「きゃ――!見ないで――!」『形代』
「ここから、フレイヤ教を母体とするダークナース教皇の領域です。気をつけて進みましょう」
マーサの生まれ故郷のシスター・シホンの昇格試験のため大陸を渡ったロイヤルフィアンセーズは、いよいよダークナース教皇領へ足を踏み入れた!
『宗教』の力で発展した【フレイヤ教会】『ダークナース教皇国家』は他の大陸とは異なった文化で発展している。
一番の違いは『ダークナース教皇国家』では『魔法』は使わない。代わりにや『印』を結ぶことで、大気の力を意のままに操る『陰陽師団』が国を守っている。
「見て!女の子が魔物に襲われいる!助けなきゃ!」
レキの指差す方角に目を向けると、狼の姿をしたシベリアンウルフが小さい女の子を襲おうとしている!
「何か飛んでくるぞ!」
イクが二時の方向を指差す。
すごいスピードで白い布のようなものに乗った体に布を巻き付けただけの格好のセクシーお姉さんが現れた!
「大丈夫か!?『陰陽師団』見習いの私、イッタン・モメンが来たからには好きにさせないわ!」
布を巻き付けただけの服は、ところどころ肌が見えてとてもセクシーだ!
「え~ん!え~ん!」
シベリアンウルフが、今まさに女の子を襲おうとしている!
「ガルルルゥ~!」
「淫!兵!闘!者!皆!陣!裂!在!前戯!止まりなさい!」
イッタン・モメンは胸の布の間から人の形をした札を取り出し、呪文を唱えながらシベリアンウルフに投げつけた!
「グガガガァ――!?」
シベリアンウルフの動きが止まった!
「爆ぜなさい!滅!」
モメンの合図で札が爆発した!
ドーン!
「グルル――!!」
しかし、シベリアンウルフには効いていない!
シベリアンウルフは狙いをイッタン・モメンに変更し、突進してくる。
「甘いわ!」
「甘いわ!」といって寸前のところでシベリアンウルフの攻撃をかわしたが、シベリアンウルフの牙にモメンの足首の布が引っ掛かり、モメンはクルクルと回りながら服がはだけていった!
「あ~れ~!?」
駒のように回りながら、布が巻き取られる!
足から腰へ、腰から胸へ!
「ファイアーボール!」
マーサのファイアーボールがシベリアンウルフに直撃する!!
「グギャァ――!!」
シベリアンウルフは黒こげになった!
「――!?誰!?……助けてくれてありがとう」
胸の先端ギリギリのところまで巻き取られた布を必死で隠しながら、マーサにお礼を言う。
「いやいや、当たり前のことをしたまでだよ」
美人には優しいマーサ!誰だってそうだ!
「マーサ、布が胸まで巻き取られるまで助けるの待ってただろ?」
鋭い勇者ユキノのツッコミ!
「――うっ!!……バレたか!」
「是非ともお礼がしたい。陰陽師団までお越しいただけないだろうか?この子も親元へ送りたいので案内も兼ねて」
イッタン・モメンは自分の体に布を巻き付けながら話す。
「それは、ありがたい。案内願おう」
ユキノが行為に甘える。
ロイヤルフィアンセーズは難なく『ダークナース教皇国家』への入国を果たした。
入国を果たしたロイヤルフィアンセーズ面々はひとまず『昇格試験』があるシスター・シホンは手続きのため別行動を取ることになった。
「皆さん、護衛ありがとうこざいました。明日の試験がんばります」
深々と頭を下げるシスター・シホン。
「では、私達は陰陽師団にお邪魔するわね」
勇者ユキノは明日の試験は応援に向かう旨を伝え、シスター・シホンと別れた。
【ダークナース教皇国家『陰陽師団』】
「カラカッサー!」
陰陽師団の扉を開けた見習いイッタン・モメンは大きな声で挨拶をする。
陰陽師団の掛け声は今も昔も『カラカッサー!』だ!
「イダ―ョチポンチ!ムノコッシオ?」
師団長らしき女性が知らない言葉で話しかける。
「ルサワイッパオ?……あ、チッエ語は分からんか。ごめんね」
「え?……俺、わかるな」
謝る美少女にマーサは不思議と彼女の言葉を理解していた。
「モメンと子供を助けてくれたそうね。礼を言うわ」
陰陽師団・団長アベノ・ハルカが頭を下げる。
白い小袖(白衣)に緋袴姿のアベノ・ハルカは巫女さんのような格好をしているが、まわりに人の形をした札が浮いている。
「それでは、保護した子供を親元へ返してきます!カラカッサ――!!」
イッタン・モメンはひとまず子供を連れて退出する。
「人の形をした紙が浮いてる!」
マーサは札をジャンプして掴もうと必死だ。
「これは『形代』といって、陰陽師団が使う妖術のための依り代(※神が宿るとされる物)よ!今は私の護衛として浮いているけど、髪の毛を入れたりすると、入れた相手を意のままに操れたりもするわ」
マーサは「ほほぅ……」と呟くと、アベノ・ハルカの髪の毛を一本取り、捕まえた形代に入れる。
「え!え――!!動けない!?団長の私が!?」
ハルカはピクリとも動けない。
「え?どうしたのですか?」
レキがハルカに近寄る。
「あっ!やめっ!んぁ!」
ハルカは自分で自分のおっぷにを揉みはじめた。
プチ!プチ!プチ!
「痛っ!ん?」
ロイヤルフィアンセーズの面々から髪の毛を一本ずつ拝借したマーサは、捕まえた形代に髪の毛を組み入れる。
「体が勝手に……んぅ――!!」
ユキノはサーフォンにキスをした。
「んふひほひ――!?(ユキノ様――!?)」
「はわわ!イク様!そんなとこ舐めないで!」
「モガモガモガ(トモミン殿!すまぬ!)」
イクがトモミンの下半身に顔を埋める。
「え?え――!?」
陰陽師団長ハルカがレキに覆い被さる。
ハルカの下半身から透明な液体が流れでる。
「えっ!?なんで!?形代からの念でエッチな気分になっちゃう!」
※マーサの特殊な念『淫念』により彼女達の感度は10倍になった!
ハルカは自分の秘部をレキの秘部に合わせた!
「はぁ――ん!!」
「これが、こうで!こうして、こう!」
「ダメ!ダメなの来ちゃう!やぁ――ん!!」
6体の形代を操るマーサは案外忙しかった!
【数分後】
「無事に子供を親のところへ返してきました!」
陰陽師団見習いイッタン・モメンが帰ってきた!
「きゃ――!モメン!見ないで――!」
全裸で大の字の陰陽師団長アベノ・ハルカを中心に同じく全裸で大の字のロイヤルフィアンセーズの面々が空中に浮かび『人』の文字を作っていた。
「マーサ殿を止めて――!」
イクが形代遊びに夢中のマーサを止めるよう目で合図を送る。
「できた!巨大全裸裸体!完璧!次は全員のおっぷにを重ねて……」
「こいつか!悪霊退散――!!」
モメンの布がマーサにクリーンヒット!
「ぎゃぁ~!!」
彼女達の呪縛が解けた!
「やれやれ、本来、陰陽道は特殊な訓練をしないと扱えないのだぞ」
ハルカが自由になった体でマーサを縛り上げる。
「ま、マーサだしね」
幼馴染みのレキが溜め息をつく。
「ご主人様のエロパワーに制限はないでっす」
マーサ専用メイド長トモミンはマーサに感心する。
「実際、気持ちよかったですわ」
マーサ・ラブの鉄仮面サーフォンの意見は参考にならない。
「まったく、マーサ殿が王都ハラミカシラの第一王子でなかったら打ち首ですよ」
「王子でも打ち首じゃない?」
剣聖イクの心配に勇者ユキノが追い討ちをかける。
「打ち首だけは~こ勘弁を~」
グルグル巻きにされたマーサが泣きながらジタバタする。
「そんなことしたら戦争よ。しかし、マーサとやら、すごい力ね。大司教イナリ様と同じ位とんでもないわ」
師団長ハルカが腕を組みながら話す。
「え!ご主人様と同じぐらいの力を持ってる人がいるでっすか!?それはもう、人じゃないでっす!」
聖女兼マーサ専用メイド長トモミンはズバッ!と言いきる。
「ひどい……」
グルグル巻きのマーサが泣きながら精神ダメージを受ける。
「自業自得よ」
レキが呟く。
「最初に話したチッエ語も陰陽師の技を広めたのも大司教イナリ様よ」
ハルカは自分のことのように誇らしげに話す。
「大司教イナリ……会いに行ってみるか」
ユキノが提案する。
独自の発展をしたダークナース領……。
陰陽師の技……。
チッエ語……。
「隣国の第一王子……か。イナリ様みたいだな……」
グルグル巻きにされながらも自身の袴の隙間からショーツを覗こうとする規格外のマーサ。
「まさか……ね」
と不安を口にしながらマーサを蹴飛ばす陰陽師団長アベノ・ハルカであった。
<つづく>




