18 決戦?
「商人、魔王はどこに飛ばしたんだ?」
「ここから3kmは離れている孤島に飛ばしました」
「ならここに来るまではもう少し時間がかかるはずだな。
すぐに逃げるぞ」
「え?逃げるんですか?今は魔王城を落とす絶好の機会では?」
「いや、魔王がいつ帰ってくるかもわからんタイミングで攻めるのは危険すぎる」
「なるほど。では一度引いて仲間集めですか?」
「あぁ、そうだ」
「では、いきま....あれ?」
「どうした?」
「ペロンがいません」
「えぇ?あの筋肉ゴリラか?」
「さっきまでいたはずなんですが...」
「勇者さん」
筋肉ゴリラが魔王城の方向から飛んできた
「どこに行ってたんだ?」
「少し魔王城に行ってました。
それで、これを持ってきました」
「これ?」
「これです」
筋肉ゴリラが魔族を抱えてる
さすがにこれじゃないよな?
「これって魔族のことか?」
「はい」
「よし。返してこい」
「え?何でですか?」
何でですか?
こいつ今何でですか?って言った?
頭悪すぎるやろ。
「今ここに魔族がいても何にもならない。
もし魔王が来ればそいつは敵だ。
分かるか?そいつを持っておくメリットがないんだよ」
「勇者」
「なんや戦士」
「そいつ多分新しい四天王や」
「は?」
「新四天王ラポポ」
新四天王ラポポ!?
そいつをこいつは抱えて持ってきたん?
頭おかしいやん。
「えっと、どうしますか?殺しますか?」
「そうだな。生かしておいても逃げた方向を教えられたら厄介だ」
「魔王様は死んだ魔族を蘇生できるぞ」
詰んだやん。
絶対に詰んだやん。
こいつ殺しても生かしても意味ないやん。
てかこの四天王よくこの状況で喋れるな。
「ん?ならなんで俺たちが倒した四天王を蘇生しないんだ?」
「彼らは死んだわけじゃない。
魔王様は死者を蘇らせることはできるが、
けがや傷、病を治すことはできないんだ」
すごい教えてくれるやん。
「僧侶!そんなことがあり得るのか?」
「分かりません。
人間に死者蘇生の魔法を使うものは存在しない。
前例がないんです」
「あぁ~どうしよ」
「こいつを殺してその死体を持っていけばいいんじゃないですか?」
「あっ!なるほどな。よくやった僧侶。
そうと決まれば....」
僧侶の顔がはじけ飛んだ。
「おい」
詰んだ。
もう詰んだ。
絶対に勝たれへん。
もう雰囲気でわかる。
めっちゃ怒ってはる。
どうやって逃げよ?
いや逃げれるはずないか
「かなり遠くまで飛ばされたよ」
岩の上に魔王が立っている。
ふわりと飛んで俺達と同じ高さまで下りてくる
「まぁ、よくもここまでやってくれたもんだ」
「四天王を倒したのは俺の仲間です。
俺はそれ以外何もやってません」
「お前、ピプを殺しただろう?」
「ピプ?」
「お前と一緒にそこの戦士を殺しに行った四天王だ」
忘れてた~~
あの爺さん殺したわ。
そういえば。
「勇者!もうここまで来たらやるしかない!」
無理やって。
絶対に勝たれへん。
「そうだな。もう話は終わりでいい。
ここにいる奴ら全員皆殺しだ」
「勇者さん!やるしかないです!」
「周りの奴らがうるさいな。
少し黙って座ってろ」
魔王が手を掲げると周りの奴らが座った。
声も出ないようだ。
「何か言い残すことはあるか?」
「やるしか.....ないのか」
「それは無理だ」
ばん。
と音がした。
商人の顔がはじけ飛んだ。
「お前も次期にこうなる」
「そうか。やるぞ」
「こい」
踏み込む。
一歩、一瞬、一撃、全てを一振りに込めて。
「『ギガ...』」
「『キリギリス』」
横から勇者が飛び出してくる。
前と同じシチュエーションで、同じ技で、同じように俺を救う。
魔王はその男の剣を片手で止める。
「勇者さん。ここは協力します」
「はぁ、面白くない」
「魔王。お前さえいなければ、俺の父さんが死ぬことはなかった!」
「そんなこと、俺は知らない」
「だろうな。『トンボ』」
突き。
素早く重い一撃。
でも、魔王には通じない。
今までの俺なら、見えていないが今なら見える。
いける。
ここに俺と戦士、魔法使いと筋肉が加われば...
ばん。
また、音がした。
ヒストグラと戦士、魔法使いと筋肉の頭が弾けた。
「無理だとわかっていただろ?
どうして100レベルごときの勇者一人が加わるだけで勝てると思った?」
あぁ、そうだった。
最初から無理な話だった。
「じゃあな」
ばんと音がした。
18 蹂躙
昔話完結まで残り1話!!