「ふへ?」『ダークエルフの儀式』
「着いたぞ!大陸だ!」
船の先端についている女神フレイヤ像に胡座をかきながら座っているユキノが船の前方を指差す。
「やっと着いた!マーサ!着いたわよ!船酔いは大丈夫?」
レキは船の手すりを両手で掴みながらうずくまっているマーサの方へ視線を向ける。
「だ、だいじょうヴイ~」
真っ青な顔のまま、強がって『Vの字』のピースをレキにする。
「あんた、乗り物弱いのに、バカみたいに出すからでしょ!」
結局、シスターシホンの魔法銃にマーサのナンポジュースを充填するために、昨日は十回ほどがんばって出した!えらいぞマーサ!
「すいませんマーサさん!私の銃の充填のために、たくさん無駄打ちさせてしまい……」
うまいこと言ってるが、天然のシホンは無自覚だ!
「ご主人様のバナンポは散弾銃でっす!」
聖女トモミンは両手を広げて跳び跳ねる。
「そんなに飛び散らないよ。ちゃんと目に入らないように狙って出してるよ!」
アホマーサのアホな反論。
「確かに、ほとんど口の中に飛んできます!さすがマーサ殿!射撃の才能もあるかと!」
イクが腕を組みながら「うんうん」と頷く。
「はっ!私は飲みたいので、すぐに咥えてしまいます!マーサ様は顔にかけたかったのですか!?」
サーフォンが心配そうな顔をマーサに向ける。
「マーサ、お前のまわりはアホしかいないのか?」
まさかの変態勇者、ユキノのツッコミ!
「ユキノに言われた――!!」
なんか、とてもショックだった!
「…………」
自分も含め、言い訳すらできない日頃の行いを少し反省するレキであった。
船は無事に船着場へ着いた。
「ふぅ~、陸地は落ち着く」
船を降りたマーサ達は道なりに歩き出した。
「このまま進んだら、ダークエルフが住む『枯渇の森』ですね。どうしましょう?迂回しますか?」
「トモミンはハーフエルフですが、ダークエルフは他種族との交流を完全に断絶した、ちょっと怖い種族でっす!寿命も長く、女性しかいません。全員がセクシーお姉さんでっす!しかし……お姉さん目当てで森に入った男は、二度と帰ってこないという噂がありまっす」
トーンを下げ、怪談のように話す。
「よし!じゃあ、まっすぐ行くかなぁ~」
マーサは頭の後ろで手を組み、口笛を吹きながらまっすぐ進もうとする。
「あんた、話聞いてた!?絶対に「セクシーお姉さん」で決めてるじゃない!」
「そ!そんなことないよ!お、俺は!シホンさんのために!最短で!まっすぐに!……あ!あんなところにスクール水着の上にセーラー服を着たセクシーお姉さんがうずくまってる!」
マーサはダークエルフが住む森の前で座りこむお姉さんさんに近づく!
「マーサ!ちょっと!」
レキはマーサを止めようとするが、マーサは走っていってしまった!
「あれ……罠じゃないか?」
ユキノが言う。
「確かに!あからさまにマーサ殿が好きそうな格好で道端にいるなんて――!?」
イクがマーサを止めようと手を伸ばした瞬間、マーサの姿が突然消えた!
「あ、マーサさんが落とし穴に落ちました!」
シホンが叫ぶ!
「ご主人様――!!」
「ああ!ロープでグルグルに縛られたマーサ様が、鳥に掴まれ飛んでいきました!」
サーフィンが叫ぶ!
大きな鳥のくちばしに咥えられたマーサが遥か上空へ飛び上がる!
「あ~れ~……」
マーサの声が遠のく。
「よし!捉えた!逃げるぞ!」
先ほどのセクシーお姉さんが、そう呟くも、森の中に消えていった!
「マーサ――!!!!」
ユキノが叫ぶ!
マーサは、まんまと捕まった!!
「あの、バカ――!!」
レキが叫ぶ!
自業自得が異世界一似合う男、マーサ!
【枯渇の森 ダークエルフ族長宅】
『ふふ……クスクス……ふふふ』
森の中央にあるダークエルフ族長の大邸宅に妖艶なダークエルフ達が百人ほど終結していた。
「――と、いうわけで、ここに連れて来られた男は皆、精根を吸いとられ廃人になってしまうのだ!それが『枯渇の森』と呼ばれる由縁よ!」
ダークエルフ達の中央で、縛られたマーサに威厳を見せようとダークエルフ族長、カオーリュは高らかと宣言する!
『お――!!』
久しぶりの男にダークエルフ達は歓声を上げる!
「へ――!!タダでエッチなことされちゃうのか!困ったなぁ――!!いや~、困った――!!」
マーサのニヤニヤが止まらない!
ダークエルフ族長カオーリュをはじめ、ダークエルフ達は体に布を巻いただけの服装で、今にもいろいろこぼれそうだ!!
「話、聞いてたか?お前に用があるのではない!用があるのはお前のそこについている子種棒だ!」
マーサの股間を少し恥ずかしそうに指差す。
「あ、バナンポのこと?」
カオーリュにバナンポが一礼をする。
「お前の国ではバナンポというのか。まぁ~よい、女性のみのダークエルフは寿命が長い。よって百年に一度、男を捉えて子種だけ貰うのよ!百人の女がお前を絞り尽くす!覚悟しなさい!」
カオーリュは「お~っほっほっほ」と笑い飛ばす。
「ひゃ、百人!一度に三十人を相手しても十日かかるか……くっ!!楽しすぎる!」
さらっと、一人三回で計算する変態マーサ。
「ん?何かおかしなこと言ったか?これは儀式だ!決して快楽ではない!儀式を取りまとめる監視員はカンシ!貴様を任命する!」
前列にいた厳格そうなメガネお姉さんを指差す。
「族長、拝命されました。これは百年に一度の厳格な儀式。しっかり監視致します。尚、ルールを守れないダークエルフは族長であろうと牢獄行きになりますのでご注意を……」
カンシのメガネがピカッ!と光る!
「ああ!当たり前だ!これより百年に一度の『子種の儀』を行う!!」
『子種の儀』ルール
一、女人はバスタオル一枚を着用すべし
一、男の『子種棒』を手で触れてはならない
一、男の口唇に自らの口唇を押し当て、口唇を男の体から決して離さず、子種棒まで辿り着くべし
一、子種棒まで辿り着いたら、足を広げ、宝穴を男の口元へ押しつけるべし
一、男の口へ聖水を与えたのち、子種棒を宝穴へ入れるべし
一、決して、声を出してはならない
一、決して、感じてはならない
子種を宝穴に納め『子種の儀』は終了とする
此れ、女神フレイヤの教えなり
「……女神フレイヤ?」
心の中で「あの女神、遊んでやがる……」と思ったが、黙っておく。
「まずは私が手本を見せよう!百年ぶりの儀式だ!皆のもの!よく見ておけ!」
バスタオル一枚を巻いた姿になったカオーリュが意気揚々と登場する。大きな胸のせいですぐにはだけそうになるバスタオルを必死で直す。
『わぁ――!!』
ダークエルフのボルテージは最高潮だ!
「黙らっしゃい!厳正なる儀式よ!」
カンシの一喝!
『…………』
一斉に黙った!どうやらカンシはダークエルフの中でも位が高いらしい。
「よし、では始めるか。まずは『男の口唇に自らの口唇を押し当て、口唇を男の体から決して離さず、子種棒まで辿り着くべし』か……。こうか?」
カオーリュはマーサにそっとキスをした。
「ん~デリシャス!」
マーサはカオーリュの口唇を堪能する。
ンチュ――!!レロレロ……レロ。
……ん……(この男……口唇柔らかくて気持ちいいな……んん……ん!?な、なんだ!?男の舌が口の中へ入ってきたぞ!?)んぁ……。
「んん――!?」
声を出してないか監視の目が光る!
……んぅ……(このまま口唇を重ねていたら変になりそうだ!このまま、口を離さず子種棒へ行くんだな……)。
カオーリュはマーサの全身を舐めるように、ゆっくりじっくり舌を這わす。
『すごいわ……カオーリュ様……なんて妖艶な……』
マーサの全身に舌を這わすカオーリュをダークエルフ達が見惚れる。
「んん!(何、この子種棒!さっきと比べ物にならないぐらい大きくなってるわ――!!)」
マーサのバナンポまでたどり着いたカオーリュは、そのそびえ立つバナンポを見上げた。
「どうしました族長!?見ているだけでは儀式は終わりませんよ?」
カンシの厳しい一言。
「んっ!!(わかってるわよ!舐めるわよ!)」
レロ……レェロォ……レロレロ……。
カオーリュはマーサのバナンポを根本から丁寧に舐めながら登った。
「はぁ~!天国を作る依頼が来たら、これにしよう!」
自由な発想は、神の思考へと高まる!
変態神マーサ!
「レロレロ……(次は……『子種棒まで辿り着いたら、足を広げ、宝穴を男の口元へ押しつけるべし』えっと、向きを変えて男の顔を跨げばいいのかしら?」
足を広げ、マーサの顔を跨ぐ。
「――!?お宝発見!突撃します!」
両手を縛られているマーサだが、マーサはスキルAV男優の特殊スキル『超絶舌技』を取得していた!
ズゥリュゥ――!!
「んん――!!(舌が入ってきた――!!)」
「んん!?投獄か?」
監視の目が光る!
「んん――!!(ドリル舌技)んん――!!(回転舌技)んんん――!!(舌技タイフーン)」
マーサの舌が容赦なくカオーリュの宝穴へおそいかかる!!
ズリュリュリュリュゥ――!!
「はぁ――ん!!(ダメぇ――!!そんなにしたら出ちゃう――!!あぁ――!!)」
プシャー!
たまらずカオーリュは『おしっこ』を漏らす。
「おお!少し声が出たかもしれませんが、『男の口へ聖水を与えたのち、子種棒を宝穴へ入れるべし』まで来ました。さすが、族長!では、子種を迎え入れましょう」
「ふへ?」
放心状態のカオーリュはカンシの手伝いで四つん這いにされる。
「入れていいの?」
縄をほどかれ、カオーリュの腰に手を置き、カンシへ確認を取る。
「ええ……。思う存分、子種を出してください」
カンシは頷く。
「では、遠慮なく……えい!」
マーサのバナンポはカオーリュの宝穴の奥へと突き進んだ!
ズンッ!
「はぁ――ん!!(え!?なに!?なに――!?)」
あまりの快楽に意識が再び飛びそうになる。
胸に巻いたバスタオルが自然に落ちる。
『ざわざわ……族長……気持ち良さそう……』
ダークエルフ達がざわめく。
「族長!投獄ですよ!」
カオーリュの耳元でカンシが大声で注意する。
「はっ!危ないとこだった!(お腹が圧迫されて気を失うとこだった……)カンシ、礼を言う!全部、入ったか?好きに動いてよいぞ」
カオーリュは目を覚ました!ちょっと喋ったが、今回はギリギリセーフだ!落ちたバスタオルを拾って胸にあてる。
「まだ、半分しか入ってないよ……」
「え?」
キョトンとする。
「では、出発進行ぉ~」
マーサはゆっくりと、さらに奥へと歩み出す。
ズンッ!ズンッ!ズドォ――ン!!
「え!?え!?んぅ――!!??(ムリ!ムリムリ!ムリムリムリ――!!)」
カオーリュがのけ反る!
「ポッポー!!」
マーサの腰がゆっくりと加速する!
ズバ――ン!!ズバ――ン!!ズバ――ン!!
「んはっ!んん!はぁ――ん!!(気持ちいいのダメなのに――!私の族長としての威厳が……。でも、ダメ――!!イク――!!)」
カオーリュの声がどんどん大きくなる!
「族長!完全に違反です!儀式は中止――!?」
カンシが果てるカオーリュを制止しようとした、その瞬間――
ドカ――ン!!
族長宅の外で爆発音がした!
「何事だ!厳格な儀式の最中だぞ!」
「報告します!男の仲間がこちらへ向かってきます!止められません!」
「バカな!我らダークエルフ軍は西の大陸で最強を誇る軍隊だぞ!?」
「で、ですが……」
ドーン!ドーン!
『うわ――!!』
後方でダークエルフ達が宙を舞う!
「勇者降臨!マーサを返せ!百花繚乱――!!」
ドカァ――ン!!
「聖剣ゼックスカリパ――!!マーサ殿に傷をつけた者がいたら千回切る!!」
スババ――ン!!
「マーサ!マーサ――!!」
ボゴォ――ン!!
「ご主人様を返しなさ――い」
ピカァ――!!
「マーサ様ぁ――!!」
ドドドドド――!!
『ウワァ――!!』
ダークエルフ達を押し退け、ロイヤルフィアンセーズが族長宅までたどり着いた!
「み、みんな!!」
裸だったマーサは、寸前で服を着て、自らの手足を縄で縛り、捕らわれの身を演じる!マーサの得意技『偽装冤罪』だ!
「マーサ!!無事だったの!」
涙目のレキがマーサを発見する。
「マーサ!お前達……明日はないと思え」
ユキノが族長カオーリュの前に立ちはだかる。
「お前は勇者ユキノ!この男……お前の仲間か?道理で常識を逸脱したモノを持っていると思ったわ……」
はだけた服を整え、はじめての快楽を与えられたマーサを頬を赤らめながら睨む。
「ダークエルフの族長か。悪いがマーサは大事な仲間だ。返してもらう」
ユキノはマーサの縄をほどき、みんなの元へ帰ろうとする。
「ま、待ってくれ勇者ユキノ!その男は……いったい、なんなんだ!常識を外れてる――!!」
マーサの方へ手を伸ばし、悲しい顔を見せる。
「ん?マーサのことか……。お前、『ナットウ』は好きか?」
カオーリュに背を向けたまま、ユキノが質問をする。
「え!?『ナットウ』!?東の国の臭いのに旨い食べ物か!?……私は好きだが」
「ナットウを食べれない奴をどう思う?」
「え!?……『人生の半分』を損してると思うが」
「だろ……。マーサは……その『残りの半分』さ。じゃあな……」
カオーリュに振り向き、ユキノはそう言い残すと、仲間達とその場を離れた。
「――――!?」
膝から崩れ落ちるカオーリュ。
「族長!まさかあの男に――」
ダークエルフが男に恋をするなど、あってはならない!
「……いや。私達の寿命は長い。またいつか、儀式のリベンジをしたいだけさ」
カオーリュの頬に一粒の涙が伝う。
「族長……」
【枯渇の森 外】
「はぁ~。みなさん、急に怒って森の中に入っていちゃうから、ビックリしましたよ~」
シホンは危ないので外で待っていた!
「すいませんシホンさん。みんなマーサ様のこととなると手がつけられないので……」
「そういうサーフォンもスキル鉄仮面で鋼鉄のまま突進して行くのすごかったぞ」
ユキノがサーフィンを茶化す。
「は、恥ずかしい……」
サーフォンは恥ずかしがると顔を鉄仮面で覆う癖がある。
「絶対にそっちのほうが恥ずかしいと思うけど……」
レキは無表情の鉄仮面で顔を覆うサーフォンを呆れ顔で見る。
「鉄仮面~♪鉄仮面~♪」
トモミンがサーフォンのまわりをグルグルまわり出す。
「ねぇねぇ、ユキノ~。さっき、カオーリュと何を話していたの?」
後ろを歩くマーサはユキノに先ほどのダークエルフ族長との会話の内容がわからず、不思議そうに聞いてみた。
「族長との会話か?はっはっは――。私の人生の話……さ!」
腕を頭の後ろに組みながら答える。
「……わからん」
マーサは答えに疑問を持ちながらも、勇者一向はついにダークナース領へと歩みを進める。
いざ!行かん!
共に歩くと決めた――マーサと共に!!
「あ、ちょっとトイレ行ってくる!」
「ん?手伝おうか?」
歩みは続く――たまにトイレに寄りながら!!
<つづく!>




