第三十三話 十人十色
――西暦2121年4月9日――
箱根城攻略から約1ヶ月が経過し、俺達は着々と仲間を増やしていた。といっても、5人から10人になった程度だが。
あれから新たに増えた5人の仲間は非常に愉快なヤツらで、生まれも育ちもてんでばらばら。ただ彼らに共通していたのは、あの日の報道で見た俺達のイカれぶりに何か感じて集まったということ。
「たいしょー、ご飯まだ?」
1人目は『小野 花香』。能天気で空気が読めず、オマケに鎧殻は真っピンクのミニスカドレス。メルヘンなツインテールが特徴的で、派手な化粧とは正反対のピンクで無骨な鉄塊のような大槌を扱う19歳。
「大将は飯炊きじゃないぞ花香。自分たちでできることをやろう」
2人目は『渋谷 悠人』。規律と正義を大切にし、曲がったことが許せない28歳のサイボーグだ。黒と緑を基調とした角張ったゴツイ装甲を着飾っており、スナイパーライフルなどの遠距離武器を主に扱う。
「そんな事より大将、今日こそ私と寝てくれない?」
3人目は『大和 龍二』。隙あらば俺のケツの穴を狙う24歳のウルフカットゲイ。ふざけた事を言っている割に情に厚い面もあり、俺以外の奴にはガッツリ漢として接している。ガンメタの義足と鎧殻を身にまとっており、3メートルほどある双刃槍を操る。
「…………」
4人目は『小林 胡桃』。口数が少なく大人しい子で、俺達の中では最年少の16歳。常に紫の鎧殻とマスク型頭部プロテクターを纏っていて生身なのかは不明だが、少なくとも顔は生身であるのは分かる。短めの直刀と暗器を使い、正面戦闘よりも暗殺を得意とする。
「ワシも飯が欲しいぞ大将」
最後は『五十嵐 友也』。坂東の友人の1人で年齢は47歳。俺達若者とは適度な距離感で接しており、逆に俺達若者はお父さんのように彼と接している。彼も坂東と同様に生身で鎧殻を纏わず、大太刀1本で戦う。
この短期間で100人も200人も増えたわけでは無いし、10人しかいないとなるとまだまだ戦力不足が否めない。しかし、今直ぐに人が集まるという訳でも無い。気長に待つか、敵から奪うしかない。
そのためにはまず、俺達10人の個々の能力が高くなければならない。
この約1ヶ月で集まった彼らには、俺と岳陽で考えた試験的戦闘訓練を実施してもらっている。
「お前ら飯食った後戦闘訓練だからな。あとで外集合。あと龍二は死ね」
「「はーい」」「いやーん!」
元気の良い返事と不純物に飯を与え、俺と岳陽は戦闘訓練の準備に取り掛かる。
「今日は誰と誰だっけか」
「えーと、小野さんと五十嵐さんだな」
彼らに実施している戦闘訓練はただ単純に彼らの戦闘力を伸ばすだけではなく、戦闘力計測も兼ねている。そこから彼らに合った武器や戦術、味方との連携方法などを模索していこうと考えている。
今回の訓練は花香と五十嵐の2人と、俺と岳陽の4人で行う団体戦になる。2対2で模擬戦をし、他の人間には訓練を見学していてもらう。戦場で命を預ける仲間の戦い方を各々で理解し、お互いの結束を強めるためには必要な事だろう。
しばらくしてJACKの全員が寒さの残る春空の下に集まり、箱根城戦闘訓練場での模擬戦の準備を始める。この模擬戦では武器は真剣で自身の最も得意とするものを選び、殺さなければ何でもありという実戦に近い形式をとっている。
「さて、見てるだけのお前らもしっかり感じとけよ」
悠人と胡桃はこくこくと頷き、龍二は奇声を発して俺に目くばせをしてくる。1人感じ方がおかしい。
戦闘訓練時には個々の能力値や戦闘データの収集をサトリが行い、お菓子をつまみながらゾウさんはちゃちゃを入れる。
準備が出来た花香と五十嵐はそれぞれの得意な武器を構え、戦闘開始の合図を今か今かと待っていた。俺と岳陽も戦える準備を終えていたため、あとはサトリのゴーサインを待つだけとなる。
「ンじゃー、れでぃー、ごー」
サトリの気の抜けた宣言の後、戦闘訓練模擬戦、開始。




