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「バナンポ大好き!!」『トモミン、ちっぱいのちっぱい』

 【王都ハラミサガリ カイノミ商店街】


「これはすごいぞ!ラッキーエアー!」


 ビュ――!


 手の甲の『もん』がかすかに光り、町の少女の足元から上空へ向かって幸運の風が吹き荒れる!


「きゃ――!スカートが風でめくられるぅ~!」


「……えへへ」


 横目でチラリ。白色確認。完璧(パーフェクト)。満足、満足。


「え、えい!ラッキーエア――!」


 ビュ――!!


「いやぁ~ん!えっちな風でスカートがぁ~!」


「……えへへ」


 横目でチラリ。黄色と白色の縞々。優勝。満足、満足。


「……えへへ。えい!ラッキーエアー!……あれ?」


 ……シ――ン。


 おかしいな?何も起こらない……。


「えい!ラッキーエアー!えい!ラッキーエア――!!ラッキーエアーったらラッキーエアー!!……あ、KP(けがれポイント)がゼロだ……」


 幼なじみ『レキ』に殴られて貯まった100KPをすべてラッキーエアー(スカートめくり)に使ってしまった!!


 自身に不幸が起こると貯まるKP(穢れポイント)でURスキル『AV男優』の派生スキルに使うことができる。ステータスを確認したら、エッチなスキルが多いことに気づいたのだ!


 【『AV男優』スキル一覧(一例)】


 ファイアーボール(0KP)……村長宅を焼いた火の玉。上位互換のファイアーストームも使用可能。転生者、初回特典。


 AB型(0KP)……『八方美人』や『バカと天才は紙一重』、『二重人格』など派生スキル多数。副作用でダジャレを言うことが多くなる。

 ※個人差があります。


 ラッキーエアー(2KP)……スカートをめくる悪戯いたずらな風を発生させる。


 モザイク(0KP)……女性の大事な部分に自動的にモザイクがかかる。


 年齢制限(0KP)……少年誌でも掲載できるように自動で修正してくれる。この小説には、なくてはならない神スキル。


 連続発射(50KP)……連続で精魂液を発射できるようになる。ただし精魂液の量は回数×0.8に減少する。

 ※スキル『年齢制限』発動後、『精魂液』は果物ジュースの『バナンポジュース』へと自動修正される。


 元気玉々(げんきたまたま)(50KP)……発射するバナンポジュースの量が増える。『レベル×1%』さらに『人数×5%』増量する。上位スキル『快王拳』はバナンポを巨大化させ、さらに2倍から5倍までバナンポジュースの量を増やせる。


 AV女優(100KP)……特殊効果『まるでカメラを向けられたセクシー女優』を発動する。


 夢で会えたら(150KP)……例えば『すぐそばに彼女がいるのに隠れて密着して誘惑してくる隣のお姉さん』など、夢にまで見たシチュエーションが現実の世界で起こる、まさに夢のスキル。別名『もしもシリーズ』。


 早送り(150KP)……興味のない戦闘や移動時間を自動で『早送り』して、エッチな行為のところだけを再生(たんのう)することができる。紳士のたしなみ。


 賢者タイム(200KP)……???


 【街中】


 話を戻すが、別にスカートめくりをするためにまちを訪れたわけではないのだ!


 AV王に――俺はなる!


 俺は妙なやる気を胸に秘め、奴隷が買えるお店にやってきたのだ!


 借金を返済するには、まずはエッチができる女性を確保しなければならない!そう、かわいい奴隷を買えばいいのだ!AB型だからなせる天才的な発想なのだ!


 とにかく、借金返済のためだ!仕方なく奴隷を買うのだ!


「かわいい奴隷を……!!仕方なく……!!ぶつぶつ……」


「旦那、……そろそろ、決まりましたかい?」


 呆れた様子の奴隷商の男は数十枚のパネルにぶつぶつ言いながら熱い視線を送り続ける俺に、まだかまだかとうながすように言った。


「き、決まった!このSSランクの背が低くて赤い縁のメガネかけてて、胸の小さなハーフエルフ『トモミン』って子にする!」


「これはお目が高い!『トモミン』は昨日入ったばかりの子で奴隷未経験ですよ!」


「本当に?……みんなに『未経験』って言うんじゃないの?本当に未経験?」


 俺は疑り深い。


「この子は本当に本物です!昨日、エルフの森で『バナンポの罠』にかかったばかりの子でさぁ~」


「バナンポの罠?」


 なんだ、それ?


「とにかく『トモミン』っすね!なかなか最初に幼児体型のメガネっを選ぶ人、少ないですよ~」


「えへへへ……でしょ!」←誉められてない。


 奴隷商は奥の部屋に行くと、鎖に繋がれた少女を連れてきた。


「それでは!ご対面~」


 ショートカットの小さな少女が顔を出した。アラビアンな感じの口元を隠す布『フェイスベール』から覗くメガネをかけた可愛らしい顔!布の面積の少ない奴隷のワンピースからは小さい胸、誰が名付けたか『ちっぱい』が覗いていた!……そしてなぜか手にはバナナを持っている。


「なによ!……なんか用?」


 トモミンは冷たい視線を俺に浴びせる。


「夢で会った以来ですね!」


 満面の笑みで手を差しのべる。


「うわっ……気持ち悪っ!」


 ドン引きされた。


「……グハッ!」


 精神的ダメージを受けて口から血を流した!!


 <100KP獲得しました>


 <KP(けがれポイント)を使用しますか?>


 突如、頭の中でナビゲーションのような声が聞こえた。


 <KPを使用しますか?>


「は、はい。使います……」


 とりあえず従ってみる。


 <100KP使用。スキル『AV女優』特殊効果『まるでカメラを向けられたセクシー女優』発動>


「えっ!!!……あ、あれ?あなたが……私の……ご主人様……!?」


 トモミンの顔が、どんどん赤身を帯びていくのがわかる。


(なぜだかわからないけど、私はこの人にお仕えするために生まれてきた気がする)


(この人の喜びが私の喜び。この人の幸せが私の幸せ)


(私のすべてをこの人に捧げたい)


(私の今できるすべてを……この人のために!!)


 トモミンの目に光が宿る!


「ご主人様!見ててね!……んぐっ!……んっ!んんっ!」


 トモミンはフェイスベールをたくしあげ、手に持ったバナナを剥くと喉奥へと押し込んだ!もう一度言おう!喉奥へと押し込んだ!


「あ、あの……彼女は何をされてるのでしょう……?」


 目の当たりにした甘美な光景に驚きつつも冷静に奴隷商へと質問する。


「おや?旦那、ハーフエルフを見るのはじめてかい?ハーフエルフは基本、魔力の高い南国フルーツ『バナンポ』しか食べないし、ああやって噛まずにどこまで喉に入れれるかで女性のくらいを表現するのでさぁ!」


「バナンポを……喉奥に……」


「そう、バナンポでさぁ」


 『バナンポ』と呼ばれた果実は、みるみるトモミンの口に吸い込まれていく。


(苦しい!でも、この人に気に入られたい!)


(トモミン、がんばる!!)


「んはっ!!……見て見て!15センチ入った!苦しかったけど……バナンポ大好き!」


 トモミンは自己新記録を更新した!


 満面の笑みをマーサに見せる。


「……あの、白い液体まみれになってるけど……」


 顔に白い液体がべったりついているトモミンを指差しながら、奴隷商に尋ねる。


「当たり前でさぁ~。バナンポの中には白い液体『バナンポジュース』が詰まってますでさぁ~!」


 奴隷商は『やれやれ』といった感じで説明した。この世界では常識らしい。


「もったいないから飲んじゃうね!んっ……んぁ……ごっくん……おいち。バナンポ大好き!!」


 トモミンは顔についた『バナンポジュース』を手のひらに集め、色っぽく飲み込んだ。


「あの……もう一回、言って」


 バナンポを咥え、残りのバナンポジュースを全部搾り取ろうとしているトモミンに声をかけた。


「え?バナンポ大好き……?」


 トモミンは不思議そうに答える。


「もう一回……」


 人差し指を立て、おねだりする。


「バナンポ大好き!!」


 今度は元気よく答える。


 マーサがつぶやく。


「バナンポ……」


 トモミンが応える。


「大好き!!」


 両手を上げ『大好き』を表現。トモミンは、なんだか楽しくなってきたようだ!


「バナンポ~」


「大好き!」


「バナンポ!」


「大好き!」


「バナ!」「大好き!!」


 マーサとトモミンの不毛な掛け合いが繰り広げられた!


「……この子にします!」


 マーサは奴隷商に親指を立て、満足してやり遂げた男の表情を見せた。


「まいどありでさぁ!」


 契約が成立した!


(それにしても、ハーフエルフが人間になつくなんて……おかしなこともあるもんだな……ま、いっか)


 契約書を用意しながら不思議そうな顔を浮かべる奴隷商だったが、めったに成立しないSSランクの高額嬢の契約成立に胸が踊った!


 【宿屋】


 町にある宿屋にトモミンと二人で訪れたマーサは、ニヤニヤする店主に接客されながら、ぎこちない素振そぶりで一泊分のお金を払い、足早に部屋に入った。


「……いきなり奴隷を連れて家には帰れないからな。もう大人だし、今日は宿に泊まって冒険しようかな!」


 ――女の子と二人で宿に泊まる。マーサは大人の冒険者への階段を登りはじめたのだ!


「お腹が空いた――!」


 『グ――!』という大きな音がトモミンのお腹から鳴った。


「……バナンポ食べる?」


 マーサはズボンを脱いで自分のバナンポ(?)をおもてに出した!冗談半分本気半分!これがレアスキルAB型の真骨頂!派生効果『エロおやじ』だ!


「きゃ!」


(わっ!ご主人様のモノが……あ、あれ?……美味しそう……)


 スキル『まるでカメラを向けられたセクシー女優』効果発動!トモミンの顔がみるみる赤身を帯びる。


「……ご主人様のバナンポ……いただいてもよろしいでしょうか?」


「いいよいいよ!」


「ありがとうございます!」


 トモミンは椅子に座るマーサの前に行儀よく正座をして、口元を隠すフェイスベールをたくしあげるとマーサのバナンポを嬉しそうに咥えた!


【スキル『年齢制限』自動発動!】


 ※視聴者からはマーサの後ろ姿しか見えません。すいません。


「ああ……トモミン……気持ちいいよ」


「んっ!……あ……んん……」


 椅子の下からトモミンの可愛らしい綿素材の花柄の下着が丸見えだ!ズームして確認するとトモミンの顔の動きに合わせて小刻みに動いているのがわかる!


 ※スキル『年齢制限』は『何でもかんでも修正すればいいというわけではない!』と思った!理解あるスキルである!


 ちゅ……ちゅ……くぽ……くぽ……くぽ………。


「れろぉ……ご主人……さま……お好きな時に……ピュッして……くださいね」


 椅子の下からトモミンの(よだれ)が落ちるのが見える!「さすがにアウトか!!?」審判の格好をしたバナンポが突如現れる!!スキル『年齢制限』が具現化した姿だ!スキル『年齢制限』がイエローカードからレッドカードに持ちかえ、口にホイッスルを咥え、様子を伺う!


 じゅるる……んっ……んっ……んっ!


「んごしゅん!ぃんっさまぁん!んもち……いぃんっ……ですかぁん!」


「そこで喋らないでぇ――!我慢できない~トモミン!口に出していい!?」


「トモミンの!んっ!んっ!お口にぃ!じゅぽじゅぽ!らしてくらさい!!んんっ――!!」 


 ビュッ――!!


「ああ……とまらない!!」


 ビュー!ビュッ――!!


「んんっ――!……んぐっ……んぐっ……ぷはっ!ご主人様のバナンポからジュースがいっぱい出てきました」


『ピピ――!!レッドカード!一発退場――!!』


 スキル年齢制限がレッドカードを掲げる!


「あっ!ああっ!まだでる!!」


 ※スキル『年齢制限』のレッドカードにより、モザイクの範囲が広がる!


 ビュルル~!


「んっ!んっ!んんん――!!?……ゴクッ!」


「……だ、大丈夫?」


「……ぷはっ!んにゃぁ~!ご主人様のバナンポジュース、にがいにゃぁ――!!!」


 トモミンは初めての味にもんぜつした!


『ピピ――!はい!ダメ――!!』


 スキル『年齢制限』からレッドカードが何枚も飛び出る!


「ご主人様、出しすぎにゃ……。うぅ~ちょっと、こぼしちゃったにゃ……。ちっぱい、ちっぱい……」


 バナンポジュースがトモミンのワンピースの中にも垂れて、ちっぱいに到達する。


「……ち、ちっぱいのちっぱい(失敗)」


 マーサは思ったこと口にした! 


 思ったことはすぐに口にする!そう、スキル『AB型』の特性だ!(たぶん)


「次は、こぼさず飲むんだよ」


 トモミンの頭をナデナデした。


「はい!ご主人様!えへへ!」


 屈託のない笑顔を向けるトモミン。


 スキルAV男優は夢のスキルに違いないと確信した瞬間だった!


「それでは、バナンポを綺麗にしますね!」


 レロレロちゅぱちゅぱ。


「ん?……ご主人様、もっかいピュッピュッしますか?」


 マーサのバナンポの回復力はスキルAV男優の効果で常人の数十倍だ!


「あっ……そんなに丁寧に舐めたら、また……」

 

『グ――!!』


 二人のお腹が同時に鳴った!


「……とりあえず、先にご飯を食べに行こうか?」


「えへへ……はい!ご主人様!」


 マーサはそそくさと脱いだズボンを履き直すと、トモミンと手を繋ぎながら食堂に向かった。


 バタン!


「ふふ……いいのが撮れた……。しかし、本当にAVみたいね……」


 部屋の扉が閉まると、謎の女性の声が聞こえ、窓の隙間からこぼれ出たほのかに輝く光が、夜の風に乗りながら空へと昇っていった。


『退場――!退場――!』


 ひとり残された審判姿のスキル年齢制限はレッドカードを掲げながら部屋の中を走り回っていた――。


 <つづく!>

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