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リベリオン  作者: のらねこ
第二章 JACK vs 神奈川 死線合戦零戦線
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第二十七話 箱根城攻略side.G


「ハァ……ハァ…………」


 こいつはおかしい。


「どうしましたか。傷を負っているようですが、そんな状態で私に勝てるとでも?」


 リカは俊敏に動き回りながらも、的確に俺へ弾丸を浴びせてくる。颯太(そうた)の持つ拡張装甲がない俺はひたすら逃げて反撃を伺うしかできない。


 それに、たとえ俺が一太刀リカへ入れたとしても、コイツは止まらず攻撃を繰り出してくる。サイボーグと言えど痛覚因子は組み込まれているはず。なのにコイツは怯みもせず攻撃してくる。


 人間がサイボーグとして生まれ変わる時、必ずと言っていいほど組み込まれる因子がある。それは()()だ。元々の肉体と同じように身体を動かすのには五感が重要なファクターになる。味覚、触覚、視覚、嗅覚、聴覚、どのような改造を施そうと、これらの感覚はデフォルトで組み込まれる。


 俺がこいつに対しておかしいと感じた点は、そんな五感のうちの触覚という部分だ。まるで痛みを感じていないかのような戦い方、いくら繊細でも度が過ぎている照準感覚、足場や壁など状態を確認せずに立ち回る行動。


「あんた、違法改造(アンナチュラル)だな?」


 リカは二丁のサブマシンガンをカチャカチャと叩いて俺を褒める。


「正解です。と言っても、この城にいる違法改造(アンナチュラル)は私とエース将軍ぐらいですがね」


 違法改造(アンナチュラル)は、この戦国時代での唯一の法と言っていい()()()()()から逸脱した改造を施すサイボーグの事。一般的には盗賊や日陰者が法外な金額で行っているとされており、戦国大名やそれに連なる御家人が行っているとは聞いた事がない。


 この城に来た時から気になっていた。


 知能が低いわりに殲滅力の高い武装をした敵兵。戦う意思はあれど不自然にサイボーグと関わろうとしない生身の人間。そして坂東(ばんどう)の話。


「なにか……()があるのか…………?」


「戦闘中に考え事ですか!」


 ガギィィィン――!


 短剣の付いたサブマシンガンでリカが斬りかかってくる。サブマシンガンの取り回しの良さを利用した大胆かつ効果的な戦い方は、じっくり考え相手の隙や弱点を突く俺の戦い方とは相性が悪かった。


 近、中距離から戦うリカに防戦一方だが、必ず隙は生まれるはず。


 愛刀の『鬼丸国綱(おにまるくにつな)』を必死に握り込み、鎧殻のアシストと敵を分析するAIアプリケーションをフル活用してリカの攻撃を耐え凌ぐ。


 ダダダダダダダ!――


 ギギイィィン――!


 坂東(ばんどう)に負わされた傷が開きすぎないよう、これ以上ダメージを貰わないよう、じっくり攻防している時。


 ふとリカの動きの癖のようなものを発見した。


 ヤツは銃撃と剣撃を交互に繰り返し戦っている。


 ダダダダダ!――


 ガギィィィン――!


 ダダダダダダダ!――


 俺が刀一本ならずっとサブマシンガンを引き撃ちすれば安全に立ち回れるはず。なのにわざわざ剣撃を織りまぜる。


「剣撃をしないといけない理由があるのか、はたまたそういうスタイルなのか……」


「――なに!?」


 独り言をポツリと呟いた途端、リカが動揺を見せ俺から距離を取った。やはり何か理由があって俺に近づいて攻撃をしている。


 であるならば、確実に俺に近づく瞬間を作り、タイミングを合わせて反撃すれば良い一撃を喰らわせられるかもしれない。


 そうと決まれば話は簡単になる。


 俺は小部屋のふすまを蹴り飛ばしリカから逃げた。


「待ちなさい!」


 リカはサブマシンガンを構えて引き金を引いた。


 ダダダダ!――


 (撃ったな?)


 これでヤツは俺に近づいて攻撃をしなければならなくなった。しかしすぐ反撃すると動きが読まれやすい。


 このまま小部屋から脱し、廊下、他の小部屋、と、この空間を広く利用してリカへの反撃の機会を待った。


「ちょこまかと!」


 追いかけっこに飽きたのか、リカはサブマシンガンの短剣を取り除いて再び銃を構えた。


 (マジか!)


 ダダダダダダダダダダ!!!――――


 四方八方、無造作にサブマシンガンを乱射しまくり、部屋の壁や天井などがボロボロと崩れる。リカ自身も、サブマシンガンを撃ちすぎた影響でとんでもない硝煙が銃身から立ち込めている。


 俺は上手いこと弾丸の雨を凌ぎきる。颯太(そうた)は笑いながら似たような状況を凌いでいたと考えると、改めてバケモンだと感じた。


「今度は隠れんぼですか」


 上手く遮蔽物に隠れてやり過ごした俺はリカの視界外にいる。見て聞いてが出来るリカでも、触覚の頼りがなければ斬られたことにすら気づかないだろう。


 (ステルス迷彩起動)


 リカに俺の姿が見えていない今がチャンス。姿を消して音もなく足を切り落とせば、ヤツの武器である機動力は一気に落ちる。


 ミシ……ミシ…………


 リカが辺りを見渡しながらサブマシンガンを構えている。その隙に忍び足でリカの背後へ回る。


 前方を警戒するリカの足目掛けて、俺はこの()をぶち込む。


 (『広目流(こうもくりゅう)彼岸花(ひがんばな)』)


 上段に刀を構えて右脚に刀を振り落とす。続けて息もつく間も無く左脚に刀を振り上げる。刀に付着したリカのオイルの軌跡がVの字のように光り、自分の脚が斬られたことにも気づかないまま、ヤツの胴体は地面へと落ちた。


「なん……ですと…………!?」


 俺は仰向けで倒れているリカの両腕に追撃をする。


「『広目流(こうもくりゅう)裏彼岸花(うらひがんばな)』」


 下段に刀を構え左腕を斬りあげ、その勢いのまま刀を振り下ろし右腕を斬り落とす。これで四肢の無くなったリカに反撃の方法はなくなった。


「さ、話してもらおうか。お前らの()で起きている事を」


 リカの頭部付近に刀を突き刺し脅してみた。しかしリカはだんまりを決め込む。


「お、終わったか池田(いけだ)ー」


 ゾウさんが下の階から登ってきた。戦っている時姿が見えないと思っていたが、下の階で戦っていたのか。


「パプもやられてしまいましたか。ならば私のやるべきことはひと――――」


 バギィン――


 ゾウさんがリカの頭を踏み潰してしまった。


「あーあ。情報聞き出そうとしたのに」


 意地悪そうに彼に言うと、申し訳ないと謝ってきた。少し申し訳ない気持ちになった。


 しかし彼がリカの頭を踏みつぶしてくれたおかげで、ヤツのメモリーチップを入手することが出来た。ウィルスを洗いデータを覗けば、俺が気になっていたことが分かるかもしれない。


「ゾウさん、このメモリーから情報抜き出したらアイツらの加勢に行こう」


「おっけい」


 俺は頭部プロテクターのメモリー挿入部に、リカから入手したメモリーチップを入れた。

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