「……え!?そんな……入った!?」『小さいシラウオの大きな野望』
【王都ハラミサガリ 謁見の間】
名もない騎士団副団長は王が鎮座する謁見の間に兜がずれるほど大慌てで駆け込んだ。
第一王子マーサ、騎士団長イクの姿を朝から探していが見つからないのだ!
「王!大変です!第一王子と騎士団長が行方不明です!」
「ん?ワシ、知っとるよ」
平然と答える王。
「もしや誘拐!?……えっ……知っておられるのですか?」
「メイド長も一緒じゃよ」
「……そうですか。トモミンメイド長も……。どちらに行かれたのでしょう?」
「ふぅ~」と深く息を吐き、安堵する。
「昨日はワシのここにおったぞ」
得意気に自分の胸を拳で叩く。王の右手にはVRゴーグルが握られていた。
「……えっ!!王の心の中に……!?そんな……マーサ様……イク騎士団長……トモミンメイド長……」
なにかを理解し、込み上げてくる想いを『グッ!』と我慢するが決して涙は流さない!騎士団副団長は……そういう男だった。
「いつでもワシのそばにトモミンはおるんじゃ」
天井を見つめ、清々しい笑顔を見せる。
「王……」
気持ち悪い王と勘違いした真面目な騎士団副団長の余談でした。
【一方 サカナトイッタラマグロ共和国 愛魚女女学園】
「劍童で戦ってもらう!」
急遽開いた全校集会でユキノは壇上の上でこう宣言した!
ザワザワする生徒達。
「『劍童!?』あの竹でできた『竹刀』という刀で相手の『胸』『尻』を打ち合い、竹刀が当たった場所の防具を脱がされ、先にぜんらになった方が負けという『王都ハラミサガリ』の宴会では定番な低俗な遊びですか?」
※女神フレイヤ考案。
博識な女生徒Aが丁寧に説明してくれて、勇者ユキノはお礼を言う。
「説明ありがとう。みんなには紙に『目を瞑って』とか『重りをつけて』とかハンデを書いた紙をランダムに引き、お題を守りながら戦うハンデ戦だ!」
ユキノは『絶対服従少女』と書かれたBOXを取り出し、壇上に置く。
「私は剣は苦手です……。魔法は使えないのですか?」
ひとりの女生徒がユキノへ質問をする。
「もちろん魔法を使ってもかまわない!実際の戦闘では何が起こるかわからない!ハンデもそのためのものだ!それに、もちろんご褒美も……ある!」
『ご褒美!!?』
女生徒達が色めき立つ!
「ご褒美は……これだ!」
ユキノは腰につけた巾着袋から七色に光る小さな木の実を取り出した。
またも博識な女生徒Aが見事な解説を披露する。
「そ、それは!レッドドラゴンが生息するロッテ山脈にしか採取できないと言われる『食べれば必ずバストが1カップ上がる幻の木の実』……秘宝『パイの実』!!?」
「私はこれでFカップまでレベルアップしたぞ!」
ユキノはそう言うと、体を反って自慢の胸を付き出す。
確かに以前より大きくなっている気がする!
「一粒でAカップがBカップに……」
ガヤ……。
女生徒AはAカップを気にしていた!
「BカップがCカップに……」
ガヤガヤ……。
女生徒BはBカップを気にしていた!
「一回戦から決勝まで、全部勝てば4カップアップだ!」
「C……D……E……F……G……」
女生徒Cは、さらなる高みを目指していた!
ガヤガヤガヤガヤ……。
ガヤのガヤガヤが、最高潮に達する!
『うぉぉぉ――――――!!!!!!!』
女生徒達の歓喜は『愛魚女魔法女学園』を巻き込み、さらには『サカナトイッタラマグロ共和国』全土をも揺るがす事態にまで膨らんでいった!
【三日後 愛魚女魔法女学園 郊外演出場『クジラドーム』】
「【第一回 愛魚女魔法女学園『劍童武道会』】の開催をここに宣言する!!!!」
今度は演出場の壇上で勇者ユキノが高らかと宣言をする。勇者というスキルを抜きにしても、元気でリーダーシップがあり、人々の注目を集めるユキノは壇上がよく似合う。
『うぉぉぉ――!!!!!!!』
ユキノの呼び掛けで参加者は数百人を超え、予選を勝ち抜いた者達が中央の舞台に登場する。
「実況は放送部の私、穴子大好き『アナコ』がお送りします!皆さん!後ろをご覧ください!」
演出場の後ろに巨大モニターが設置され、大統領が姿を現した!
「今回の闘いの様子は、女神フレイヤ様のお告げにより、王都ハラミサガリとサカナトイッタラマグロ共和国に同時ライブ配信されるそうです!」
女神フレイヤはモニター販売の商売を隣国まで広げていた!
「さらに今回の優勝者にはライトツナ大統領から直々に表彰される運びとなりました!」
モニターに映し出された大統領が手を振る。
『お~……』
とくに大統領に人気があるわけてはないので、歓声は最小限に抑えられた!
「……はは」
大統領はモニターに満面の笑みでサプライズで登場し、歓声を浴びるはずだったが、あまり声援がなく、辺りは微妙な空気に包まれた!
「それではルールの説明します。対戦者はハンデが書かれた紙をボックスから引き、『胸』と『尻』に竹刀で攻撃してください。当たった場所の服を脱ぎ、脱げなくなったら負けです。なお、今回は特別な竹刀をご用意しました!王都ハラミサガリで随一の武器屋『聖剣伝説』店長パラッパさんお願いします!」
呼ばれて演習場の扉が開き、元勇者パーティー、現『聖剣伝説』店長『踊り子のパラッパ』が姿を表す。
「今回、勇者ユキノ考案の竹刀を特注しましたパラッパです。こちらがその竹刀『性剣バナンポ』です!性剣バナンポは果実バナンポの形をした竹刀で、肌は傷つけず服のみを切り裂く設計にしました!さらに白いバナンポ汁を飛ばし、甘い匂いが数週間は取れないといった罰ゲームの要素も取り入れました」
自信満々で性剣バナンポを鞘から取り出し、観客に向け、竹刀を空に掲げる。
『おおお――――!!』
観客も大きな歓声を上げる。
「パラッパさんありがとう!イメージ通りだ!」
壇上の上からユキノが感謝を伝えた。
「…………んん?あれ……なぜか親近感が……」
若干、マーサのバナンポに似た形のその竹刀はイヤらしくそそりたっていた。マーサの読み通り、性剣バナンポは以前、勇者一行がお店に訪れた時、彼女達が試着した鎧の性能を試すためにハッスルしたマーサのバナンポを『店内の防犯カメラ映像』から確認して作成されたものであった!
「それではさっそく一回戦『AカップシラウオVS剣聖イク』」
「……Aカップは余計よ!絶対勝って『秘宝パイの実』をたくさん貰うんだから!!」
女生徒AことAカップシラウオは燃えていた!
『いきなり剣聖が相手とは……かわいそうに』
観客はシラウオに同情の視線を送る。
「それではハンデを書いた紙を引いてもらう!題して!『箱の中身は何だろな?』だ!マーサ!はい!これ、もって!」
ユキノはマーサに箱を持たせると同時にマーサのバナンポをスカートから取り出し、箱に空いていた穴に通した!
「えっ!?えっ!?」
わけもわからずバナンポを出され、箱の中に入れられる。
「かき混ぜるよぉ~」
かき混ぜるフリをしてマーサのバナンポを触り、刺激を与える!
箱の中でどんどん大きくなるバナンポ!
「ちょっと!ユキノ!あっ!だめだって!」
マーサの持つ箱が小刻みに揺れる。
「では、引いてもらおう!」
ユキノがシラウオの手を引く。
「えっと……ゴソゴソ……ん?固いのがある!?えい!えい!取れない!?」
シラウオは箱の中の固い棒のような温かいなにかを引っ張る。
「あっ!やめて!あっ!あっ!」
シラウオの馴れない手つきにマーサは悶絶する。
「うむ!思った通り楽しい!」
ひとりニヤニヤして満足げなユキノ!勇者の創造力に限界という文字はない!
「マーサどうしたの……?」
少し苦しそうに見えたマーサを心配して、出場者の待機場所にいたレキが駆け寄る。
「い、いや……別に……あ!」
バレたら殺される!額に汗をかきながら、誤魔化そうとしたが、その時は突然訪れた。
「これだ――!!……うわっ!この紙、ベタベタする!なんで!?……えっとハンデの紙に書かれているのは……『語尾を「ぴょん」にする』……何これ」
「おお!当たりだな!簡単なやつだ!」
ユキノが喜ぶ。
「……や、やったぴょん!」
シラウオは「ぴょん」を語尾つけて話してみる。ちょっと恥ずかしかった!
「では、イクは2枚引いてもらおうかな!」
ユキノはマーサの持つ箱を指差しながらイクに言う。
「え!2枚ですか!?」
驚きの表情を浮かべる。
困惑するイクにレキが言う。
「学生に『剣聖』の称号を持つイク様の相手はさすがにかわいそうですよ。簡単なハンデかもしれないですしね!」
「それもそうだな!では、マーサ殿、箱を!……ゴソゴソ……なにやら見覚えのある形のものが混ざっているな」
箱の中の『固い物体』を握りしめながらマーサに真面目な表情を向ける。
「……は、はは」
笑うしかない。
…………コシコシ。
「あ!イク!そんなにしたら――!」
「はっ!……すまぬ、いつもの癖で」
つい癖でマーサのバナンポを無意識にコシコシしてしまう!
「ククッ……イク!早く引っぱって!」
笑いを堪えながらイクに促す。ユキノは悪戯っぽく「引く」ではなく「引っ張る」と表現する。
「は、はい!……そうか、ユキノ様のアイデアか……では、引きます!!……これだ!『タオル一枚で闘う』……ええ!?」
勢いよく引いた紙を見て驚く。
「タオル一枚だったら、一回当てられたら終わりです~」
トモミンが心配する。
「おお!ちょうどいいハンデだな!イク、あと一回だ!」
「はい……ゴソゴソ……コシコシ……ゴソゴソ……これ!……『マーサをおんぶして闘う』……マーサ殿を!?」
「やった!私が書いたやつだ!」
ユキノが謎のガッツポーズをとる。
「……ユキノ様」
レキはこの大会を誰よりも楽しんでいるユキノにあきらめの表情を見せる。
「それでは!第一試合始め――!」
アナコの合図により、第一試合が始まった!
「あ、あの……恥ずかしいのだが!!」
バスタオル一枚姿のイクは公衆の面前で頬を赤らめる。
「お尻、気持ちいい」
マーサはイクの腰にしがみつき、顔はイクのお尻に埋もれていた。
「や、やん!マーサ殿、顔をお尻に埋めないで~!ええい!早く試合を終わらせる!」
両者が舞台中央でにらみ会う!先に仕掛けたのはAカップシラウオだ!
「これに勝ってBカップだ――!!」
気合入りまくりのシラウオは竹刀を振り回しながらイクに突進する!
ピピ――!!
「シラウオ選手反則!下のスカートを脱いでください!」
審判の笛が鳴り響く!
「し、しまった!語尾に『ぴょん』をつけるのを忘れてた……ぴょん」
シラウオがスカートを脱ぐと、露になったショーツには『うさぎのかわいいイラスト』が描かれていた……。
『せ~の、シラウオぴょんのぴょんぴょん~!!』
盛り上がる場内!
「う、うるさい……ぴょん!!行くぴょん!」
シラウオは性剣バナンポを振りかざす!
「あまいあまいあまい!!」
そのすべての攻撃を軽々防ぐ!さすが剣聖!
「……くっ!……ぴょん」
「マーサ殿、もう少し上のほうを掴んでくれないか?安定すると思うのだが……」
腰に手を回してイクにしがみついているマーサはイクのお尻を堪能中だ!
「そう?では、遠慮なく……」
マーサはイクの背中を勢いよく登り、落ちないようにイクのおっぷにを強く掴む!
「んぁ――!ま、マーサ殿!そ、そこは……んん!」
「お、落ちる!ふにふに!落ちる~ぷにぷに!お、落ち……ぷにんぷにん……あ、やばい!」
マーサは必死にしがみついたイクのおっぷにの感触に興奮し、スカートの中からバナンポが存在感を増す!
「んぁ!んっ!……!?マーサ殿!お、お尻に固いものが!!男だとバレてしまいます!早くそれをしまってください!」
マーサのバナンポは今にもスカートから飛び出しそうだ!
「え?し、しまう……しまう……そうか!えい!!」
マーサはイクにしがみつきながらバナンポをイクの中にしまう。
ズゥゥン!!
「あぁ――!!……え!?そんな……入った!?」
うまく、しまえた。
「……しまえた」
満足げなバカマーサ!マーサのバナンポはなんとか奥までしまえた!もう一度言おう!奥までしまえた!
「やぁ――ぴょん――!!」
シラウオの激しい攻撃!
パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!
「ちょ!あっ!やん!はぁん!ひぃん!」
シラウオの攻撃をなんとか受ける!
「イク様……調子悪いのかしら……」
防戦一方のイクにレキが心配する。
「あ!イク!そんなに動いたら!あっ!出る!」
マーサに我慢の限界が近づいた。
ビュルルルルルゥ――!!
「はぁ――――ん!!中に……熱いのいっぱい……」
マーサの熱いのがイクに注がれた!さすがにフラつく!
「??剣聖がよろけているぴょん!?今だぴょん!おっぷにぴょん――!!」
よろけたイクに性剣バナンポを打ち込む!!
ちなみに胸を打つ時は『おっぷに――!』と叫ばないと無得点となる。
お尻に打つ時は『ぷりぷり――』だ!
「んあ!え!?きゃぁ~!!」
バン!プシャァ~!!
イクは性剣バナンポのバナンポ汁まみれになった!
「一本!それまで!Aカップシラウオの勝利!!」
『わぁ――――!!!!』
とんだ番狂わせだ!
「いやぁ~ん!このバナンポ汁、めっちゃ甘い――!ところどころ苦い――!」
苦いところはマーサの担当したところだ!
「頑張ったな!はい、『パイの実』」
ユキノはシラウオの頭を撫で、『秘宝パイの実』を渡した。
「これが……秘宝パイの実」
シラウオは恐る恐るパイの実を食べた。二十一層にもなるサクサクした歯応えの中にトロッとして甘い味がした……。
「んっ!あ!ああ――!」
シラウオの胸が少し膨らんだ!
「おお!効果抜群!」
ユキノがシラウオの胸を覗き込む。
「あ、ありがとうございます!……これで……B……まだ、負けられない……フ、フフフフフ……あと4つ……!」
シラウオの野望はFカップだった!
<フフ……フフフフ……つづく!>