてるん?」
「いや、そんなんじゃないよ。うん」
「絶対そうやろ!絶対そうやろ!」
「まぁ、もういいよ」
いいんや。
何の会議やったん?これ。
こわ
「でもまぁ、分かるよな?」
「え?」
「次お前に同じことが起こったら、分かるよな?」
「えぇ?」
「おい!ユウジャ!10メートルのスライム出たぞ!」
「こいつ倒した時に得られる経験値は予想もつかんな!」
「・・・」
「おい?ユウジャ?早くいけよ」
「いや、うん。そう、やな」
「僧侶!魔法使い!サポートしてくれ!」
何を何を何を?
俺を吸い込ませることをサポートするんじゃないよな?
大丈夫やんな?
「いくぞ!」
「普通に倒せたな」
「・・・」「・・・」
「経験値いっぱいもらえたな!」
「そうやな!僧侶!あそこの回復はめっちゃデカかったわ!」
「そうやろ?」
「いや、あれはナイスすぎたわ」
「・・・」「・・・」
「じゃあ、帰ろか」
「そうやな」
「・・・」「・・・」
「どうした?戦士、魔法使い?」
「おもんなぁ」「おもんなぁ」
負け犬の遠吠えってこのことか。