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雪の旅人

作者: かず

旅人といえばコートと鉄道だと思い、物語を作りました。

雪がしんしんと降り積もる冬の夜、旅人の佐藤一郎は、古びた鉄道駅に立っていた。切符はJRではなく、幻想鉄道という会社のもののようだ。彼の目的地は、遥か彼方の雪国にあるという伝説の村「白銀の里」。その村には、どんな願いも叶えるという「雪の精」が住んでいると伝えられていた。


一郎は幼い頃からこの伝説を聞いて育ち、いつかその村を訪れることを夢見ていた。今、その夢を叶えるための旅が始まろうとしていた。彼は厚手のコートを身にまとい、手に持った切符を握りしめながら、静かに列車を待っていた。


やがて、遠くから汽笛の音が聞こえ、古びた蒸気機関車がゆっくりと駅に入ってきた。列車はまるで時間を超えて現れたかのように、幻想的な雰囲気を漂わせていた。一郎はその列車に乗り込み、窓際の席に腰を下ろした。


「発車しまーす」影のような車掌がそうアナウンスする、列車が動き出すと、一郎は窓の外に広がる雪景色に目を奪われた。白銀の世界が広がり、木々は雪の重みで枝を垂れ下げていた。列車は静かに進み、まるで夢の中を旅しているかのようだった。


途中、一郎は不思議な光景に出会った。雪の中に立つ古い駅舎で、白髪の老人が一人、静かに佇んでいた。手にはカンテラのようなものを持っていた。老人は一郎に微笑みかけ、何かを囁いたが、その言葉は風に消えてしまった。一郎はその光景に心を奪われ、しばらくの間、窓の外を見つめ続けた。


列車はさらに進み、やがて「白銀の里」に到着した。村は雪に覆われ、不思議な静寂が支配していた。一郎は村の中心にある大きな広場に向かい、そこで「雪の精」を探し始めた。


広場の中央には、美しい氷の彫刻が立っていた。その彫刻は、まるで生きているかのように輝いていた。一郎が近づくと、彫刻の中から柔らかな光が漏れ出し、やがて一人の女性の姿が現れた。彼女こそが「雪の精」だった。


「ようこそ、旅人よ」と雪の精は優しく語りかけた。「あなたの願いを叶えるために、ここに来たのですね。」


一郎は深く頷き、自分の願いを心の中で唱えた。彼の願いは、失われた家族との再会だった。雪の精は一郎の心を読み取り、静かに微笑んだ。


「あなたの願いは、純粋な愛から生まれたものです。その願いは必ず叶うでしょう」と雪の精は言い、手を差し伸べた。その瞬間、一郎の周りに温かな光が広がり、彼はまるで夢の中にいるかのような感覚に包まれた。


気がつくと、一郎は家族と共に暖かな家の中にいた。彼の願いは叶い、再び愛する人々と過ごすことができたのだ。


数分後、一郎は夢から目覚めた。雪の精の姿形もそこにはなかった。数分だったが、ただ、限りない時間の旅から帰ってきたような気持ちになった。

「なるほど、夢は夢のままでいいや」

そうつぶやくと一郎はコートの雪をはらって羽織り直し、とぼとぼと雪道を歩き始めた。

旅や壮大な冒険も割と終わりはあっけなかったりします。

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