第十九話 箱根城攻略①
「おいおいおい、鎧殻を起動させて全力疾走なんて、一体何をそんなに急いでいるんだ兄弟たちよ」
サトリとゾウさんを追っかけていると、箱根城付近で兵士に止められてしまった。緊急事態でもないのに不振な動きをする奴らがいたらそりゃ止めに来るだろう。
「あぁ、私たちはただ鎧殻の性能テストをしているんですよ。非常時に備えられるように」
ドレッドヘアーのサイボーグ兵士の前で飛び跳ねながらパチをこいた。兵士はハッハッハと笑い、コケるんじゃないぞと忠告するだけで解放してくれた。チョロイ。
そのまま城に向かって走っていると、やたら兵士が群がっているのが見えてきた。
よく見ると彼らはキャンプファイヤーをしているようで、硫黄立ち込める大涌谷でよく火なんて使えるな、と妙に関心してしまった。
「もっと踊れや!」「ぎゃははは!!」
楽しそうにはしゃいでいる個性豊かな兵士たち。箱根城は目前に迫っていたため、その数は道中よりも多くなっている。
(警備ザルすきだろ…………)
俺はあらかじめ調べてあった4つのルートのうち、城の裏手側から侵入するルートに向かうため岳陽と離れた。彼もそれは感じていたようで、何を言わずとも別々の行動を取りはじめた。
そこかしこに兵士がいて城を警備している。さすがにどこででもキャンプファイヤーをするアホが居るわけではないらしい。石垣の隙間から見える監視カメラや赤外線センサーなどもバッチリ起動しているらしく、兵士は電子機器の邪魔をせず死角を潰すよう配置されている。
(サトリが組み込んだ新機能のお披露目と行くか)
箱根に来る前、俺たち全員の鎧殻をメンテナンスすると言い、サトリは1度全員分の鎧殻を回収していた。それは後から、改修が目的だと彼女から明かされたが。
単に身体能力向上のための鎧ではなく、組織として、兵士として、そして負けないための改修がサトリによって施された。
新しく追加された機能のうち、こういう隠密行動の際に役に立つ機能を今披露する。
ヴウゥン――
(『試作ステルス迷彩機能』。赤外線センサーには捕まっちまうが、監視カメラと兵士の視界からは消えることが出来る)
光の屈折を利用して周囲の環境に溶け込み、まるでその場から消えたかのように見える迷彩機能。このステルス迷彩が起動している時、砂ぼこりのたつ場所や返り血を浴びてしまったら、逆に目立ってしまうため注意が必要だ。
(頭部プロテクター展開。『センサー視認モード』オン)
センサー視認モードもサトリが新しく追加した新機能だ。普段視認できないようなセンサーや特殊な電波などを、頭部プロテクター展開時に視認することができるようになる。使用用途は限定的だが、用意が良いと言わざる負えない。
敵の視界とセンサーに気をつけながら城の石垣に沿って侵入ルートの目的地まで進み、ある程度敵の特徴と各防犯システムの配置パターンを覚えた頃。
ドガアアァァァァンッ!!――
箱根城内からとてつもない破壊音が聞こえた。近くにいた兵士もびっくりして音のした方向を見て誰かに通信している。
すると。
「はぁ!? 侵入者だって? 一体どんなやつが…………、メリケンを持つ生身の女とマスク型の筋肉野郎? 自殺志願者かぁ!?」
通信を切り大急ぎで兵士は救援へ向かって行った。
すいません。それ、うちの仲間達です。




