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20 ???

「ならそれは嘘だな」


「何言ってる。往生際が悪いぞ」


「なら聞くがなぜお前達は生きている?」


「は?」


「もし俺がお前の親を殺したとしてそれを見ていた人間を生かすと思うか?」


「それは、王国の兵士が助けてくれたそうだ」


「どうやって?」


「親を殺されて、お前に襲われそうになっているところを俺を抱えてお前から逃げたらしい」


「お前は俺と戦ってもそれが可能だと思ったのか?」


「なに?」


「お前なら可能か?

俺はお前が視界に入った瞬間に頭を破壊することができる。

その上でお前の強さはかなり上澄みだろ?

その兵士が俺から逃げきれるはずがない」


「何を言ってるんだ!ロータ!

魔王のいうことなんて戯言だ!」


「いや、ちょっと待ってくれペロン。

確かにこいつの言う通りだ。

逃げ切れるはずがない。

それに、魔王なら俺と親父を同時に殺すことぐらいできたはずだ。

被害者の数も多すぎる。

一度ならまだしも施設はこの国に何か所もある。

一つの施設に50人以上の人がいる。

あまりにも筋が通っている」


「.......」


「遅いな」


「勇者さん....」


「あとはもう俺がやる」


「待ってください!

もしかしたら魔王は俺たちが思ってるほど...」


「あぁーうるさいうるさい。

そういうのじゃないから」


「え?」


「全部聞いてたよ。

確かに魔王の言ってることは筋が通っている。

ただ、だからどうした?」


「何言ってるんですか?」


「魔王は悪の象徴だ。

その行いがどうであっても、

魔王とはこの国の悪だ。

それを目標として人間は日々努力し、訓練している。

その悪の象徴が実は悪ではないかもしれない?

それを王国が隠蔽している時点で戦うしかないんだよ」


「なら、俺は王国の敵になります」


「は?」


「俺もです」


「ペロン....」


「確かにロータの言う通りだ。

この話には筋が通ってます。

俺は頭が悪いです。

でも、それでもわかる。

悪は国王軍です」


「はぁ、話を聞いていなかったのか?

悪がどっちとかは関係ないんだ」


「俺は納得いきません」


「そうかならいい。

もうお前ら全員...」


「待ってください」


「なんだヒストグラ」


「俺はもうどっちでもいいです」


「ん?」


「あとは任せます。

正直この状況からどう転がろうともあなたは魔王を殺せる。

俺は魔王さえ殺せればどうでもいいです」


「なら、筋肉とスキンヘッド、戦士を説得しておいてくれ」


「いえ、もうそいつらは殺してください。

説得は必要ありません。

国王軍の裏切り者は許しません。

あなたならすぐ殺せるでしょう?」


「......そうか。じゃあなお前ら」


バン


「お前.......人の心とかは持っていないのか?」


「はっ、俺は魔族化した賢者だ。

人間とはかけ離れている」


「正真正銘のクズだな」


「分かったわかった。じゃあな魔王」


......


「ん?何で発動しない?」


「あぁ、頭を爆発させる魔法か。

あれは人間限定だ」


「それはお前の話だろ?

俺は賢者だ。

どんな魔法でも使える」


「違う。

存在しているすべての魔法だ」


「なるほど。

存在していない魔法を使うことはできないのか」


「その通りだ」


「まぁ、だから何だって話だけどな。

お前はもうボロボロだ。

俺には勝てない」


「そうだな。勝てない。だから....」


「『リジェクト』」


「なんだと!?魔力が....なくなっていく?」


「魔法だろ?お前の全身から魔力が立ち上っていた。

スキンヘッドと話している時からずっと魔力をためていただろ?

転移....いや、時空をずらす感じの魔法かな?

発動するまでに時間がかかるのか」


「そんなことまでわかるのか」


「これでお前の作戦も不発だ。

じゃあな。魔王。何か言い残すことはあるか?」


「そうだな、すこし図々しいかもしれないが...」


「なら無理だ」


「最後まで聞け。

俺を殺した後、お前が魔王になれ」


「.........魔王、それは、めんどくさい」


「いや、お前は必ず魔王になる」


「ん?どういう意味だ?」


「そのうち、いや1年後に分かるよ」


「そうか。じゃあな魔王」


「王国をつぶせとは言わない。

市民を巻き込むな。

殺すのは、国王だけでいい」


「『スーパーノヴァ』」


長いようで短かった魔王との闘いは強い光と大きな爆発が合図となり終わった。




その後、俺は王国には戻らなかった。

爆発の後、ヒストグラは王国に戻った。

なんとなく魔王城を見回って、

辺りを見渡して、

魔族の村を見た。


これから何をすればいいのかがわからなかった。


「困っておるようじゃのう」


「爺さん。久しぶりだな。

酷いけがだな」


いつの間にかこの爺さんへの恨みなどなくなっていた。


「ただ一人で目標を達成し、

喜びを分かち合える仲間もいない。

哀れじゃのう」


「はっ、うっせーよ」


「わしと魔法使いは国王の使いじゃ」


「は?」


「国王はお前たちは何かを成し遂げると感じたらしい。

あいつの勘は当たる。

実際、お前たちは魔王討伐を成し遂げた。

だがその結果、この世界はあいつの物じゃ。

そのあと、お前達とわし達はどうなったと思う?」


「........」


「もう必要ない。と言っておったところを聞いていた。

完全にわし達をなめておる。

ぶち殺すぞ」


「..........それは義務か?それとも、そうしたいというお前の勝手な望みか?」


「いや、権利じゃ。

わし達にはあいつを殺す権利がある。

当然、お主はそれに参加しなくてもいい。

ただ、暇なんじゃろ?

1人で何もすることがないんじゃろ?

協力してくれ。お主の力が必要じゃ」


「........」


「おそらくもうすぐ王国の兵士が1000人ほど攻め込んでくる。

戦士、ロータ、ペロンを生き返らせてくれ。

殲滅じゃ」





「商人、僧侶。お前たちは好きに生きてくれ」


「.......はい」


「魔王になるんですか?」


「...........分からない」


「貴方に任せますが、私は反対です。それでは」





「勇者さん。魔王は?」


「殺した」


「........そうですか」


「まずは王国の兵士1000人を殺す」


「貴方が魔王になるってことですか!?」


「今、考えている途中だ」


「そうですか」


「おい、お主ら。」


「なんだ爺さん」


「来たぞ」


「...分かった」





その10分後1000人の兵士は全滅した。


「はぁ、はめたな爺さん」


「気づくのが遅いのう」


「この兵士を殲滅した時点で俺はもう王国に戻るわけにはいかない」


「国王を....いや、国王軍をつぶすぞ」


「......」


その日、新たな魔王が誕生した

20 魔王の誕生

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