第二十五話 箱根城攻略⑥
「お、起きたみたいだぞー」
サトリはARモニターを全てとっぱらい、意識を取り戻した岳陽の頭部プロテクターをベチベチと叩く。
俺とゾウさんもサトリに続いて彼の顔面を叩いていると、勢いよく岳陽は起き上がった。
「やめろやボケ! いでで…………」
「アタシの鎧殻でできる治療は止血と再生力向上、あとは痛み止めぐらいだからまだ安静にしとけよ。傷開いちまうぞ?」
ぐらい、で収まる技術じゃないだろそれ。
何はともあれ、岳陽は一命を取り留めた。斬られていた鎧殻もサトリは応急処置を施しているようで、無理をしない程度には戦えるはずだと言う。
この城に乗り込んでから初の全員集合で攻略を再開する。下の階にいた兵士はあらかたサトリとゾウさんが蹴散らし、やることが無かったので俺の所へ来たらしい。
この大広間の一番奥にふすまがあり、上の階へはそのふすまを開けた向こうの階段で行ける。談笑も程々にし、俺達は大広間を抜け階段を登って行った。
「そういやゾウさん、新しい義手と武器の使い心地はどうなん?」
俺が彼に聞くと、目を輝かせながら自慢してきた。
「こいつはホントすげぇよ! 機能盛りだくさんの義手に、変形合体の種類も使い方も増えた『護國宝浄・解』。手数が増えた分頭は使うけど、今のところはこの大剣状態が1番使いやすいな!」
「よせやい、照れるぜ」
食い気味にサトリが話に入ってきた。
「まぁ特に問題がなけりゃ良いな。……っと、また中ボスか?」
階段を登りきった後に待ち構えていたのは広い廊下と多くの小部屋。そしてその廊下の真ん中に立っている2人のサイボーグ。
片方は赤色のボディにキャノン砲と大盾を装備し、もう片方は黄色のボディにサブマシンガンを2丁装備していて、それぞれ異なる武装をしていた。
「4対2は不利ですね『パプ』」
「そうですね『リカ』」
(パプリカ……)
赤色のパプと黄色のリカが立ちはだかり俺達を止める。
「だったらオレが出るぜい」
深紅の大剣を肩に担いで1歩前に出るゾウさん。きっと武器を振るのが楽しくて仕方ないのだろう。
「なら俺も出ようか」
刀を杖のようにしながら岳陽はゾウさんの隣に立つ。産まれたての子鹿とまではいかないが、回復しきっていない身体を無理やり動かしている。
俺もサトリも止めようとしたが、ゾウさんもいるし大丈夫だろうということで強くは引き止めなかった。
「それじゃ俺ら先行くからよ。さっきみたいなマヌケなことすんなよ」
パプリカサイボーグのど真ん中を突っ切ろうと俺とサトリは全力ダッシュする。当然通り抜けようとする俺達をパプリカは攻撃してきた。
ガギイィン!――
「大将が通るんだ」
「邪魔すんな」
ゾウさんと岳陽はパプリカの攻撃を止め、俺とサトリはスムーズに廊下を走りきることが出来た。
絶好調のゾウさんと絶不調の岳陽はそれぞれパプとリカにガンを飛ばし、大剣と刀を向けて俺達を追えないよう牽制する。
「2対2なら余裕ですねパプ」
「そうですねリカ」
赤色のパプをゾウさんが、黄色のリカを岳陽が相手にする。重量級対重量級、軽量級対軽量級の戦いが始まろうとしていた。




