シカバネ和菓シフォンケーキ
俺は屍ゾンビ。お菓子職人の夢を捨てきれず蘇った死人で夢はパティシエ世界一王ケーキ部門。
そして今は有名個人店のシェフを務めて早一年になる。
「シェフ、アイスケーキ・目玉饅頭お願いしまーす。」
「はいよ。アイスケーキ・目玉饅頭ぅぅぅ嗚呼!!」
有名になった理由は俺がゾンビでありながらもパティシエをやっている。
そしてハロウィンのようで洋菓子のような和菓子を生み出しその不可思議さを上回る美味しさのギャップが客を呼んでいる。
そんな大繫盛な俺の店に来たのは俺の憧れであり、好敵手の真也。
カリスマ的見た目と調理時のしなやかさから若者(特に女性)に人気。
偶に…いや結構いつもうざったらしいがいいやつなんだよなぁ。
真也はナルシスト顔負けのポージングをかまして注文した。
「anndextuto・sifonnケーキ、いただこうか。」
「ゾンビシフォンケーキ。はいよ(青筋)。」
俺は怒りを抑えながらも屍のような不気味で一見無駄の多い動きを見せつつ、癖の強い生地作りやクリームの泡立てをする。
(一見、不気味でガクガクした意味不明な動きだが実は無駄のなく軽やかに効率よくファンサービスをしながら的確に作っている。我じゃなきゃ見抜けなかった。)
そう女性客にサインしながら心の中で解説する真也。
はたから見れば56したい。正直。はいはい。
そうしている間に完成。
「では、いただこう。」
上品に自前のナイフとフォークで食べる。
(っ!これは、濃い抹茶の苦みが和風間を出して酸味の強いblueberryソースの味を程よくしている。
ケーキの柔らかさも程よくよりクリーミーに絡み合う...)
美味しそうに完食した。
「ま、まあそこそこと...だな。」
「はいまいど。」
「それでは今度のパティシエ世界王者決定戦期待しているぞ。」
「はいよ。」
そして俺はパティシエ世界一の大会本番までに技術を磨きあげ続けて当日。
準決勝五名に入り、試合開始。
緊迫した空気でもペースを落とすことはない選手。
それぞれが客の五感を引き寄せケーキの魅力を引き立たせる。
完成して審査員が食べる。
俺と真也以外が4.8。真也が4.9という結果になった。
俺が出した今できる最高傑作 シカバネ和菓シフォンケーキ。
俺が最も得意とし、磨き上げた作品。
結果は…
「総合結果...5.0!!」
俺は見事優勝し、同時に最期を迎えた。
悲しみと感動が巻き起こり、世間は俺をこう言った。
シカバネ和菓シフォンケーキ職人と。