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太陽サンサン

作者: 昼月キオリ

太陽サンサン

とある路地裏の日陰に咲く名もなき小さな花。

名もなき小さな花は太陽を浴びる事がない場所に咲いているのにも関わらず一生懸命咲いていました。


そんな名もなき小さな花にはたった一つ願い事がありました。

それは太陽を浴びること。

名もなき小さな花「いつか太陽を浴びたいな

眩しくてキラキラしたあの光にならこの身を全て焼かれてもいい

でも私はきっと明日も明後日もこの場所で咲き続けるんだろうな」

名もなき小さな花はそんな諦めにも似た気持ちでいました。


そんなある日の事。

隼人「ママ!僕この花が欲しい!」

近寄って来たのは元気な3歳の男の子。

母親「隼人、そんな所に咲いてる花触らない方がいいわ

花が欲しいなら花屋さんで買ってあげるから」

ハヤテ「やだ!!僕はこの花がいいの!」

母親「もう、しょうがないわね」

普段わがままをあまり言わない隼人の言動を珍しいなと思いながらも母親はお願いを聞き入れる事にしました。

隼人は一生懸命根っこまで手で掘るとそっと土ごと花を手の上に乗せました。

母親「帰ったらちゃんと手を洗いなさいね」

隼人「はーい!!」

隼人は嬉しそうに花を運んでいきます。


名もなき小さな花「急な出来事に驚いたけれど、この子が喜んでるからいいか」

運ばれながら名もなき小さな花は嬉しそうにしている隼人を見て自分も嬉しく思うのでした。


隼人は家に花を持って帰って来た後、母親に教えてもらった通りに鉢に植え直し、日の当たる場所へと移動させました。

 

名もなき小さな花「子どもだしきっとすぐに飽きて枯らされてしまうんだろうな・・・でもそれでも太陽を浴びる事ができたから嬉しい」


しかし、隼人は予想とは裏腹に毎日お水をあげたり、話しかけたりと、しっかりとお世話をしました。


隼人は絨毯の上にうつ伏せの状態で足をバタバタとさせながら花を眺めるのが日課になっていました。

母親「隼人は本当に日向ぼっこが好きね」

隼人「うん!僕、お日様大好き!」

 

名もなき小さな花「隼人君、太陽をいっぱい浴びせてくれてありがとう・・・毎日お水をくれてありがとう・・・話しかけてくれてありがとう・・・」

いつの間にか花びらから雫が落ちていきました。


隼人「ママ!花が泣いてるよ!!」

母親「何言ってるの、花が泣くわけないでしょう?」

洗い物をしていた母親は背を向けたまま言った。

隼人「ほんとだよ!!」

母親「はいはい」


1週間後。

隼人「ママ!どうしよう、花が枯れちゃった・・・」

隼人は枯れた花を見つめながら泣き始めてしまったのです。

母親「もうこの花はね寿命なのよ、だからもう・・・」

隼人「やだ!きっとまた咲くよ!だから捨てないで!」

母親「分かったわ」

母親は必死に鉢を守ろうとする我が子があまりにも可哀想になり、そのまましばらく置いておくことにしました。

 

更に2週間後・・・土からひょっこりと芽が出てきました。

隼人「ママ!見て!芽が出てきたよ!」

母親「あら?本当、良かったわね隼人」

母親は隼人の頭を優しく撫でました。

隼人「うん!」


そうしてまた名もなき小さな花と太陽が大好きな隼人の平凡な日常が始まるのでした。






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