第二十四話 広い目で天を支える
颯太と初めて出会ったのは小学校の頃だった。俺は人と話すのがすごく苦手でいちいち気を使わないと人と話せなかった。そんな俺とは対象的に、颯太は友人といる事が多かった。彼は毎日校庭で遊び、授業中もよく発言し、放課後もよく公園で遊んでいたそうだ。
そんな颯太と直接話したのは小学4年生の頃だ。サトリという共通の友人を通じて会話が始まり、最初は好きなゲームが同じという話題から、徐々に彼との交流が増えていった。
俺は少し家庭環境にクセがあり、そのせいか人の顔色を伺いながらじゃないと人と接することが出来なかった。
しかし、彼は昔から人と接する時、まるで何も考えていないような接し方をする。なぜそんな言い方するのか、それは言い過ぎなんじゃないか。口や性格はもちろん悪く、それを直そうともしないふざけた姿勢は、もはや天性の才能としか思えなかった。
そんな彼と接するようになってから、俺の物の考え方は一変した。世の中には、自分の物差しで測れる人間と測れない人間がいる。測れる人間というのは、自分の意思や感情を持たないマニュアル人間だ。何も考えず何の責任も持ちたくないような人間に多く、俺の持つ物差しの範疇で収まるため定型文で話が通じる。
だが測れない人間は中々に厄介だ。颯太やサトリなんかは自我がとても強く、悪い意味で個性的であり強い意志をもっている。彼らはワガママでも面倒臭がりでも、心の奥底には自分の力で自分を変えようとする意志がある。そういった人間は、俺の物差しでは測りきれない人間性を持っているため、俺の理解の範疇を超えていて定型文での会話が成り立たない時もある。
「何ボケっとしてんだよ。マヌケヅラ晒すよりいつものねちっこい戦術考えるのが先だろ」
「黙れや。今考えとんねん」
彼の前では脳みそを空にして会話ができる。共にしている時間が長いのもあるが、俺も彼に習って自分を出す事を練習している。
「なぁ」
「ん?」
「もしこの箱根城、誰かが死んだりしたら…………」
「お前慎重すぎ。アイツらは知らんが俺は死なねぇ。一発当たれば全部ひっくり返せんだから、失敗なんて成功すりゃペイできんだよ」
「その失敗が誰かの死だっつってんだろ」
短絡的で他人の事など考えない。しかし自分が利と思う事はとことんやるような面白い友人が、怠ける事とは正反対の目標を掲げている。
他人の幸せや頑張りが好きで応援したくなってしまう俺は、身近にいる矛盾野郎の手伝いをして達成感を得たい。だから俺は颯太の夢に乗る。
「もーちょいで箱根城着くんだから気張れや童貞」
「誰に言ってんだよサル大将」
俺はこの先も彼の金魚のフンとして刀を振る。どれだけ面倒でも俺がサポートすれば、彼は良いパフォーマンスが続けられるから。




