第二十一話 箱根城攻略③
ダダダダダダダ!!!――
エース将軍の両腕両脚から大量の弾幕が放たれる。真正面から防いでやろうと思い拡張装甲を展開したが、計8つの拡張装甲でも全て防ぎきることは難しく、早々に諦めて回避することにした。
後ろに回避したんじゃ全く意味が無いため、廊下の壁目掛けて飛び上がり、さらに壁を蹴って天井付近まで飛び、天井からまた壁に向かって飛んで床に着地する。床、壁、天井、壁、床と、ひし形を描くように回避しながら、徐々に徐々に距離を詰めていき、俺の通った場所が蜂の巣に変わるまで回避しまくった。
そんな俺がわずらわしかったのか、エース将軍は背中から伸びている2丁のレーザー銃を動かして俺に狙いを定める。
ピュン――ピュン――
「っぶね!」
レーザー弾は実弾兵器よりも弾速が圧倒的に速く、見切るとか見切らないとかそういう次元で回避するものでは無い。俺はたまたまカンに頼って避けられたが、次も上手くいくとは限らない。
(こういう時はアレを使うに限るな…………)
俺はからくり刀の鞘に付いているマガジン挿入部に特殊弾倉を挿入し、トリガーに指を掛けて刀を自分の前に突き出した。
「fucking レーザーちゃん」
バァンッッ!――――
まさか刀から弾丸が撃ち出されるとは思わなかったであろうエース将軍のレーザー銃は、超過負荷電圧機構によって撃ち出された特殊弾によってぶっ壊れた。
「左右対称にしなきゃね?」
俺はもう一度トリガーを引いた。
バギイィィンッ!――
予測不可能な攻撃に対しエース将軍は反応が遅れ、背中のレーザー銃は特殊弾によって2丁ともぶっ壊れた。
「変な武器使うな!」
再び実弾兵器による弾幕攻撃を行うエース将軍。俺は弾幕を避けつつ、再度刀の届く距離まで近づこうと彼に接近した。
もう少しで間合いだ、という時、突如エース将軍の腕部ガトリング砲がパージされた。
いや、それだけでは無い。パージされた装甲から新たに刃物が飛び出てきた。
ギイィンッ!――
間一髪のところで飛び出た刃物を刀で受け止める。よく見ると飛び出てきた刃物は腕部の装甲と一体化しており、カタールという武器によく似た形状で、刃の部分は熱を帯びたヒートエッジになっている。
あまり長いこと接触させてるとこっちの刃が負けると思い、俺はエース将軍のヒートエッジを切り払って少し後方へ下がった。
「そっちも近接武器で来てくれるたぁありがたいねぇ」
相手が重装備だろうが、ヒートエッジを持っていようが、それらを叩き伏せる術を俺は流派のセンセーから教わっていた。多対一の集団制圧力と圧倒的センスに身を任せた超ギャンブル的攻撃力がウリの多聞流剣術。
「『多聞流・瑠璃火花』!」
本来なら自身の武器を投げて敵を怯ませた瞬間、次の行動をさせる前に敵に近づき、投げた武器で追加攻撃をするというこの技。俺の場合、からくり刀に搭載されている刀を自由に動かす機能と、超過負荷電圧機構による高周波付与によって更にエグい技へと進化させる事に成功している。
刀を宙に浮かせて猛回転させ、エース将軍の右肩目掛けてそれをぶん投げる。
ギャリギャリギャリッッッ!!!――
ほのかに青い電光を纏った刀が、まるでドリルのように回転して装甲ごと肩を抉り火花を散らせる。そこへすかさず彼へ飛び込み、刀を握ってそのまま右肩を一刀両断する。
普通の人間はここで満足してしまうだろう。
しかし多聞流は終わらない。
俺は落とした右肩を左手で掴み、エース将軍の脚目掛けてヒートエッジをぶん回した。
「なっ……!?」
惜しくも反応されてしまい両足切断は出来なかったが、右脚の機関砲はぶった斬ることに成功した。
「なーんだ、普通ならここで殺れるのにな」
さすが将軍と言うべきか。エース将軍は俺の動きを警戒して迂闊に攻撃をしなくなってきた。それどころか、単眼をギョロギョロさせて自分が突き破った廊下の外を見ている。
「ユー、名前は」
俺はせっかくだからと思いサトリから貰った名刺をエース将軍に投げる。ちょっとダサいやつね。
「ふむ、ソウタか。私は逃げない。上で待つ」
どゆこと? と内心思っていると、エース将軍は背中のバックパックを噴射させてこの場から飛び去ってしまった。
(逃げとるやん)
戦略的撤退と見るか、再戦のための準備をしに行ったのか、どちらにせよ将軍を逃がしてしまった。
「えー、こちら大将。エース将軍は上へ逃走。誰か来れるやつは一緒に来るように」
俺は他3人に通信をとる。するとすぐに彼らから返事が帰ってきた。
「こちら新大将。陰キャそうな生身の人間とサイボーグを潰して回るのが楽しすぎるンでパス」
「こちら真大将。新しい義手と『護國宝浄・解』で遊びたいんでパス」
「こちら裏大将。今全員の座標と箱根城内部のスキャンが終わったんで合流する」
ウザ。
直後岳陽から箱根城のARマップと各員の座標が送られてきた。
それによるとどうやら箱根城は2部構成になっており、今俺がいるクソ長廊下は本城と副城を繋ぐ橋のようなものだった。本城と副城は外見的にはひとつの城だが、城内で区分けされているらしく、本城の方に大将の天守閣がある。
俺はちょうど副城から本城へ向かっている途中でエース将軍に襲われたっぽい。
「ここは通さんぞ!」
突然した声にハッとなり前を見ると、数十人の敵兵が俺に向かって武器を構えていた。ARマップに集中していたせいで周りがあまり見れていなかった。
俺は目の前の敵に目線を向け、再び刀を構える。
「岳陽、3階大広間集合な」
シンプルにそれだけを伝え、俺は雑魚狩りを開始した。




