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「はぁ――ん!!中も外も熱い~!」『ゼウス鉄道は動かない!』

 ゼウス鉄道――それはデパート屋上の遊具にとどまらない本格的な車両が七両編成で組まれていた!


「本格的に大きく作りすぎて動かせないから、七つの車内をマーサのバナンポジュースを出さずに通れたらお主らの勝ちじゃ!まぁ~無理だろうがな……」


 絶対神ゼウスはニヤリと笑い、指をパチン!と鳴らすと七つの車内から七名の美しい天使が降りてきた!


「我が名は大天使イェグディエル。『日』を司る太陽の使者、全てのものに光を届ける」


「私の名は大天使ガブリエル。『月』の天使の名のもとにあなたがひとりにならぬよう、暗闇を照らす光とならん」


「オレは大天使サラフィエル。『火』を受け持つ。熱き情熱を燃やせ!命を燃やせ!」


「ワタクシは大天使ミカエル。『水』の大天使。渇いた生命はワタクシの施しで潤いを取り戻す」


「ボクは大天使ウリエル。担当は『木』。自然の恵み。世界の調和がボクの役割」


「我は大天使ラファエル!『金』のラファエル!富や名誉が欲しければ、我に従え!」


「アタシは大天使バラキエル。『土』の恵み。全ては大地の恩恵に感謝しなさい!」


 なんだか、すごい天使の自己紹介が終わった!


「七大天使……だと!?」


 女神ノートが顔をしかめる。


 絶対神ゼウスを頂点とした天界に女神という『役職』は3つしかない。堕天として地上に降り、魔王を名乗っていたノートが天界に復帰すると同時に実力から『女神』の役職についた。


「ゼウスの側近!天使の序列上位7名の天使じゃないか!まさか、デパート屋上の電車の遊具に乗ってるなんて……」


 女神ムーアは面倒くさそうな顔をした。


 序列上位7名の天使は『大天使』と呼ばれ、時期『女神』候補なのだ。


「全員、美少女だね!さすが大天使!」


 もうバナンポが復活の兆しを見せる大アホマーサ!


 透明な水を纏った大天使ミカエルは女神には目もくれず、絶対神ゼウスに近寄る。

 

「ワタクシ達、大天使を全員呼び出すなんて、絶対神ゼウス……やっとオバサン女神を落として女神にしていただけるのですか?」


「誰がオバサン女神ですって!!」


 女神フレイヤが噛みつく!


 マーサはミカエルの水の服に「透け透け!」と叫びながらひとり興奮している。


 レキは「あんた、ちょっと黙ってなさいよ」と腕を組みながらマーサに注意をするが、大天使の圧倒的なオーラの前に足が微かに震えていた。


「こらミカエル!本当のことを言ったら気の毒でしょ!」


 大天使ガブリエルは月の形をした神器『ムーンサイズ(月の鎌)』で女神達を威嚇する。


「お――し!どっちがエライか分からせてあげるわ――!!」


 女神フレイヤが腰に手を当て、大きなおっぷにを反らしながら挑発に乗る。


 睨み合う三大女神と七大天使!


 その間に臆することなく勇者ユキノが割って入る。


「こら!お前達!私達は絶対神ゼウスと勝負してるのよ!邪魔するなら他でやりなさい!」


 女神も天使も関係ない!さすが勇者ユキノ!


「あわわ……あわわ」


 足がすくんで動けないイクは心配そうな顔をユキノに向けながら慌てる。


 そんなユキノの行動に、絶対神ゼウスが応え、皆に一喝する。


「勇者ユキノの言う通りだ。七大天使よ!下界から来た勇者チームとの勝負に、なにがなんでも勝つのじゃ!」


「いいでしょう。我ら絶対神ゼウスが側近七大天使。いかなる勝負も受けてたちます」


 全身に金の装飾を施した大天使ラファエルが自信満々に答える。


「よう言うた!では、勇者チームのサーフォンとマーサが主らの車両を回るから、何としてでもマーサのバナンポジュースを出させるのだ!」


 絶対神ゼウスは七大天使に手を大きく振りかざしながら宣言した!


「――――!!?すまぬ、絶対神ゼウスよ……。バナなんとやらとは?うまく聞き取れなかったようだ……。なんと申した?」


 大天使ラファエルは全能であるゼウスの言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまったことを悔やんだ!


「だから、マーサの○ん○んから、精液を出させるのじゃ!」


「絶対!出させませんよ!」


 鉄仮面サーフォンは震える手を抑えながらも勇気を振り絞って絶対的な力を持つ七大天使に向かって叫ぶ!


「おうよ!そう何度も出すわけない!」


「……よく言えるわね」


 マーサの頭をポカッと叩きながらレキが呆れる。

 

「ちょ、ちょっと待ってね……。大天使、集合~」


 ラファエルは他の大天使と輪になって相談を始めた。


大天使ウリエル「ボクは意味がわからない!」


大天使サラフィエル「オレもだ!」


大天使イェグディエル「我は理解した!要はマーサという男を誘惑すればいいのでは?」


大天使ミカエル「ワタクシ達が?人間の男を誘惑?」


大天使バラキエル「アタシにできるかな?」


大天使ガブリエル「私はやるわ!オバサン女神に負けるなんてゴメンだわ!」


 大天使達は輪になってモメていた!


「お前達、早く車両に戻りなさい!心配せんでも、あの男は勝手に出す!」


 ゼウスは待ちきれないといった様子だ。


「そんな、人を居酒屋のお通しみたいに言わないでよ……」


「あんた、なにをうまいこと言ってるのよ」


 レキは手首を返してマーサの肩にビシッ!っとツッコむ!


 大天使ラファエルは「……そうなの?」と不思議そうにマーサを見たあと「じゃ、解散~」と他の天使に手を振る。


 大天使達は、しぶしぶ自分の車両に戻っていった!


 【第一車両『日』の大天使イェグディエル】


「我は太陽の使者。列車は南国風にアレンジしておる」


 イェグディエルの列車の中は砂浜に海を模しプールまである本格仕様だ!とてもここが列車の中だとは信じられない!


「は、恥ずかしい……」


 サーフォンは上下、白のビキニ姿で乗り込んだ!もちろん、南国と聞いて浮かれたマーサの提案だ!恥ずかしさのあまり、顔には鉄仮面をつけている!


「絶対、鉄仮面つけてた方が恥ずかしと思いまっす!」


 トモミンが列車の外の窓から心配そうに覗く。


「白ビキニ!かわいい!」


 ビーチボール片手にマーサはバカみたいにはしゃいでいる!


「マーサ様!あまり見ないでください~」


 サーフォンは恥ずかしそうに海の中に入ったが、鉄仮面が重くどんどん沈む!


「え!?ここ、列車の中だよね!?」


 窓の外のユキノが列車の下を覗きこみ、タイヤを確認する。


「我は本格主義者。空間魔法で水深3メートルにしてある」


 赤の競泳水着と麦わら帽子の大天使イェグディエルはバナナボートに乗りながら優雅に揺れている。


「そんな!?サーフォン!今、助ける!」


 イクが聖剣ゼックスカリパを抜き鉄道のドアに斬りかかる!


 ガキ――ン!!


 剣は弾かれた!


「制限時間内は列車の中に誰も入れない。そういうルール。ルールは絶対」


 大天使イェグディエルはバナナボートの上で器用に仰向けに寝ながらトマトジュースを飲む。


「……そんな」


 イクが肩を落とす。


「あ!ご主人様がサーフォンさんを担いで水から出てきました!さすがです!」

  

 窓を覗き込むトモミンがピョンピョン跳ねる!


「さすがマーサ!変態ばかり目立つけど、普通に人類最強なのよね……変態だけど」


 レキは改めてマーサに惚れ直し、頬を赤くする。


「でも、サーフォンは鉄仮面したままだぞ!あれ、どうやって外すんだ!?」


 ユキノの心配をよそに、マーサは水着を脱ぎ、バナンポをサーフォンに近づける!


「マーサ!何をして――!!?」


 レキの心配をよそにマーサのバナンポが近づくと、鉄仮面の口元が『パカッ』と開いた。マーサはすぐに人工呼吸をした!


「サーフォンさんの鉄仮面は、ご主人様のバナンポを咥えたいという思いが無意識に鉄仮面解除のトリガーとなってしまったのでっす」


 トモミンが解説する。


「なんじゃそりゃ!」


 真面目なイクが思わず「なんじゃそりゃ!」とツッコミを入れた!


「ま、マーサ様……」


 人工呼吸をされ、気がついたサーフォンはマーサに抱きついた……。


 ……ちゅ。ちゅ。……マーサさまぁ……んっ!


「……はじまったわね」


 窓の外から見ていた女神フレイヤは「やっぱり……」と呆れ顔で覗く。


「こ、こらマーサ!すぐに入れないの――!!」


 マーサに惚れ直したばかりのレキが激昂する!


「無駄よ。こちらの声は聞こえないわ」


 勇者ユキノが大声を上げるレキをなだめる。


「その通り。時間を忘れ夢中で遊べるように外の声は一切奴らには届かない。我は完璧主義者」


 大天使イェグディエルは砂浜でパフェを食べながら説明する。


「ふぉふぉふぉ。ワシらの勝ちじゃな!ほれ、入れとるぞ」


 絶対神ゼウスが激しく腰を振るマーサを杖で差す。


「さ、サーフォン~!!」


 ズンズン!ズ――ン!!


「ま、マーサ様――!!深い!ん――!!奥に当たります――!!」


 ドプ!ドチュ!ドプ!ドプ!ドプ!

 

 ……あっ!ひっ!んぅ!イッ!おっ!おぐ!……ダメ!


 列車の中で激しく突かれるサーフォン!


 その様子を不満そうに思った七大天使が次々に列車から降りてきた!


「ちょっと!これで終わり?私の列車も乗ってほしいんだけど!」


 さっきあんなに嫌がっていた大天使ラファエルが、文句をつけてきた!もう一人称が『我』とか『アタシ』とか区別するために無理やり使っていたが、面倒になったようだ!


 大天使ガブリエル「そうだ!大天使七名いるから四回出したら勝ちにしましょう!ね!」と提案する。


 絶対神ゼウスは「お、お前達……」と慌てる。


 大天使バラキエルは「そうね!そうしましょう!私の列車も乗ってほしいわ!」と乗り気だ。


「なんだか知らないけど、ラッキーね!」


 女神フレイヤがニヤリとする。


「じゃあ、こっちも順番にマーサと列車に乗るか。次はレキでいいか?」


「は、はい!ユキノ様!ファーストの私がマーサを搾り取りますわ!」


「いや、出しちゃだめだって……」


 イクがレキに注意する。


「あ、そうか……」


 てへへと照れるレキ。


「あ、ご主人様がそろそろ果てます!」


 窓を覗いていたトモミンが状況を報告する。


 サーフォンは覆い被さったマーサに抱きつき、ビクン!ビクン!していた!


 ……あぁ!……おっきい……かたいぃ……すごいぃ……。


 パン!パン!パン!パン!パン!パン!


 ……イグッ!イグゥゥゥ――――!!!!


「サーフォン――!!」

  

 ドゥパ!ビュルル~!!ビュ――!!


 マーサはサーフォンの中に大量のバナンポジュースを注ぐと、抜いたあとも横たわるサーフォンの体にバナンポジュースを大量にかける!


「はぁ――ん!!中も外も熱い~!鉄仮面が溶けてしまいますぅ~」


 ……ぐっしょり。


 サーフォンはバナンポジュースまみれになりなった!


「す、すごい量!さっき、あんなに出したのに!?」


 イクは真っ白になったサーフォンに驚く!


「ビーチだしな。そりゃ、量も増えるよ」


 ユキノ、謎の解答!


「そうですね。ビーチですし……」


 だがレキは納得した!


「では、一回戦は私の勝ちね」


 イェグディエルは列車の扉を開けた!


「す、すいません……」


 本当に溶けかかった鉄仮面を手に持ったサーフォンがトボトボ降りてきた。


「しかたないよ!ビーチだし!あと、羨ましい!」


 ユキノが「ドンマイ」とサーフォンに声をかける。


「すまん!がんばったのだが!!」


 続いてマーサも謝りながら降りてきた。


「あんたは、どこを頑張ったのよ……」


 レキが呆れる。


 確かにサーフォンを助けたとこまでは頑張ったのだが!


「ほれ!さっさと次に行かんか!」


 いきなり勝負の回数を増やされて、少し不機嫌な絶対神ゼウスが次の列車を杖で差し促す。


「次は私よ!『月』の列車へようこそ!!」


 大天使ガブリエルの案内で一行は月の列車の前に並ぶ。


 列車の扉が自動的に開くと、中には大空間に広がる夜空と大きな満月が浮かんでいた!


「ま、満月!?う……うぁ……うぉぉぉ……」


 マーサの手が震える――!?


 <こ、これは!?満月の夜になると血が騒ぎ変身するという……つづく!>

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