第二十九話 箱根城攻略⑧
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我々、北条 時宗様の命を受け箱根へ侵攻する。対象戦力5万に対し、こちらは7万のサイボーグ兵を連れ、違法改造第二世代2名を頭に据える。
向こう側のスパイと連絡を取り、戦闘意識を薄れさせ、計画通りにことを進める。
騒ぎに見せた先兵を向かわせ小競り合いを起こし、警戒が手薄になった本城を一気に鎮圧。対象の兵を数千回収した後、向こう側のスパイの身代わりを配下の目の前で打首。その時点で生き残っている者を配下に据える。
箱根陥落後は違法改造1名に指揮権と行動制限を与え、空白の箱根を源氏の侵攻から阻止する。その間に我々の組織は、あの城の復興と強化を行う。
回収したスパイは北条 時宗様の下へ送る。
以上。
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岳陽が見せてきたデータには、北条 時宗が箱根に侵攻した事、違法改造が居るということ、あの城と言うワード、そしてスパイがいたということ。
つまり、エース将軍は最初から北条とグルで源氏の領地を攻め、三つ巴状態だと思っていた神奈川県の戦国大名は実質2名のみだった。
「あ、あと別のデータに、あの有名な『秘密結社 輪廻』との繋がりも匂わせることが書いてあったぞ」
「マジかよ……」
岳陽の言う『秘密結社 輪廻』とは、全国各地に活動拠点を置くサイバネティク・オーガニズム技術の最先端をゆく大きな会社だ。秘密でもなんでもなく大っぴらに活動しているため、SNSでは秘密結社(笑)といじられるほど身近な会社でもある。
この戦国時代においてサイボーグ技術=戦力と言っても過言ではない。ゆえに彼らは様々な戦国大名や企業との繋がりがあり、北条と提携していてもなんの疑問も無い。
しかし前述のデータとの繋がりでその会社の名前が出てきたということは、あんに違法改造を作る手助けをしているということになる。
「倫理観の欠けた違法改造を大企業が率先してやることで、サイボーグ技術の超速発展と実質的な市場の独占をする。戦争という儲かるビジネスを更に絶対的なものにしてるってことか」
「やっぱりその結論にたどり着くよな」
データの通りに解釈するならば、秘密結社 輪廻のカール・エースという企業の駒を使い、源氏の領地を削ろうとする北条へ肩入れした、とも捉えることが出来る。
利害の一致か、はたまた別の何かか。いずれにせよ、源氏の力を弱めたいという両者の魂胆が見え隠れしている。
(横浜スタジアムで思った、神奈川県武家にスパイがいるってやつ、ひょっとしたらガチかもな…………)
俺はある事ない事わからない事をグルグル考えながら、ふとサトリとエース将軍の戦いに目線を向けた。
するとなぜかサトリの動きは止まっており、エース将軍もぼっ立ちの彼女を見ているという不思議な絵面になっていた。
「おいクソアマー、ビビったんか?」
俺の言葉に反応したサトリはこちらに振り向き、スタスタと早足で俺に近づいてきた。
「飽きたから大将がやってくれ」
そう言って彼女は俺の肩をポンポンと叩き岳陽とゾウさんの近くに腰を下ろした。彼らもため息をついて俺を哀れんだ目で見てくる。
「負けろー」
「負けちまえー」
「くたばれー」
三者三様の応援メッセージを貰い、俺はエース将軍の後はコイツらをぶん殴ってやろうと心に誓った。
表示していたARモニターを消してからくり刀を鎧殻に接続、8つの拡張装甲を展開してエース将軍の前に立った。
「待たせたな。今度はちゃんと殺してやるから遺言考えとけよ」
「ハハハ。ソウタこそ、ママに最後の挨拶を済ませた方がいいぞ!」
箱根城大将、戦国大名のカール・エース将軍と、出来たてホヤホヤ城無し大将、JACKの霜山 颯太将軍による一騎打ち(2回目)が今、始まる!




