第二十六話 箱根城攻略side.Z
「オラァァァァ!!」
大剣をぶん回して赤いサイボーグを吹き飛ばす。大盾でオレの攻撃を受けちゃいるが、この重さと速さじゃ衝撃は相当なものだろう。
ドガアアァァァン!!――
赤いサイボーグは室内だろうが容赦なくキャノン砲をぶっ放してくる。廊下の横にある小部屋も、床も、天井も、お構い無しに撃ちまくる。
しかしキャノン砲は撃つ時に溜めがあり避けるのはたやすい。厄介なのは、大きくて重量のある大盾とキャノン砲本体をぶん回して攻撃してくる超脳筋戦法。
オレの下半身は鎧殻を着ているし右腕も義手だから動きのサポートはある程度されている。だが上半身には鎧殻を纏わず戦っているため、大剣でサイボーグの攻撃を受けた時のシビレは直で伝わってくる。
「どうしたこんなもんかァ!?」
とはいえ相手が直接攻撃をしてくるのはオレにとって都合がいい。なぜなら。
オレは大剣を赤いサイボーグに振り下ろす。そんなオレの一撃を大盾で受けたサイボーグは、今、全面が死角になっている。そこでオレはすかさず大盾の外側から右腕を内側に忍び込ませ、サトリに仕込んでもらった義手の新機能をブチ込む。
「『電杭刹火』!」
ズギュッ!――
「ぐあぁ!」
義手の内部で超高電圧を帯びた杭が手のひらから勢い良く射出され、撃ち出された杭は赤いサイボーグの左腕を一撃で粉々に粉砕した。サイボーグは左手で大盾を持っていたため、もう大盾を装備することが出来なくなっている。
オレは大剣を受け止めていた大盾を蹴り飛ばし、キャノン砲の次弾を放とうとするサイボーグに近づいた。
「舐めないでください!」
赤いサイボーグはキャノン砲をオレの足元に撃ち込み、床に穴を開けて自身もろともオレを下の階へ落とす。
オレは下の階の床に尻もちをつき、視界は瓦礫とホコリが舞って制限されてしまった。しかし制限された視界の中ででも、オレはキャノン砲の溜めている音を聞き逃さなかった。
ヒュンッ!――
勘で上へ飛んで砲弾を躱し、未だ晴れない視界の中で、再びキャノン砲の次弾の音に耳を傾けた。
「そこか!」
オレは義手に付けてもらったもう一つの機能、『伸縮鋼鉄鉤』を音のする方へ射出する。すると手応えを感じ、何かに引っかかりワイヤーが絡みついた感覚がした。そのままワイヤーを巻き取り引き寄せるが、その感覚は妙に軽い。
(なっ……!?)
オレが引き寄せた物は赤いサイボーグではなく、ヤツが持っていたキャノン砲だった。
「どこだっ!」
ホコリが晴れて辺りを見渡すが、サイボーグの姿はどこにもなかった。だだっ広い大広間で視界を遮る物は何も無いはずなのに、綺麗に消えてしまった。
スゥ――
ドジュッ――!
「んぐっ…………」
間一髪のところで見えない攻撃を躱し致命傷は避けたが、脇腹の辺りを少しえぐられてしまった。
「避けましたか。ですが次は避けれますか!?」
赤いサイボーグは恐らくステルス迷彩のような機能を使っている。霜と池田の鎧殻にもサトリがステルス機能を付けていたらしいが、オレの鎧殻にはステルス機能は無い。だから弱点も対策も分からない。
完全に勘で避けるしかない。
上階にいる池田の戦闘音、遠くから聞こえる敵兵の声、小さな窓の隙間から入る冷たい風の音。集中力を高めれば今まで耳に入らなかった音が聴こえてくる。目を開いたまま、音を聴き逃さないよう大剣を構える。
…………
……………………
………………………………
――!
「ッラァァァ!!」
オレの右後方へ一気に大剣をぶん回す。
ザギィィン――!
「そ、そんな………………」
護國宝浄・解の確かな手応えと金属がぶった斬れる子気味良い感触がオレの手に伝わってくる。赤いサイボーグは上下に真っ二つになり、キリキリと音を立てて床に倒れ伏した。
(ふー。ノーダメクリアはダメだったか)
思ったよりも手早く敵の処理を終えたため、オレは落っこちてきた穴へ飛び上がり上階へ登った。




