11. 魔族になれる薬?
「お主らが来てもう3日たったのう」
「そうですね」
「お主らにはかなり助けてもらっている。
村の子供の世話や動物の対処法。
学校で動物の授業もしてもらった」
学校で授業!?
誰がやったんやろ。
すごいな
「そうですね」
絶対こいつやん。
この戦士自分がやりました!みたいな感じでそうですねって言ったやん。
「そこで提案があるんじゃ」
「提案ですか?」
「そうじゃ。お主ら、正式にこの村の住人にならないか?」
「正式に?それはどういう意味でしょうか」
「この村の住人。つまり、魔族にならないかという意味じゃ」
魔族に!?
なれんの?
魔族に?
「これは魔族になる薬じゃ」
魔族になる薬!?
そんなものがあるの?
すごいな。
めっちゃエメラルドグリーンの輝きを放ってるな。
回復とかしてくれそうや。
「この薬を飲めば75%の確率で死ぬがそれを乗り越えれば...」
なんてなんて?
75%の確率でなんて言った?
「すいません。75%の確率でどうなるんですか?」
「死ぬ」
死ぬ。ちゃうわジジイ。
論外やんけ。
論外の薬やんけ。
どこが回復しそうやねん。
猛毒の論外の薬やんけ。
「つまり、この中の1人か2人なれるかもしれんな」
じゃあ無理やろ。
誰がのむねん。
「まぁ、少し考えておいてくれ」
「魔族になると何かいいことはありますか?」
何を聞いてんねん。この僧侶は。
死ぬ確率がある時点で飲まんよ?
「まず、200年は生きることができる。
人間にも200年ほど生きる種族はいるらしいがお主らはそうじゃないじゃろう?
それに、人間のころとは比べ物にならないほどの強さが手に入る」
「それはどのくらいですか?」
「50レベル上がった時と同等じゃ」
えぇ?
50レベル?
それはすごいな。
でも、なしやな。
50レベルに命はかけられへんな。
「わかりました。少し考えます」
これだけ言って乗り切ろ。
「どうする?飲む?」
「飲むわけないやろ」
「やんな」
「でも、50レベルやぞ?」
「命には代えられへん」
「なら、もしもの時誰が飲むか決めよう」
「もしもの時?」
「あの冒険者狩りとか、俺らじゃ絶対に倒されへんモンスターに会った時や」
「なるほどな」
「どうやって決める?」
「じゃんけんや。じゃんけんで負けたやつが飲むぞ」
「え?でもそれっておかしないか?」
「なにがやねん」
「75%を乗り切らなあかんのにじゃんけんで負けたやつが飲んだらあかんやろ」
「なら勝ったやつか」
「いや、それもおかしい。飲みたくないもんを飲まされる時点でどう転んでも運はないやろ」
何やこいつ。
一つ目の案に反対して、それとは真逆の案を言っても反対する。
なにがしたいねん
「ならどう...」
「ようお前ら!道に迷ってしまったかもしれない。案内してくれないか?」
うっっっっっっっっっっっっわ
だっる
薄い笑み浮かべておもんない冗談言いながら出てきやがった。
「ここまでついてなかったら誰が飲んでも一緒やな」
11 猛毒の薬