5. 経験値
「ここが草原か」
「広いな」
辺り一面に続く草原がどこまでもどこまでも広がっている。
モンスターがいるとは思えな...
「あ!あれがモンスターじゃないか?」
おったわ。
「え?でか、く、ない?」
「そう、やな。だいぶでかいな」
「え?でもあれ、2メートルはあるくない?」
「そう、やな。あるな」
なんで今まで見つからなかったのかわからないほどの大きさのスライムがおる。
「あれって、倒すやつやんな?」
「そう、やな」
え?倒せる?
あの大きさのスライム倒せるとは思えんなぁ
「一回逃げる?」
「いや、一回戦ってみる?」
「そうしよ」
いや無理無理無理無理
「いや無理やろ」
「あれ倒せるとは、俺も思わんわ」
毎回魔法使いってこっち側やねんな。
「まぁ、あれはさすがに厳しいか」
珍しく僧侶が正常や。
「なら、一回他のスライム倒しに行こか」
「えぇ?」「えぇ?」「えぇ?」「えぇ?」
いや、もうえぇ?
「これは、5、メートルは、ある、よな」
「そう、やな」
「一回逃げよか」
「いや待って」
待つことなんかないって。
こんなんすぐ逃げなあかんて。
見つけた瞬間逃げるべきやったって。
好奇心で近づくのがよくなかった。
「これが通常のサイズな可能性ない?」
「いや、これは、あるなぁ」
「いやないって。
そんなわけないやん。
少なくともいったんこれからは逃げるべきやって。
あと、もしこのサイズが通常なら魔王討伐あきらめよう」
「それは、そうやな。一回逃げよか」
「おるやん」
「おったな」
「そうやな」
「これどれくらい大きい?」
「30センチや」
「そうやな」
「とりあえずこいつ倒すか」
「え?どうやって?」
「え?そら、殴ったり、切ったりするん違う?」
「このブサ可愛いスライムを?」
「お前よくそれで魔王討伐とか言えたな。
これぐらいやらな魔王なんか倒せんて」
「そう、か。なら、一回やるか」
「誰が?」
「ユウジャ」「ユウジャ」「ユウジャ」
「なんでやねん」
「お前がやるって言ったからな」
いや言うたけど。
違うやん。
一番は違うやん。
最初はだいぶ勇気要るやん。
「あと、お前勇者やし」
そうやった。
俺勇者やった。
勇気ある者やった。
「じゃあ、やるか」
「罪悪感やばいって!
これやばいって!
無理や!無理や!
最後らへんとかスライム逃げようとしてたって!
無理やこんなんもう魔王とかどうでもいい」
「わかったわかった」
「何でお前がその態度やねん」
「俺は思ったより行けると思ったけどな」
「なら次お前がやれよ」
「やったるわ」
「あそこにおるで」
「無理やって!
無理無理無理無理!
諦めよう!
魔王とかどうでもいい!」
「わかったわかった」
「お前なんでその態度やねん。
さっきまでこっち側やったやろ」
「いや、わかったわこれ。
自分よりわめいてる人間見たら自分は落ち着くわ」
「なるほどな。なら次は...」
「えぇ?」「えぇ?」
「あそこに2匹おるな」
「お前ら兄弟かなんか?」
「隠し子?」
「双子かもしれん」
僧侶と戦士はそれはもう素晴らしいコンビネーションでスライム2匹を倒した
もう、どちらが殺したかもわからんぐらい綺麗に倒した。
「ならどんどん行こか」
「今お前何レべ?」
「12」
「へぇ、まぁまぁやな」
こいつうざいなぁ
このくそ魔法使いたぶん自分のほうがレベル高いからって上から来たな。
多分、こいつは俺にレベルを聞いてほしいはずやな。
なら聞かんとこ
「ちなみに俺は25」
こいつ自分から言っ...
「25⁉⁉え?25?
何体ぐらいスライム倒したん?」
「100ぐらい」
「100⁉⁉人の心とか持ってないん?」
「魔王を倒すためや」
「なら仕方ないか...
とはならんよ?
それじゃ無理やで?」
「あとみて」
「ん?」
「『零度』」
「冷た!」
何してんのこいつ
いきなり仲間に魔法使うバカおる?
「何してんねんお前」
「すごいやろ?」
「すごいやろ?ちゃうわボケ!」
「今の人殺せるらしいで」
「人殺せるような魔法俺向けたん⁉
お前ほんまに人の心ない....え?
人を殺せる?
それを不意打ちで撃って、冷たいレベルの魔法?」
「いや、ちがうよ!違う違う!本気で撃ったわけじゃないから」
「え、ならあのスライムに本気で撃ってみてよ」
「ごめんなさい嘘です」
「嘘へたくそすぎるやろ。
もっとラリー続く嘘つけよ」
「『零度』」
「冷た!何してんのお前?」
「今のが全力」
「....それは、ちょっと、ずるない?」