「んはぁ――!!ゆ、ユキノ……様ぁ……」『脱落者続出!?死の四合目』
【死の四合目】
誰が名付けたのか、急斜面が多い四合目は毎年たくさんの登山客が遭難し、命を落とす――。
通称『死の四合目』。
「ひゃっは――!!どけどけ―!」
さすが女山賊団統領モンキーDミルキー!急斜面を物ともせず駆け上がっていく!
「サルの親分!先にいくよぉ!」
レディース黒薔薇総長ノーブレーキが馬車で追い抜く!
「馬車とは、卑怯な!」
ツルン!!ガラガラガッシャ――ン!!
大きな音と共にノーブレーキの馬車が急に滑り落ちて大破した!
「な、なんだってんだ……!?」
「上に誰かいるぞ!」
モンキーDミルキーが上を指差す!
「おや?勇者パーティーじゃないね~?」
「アマルル!本当に、ここに勇者パーティーが来るんだろうね!」
なんと勇者の話を聞きつけた元魔王軍四天王『秘穴の魔女アマルル』と「粘液スライムローショーン」が復讐にやってきていた!
「なんだ~あいつらは?」
モンキーDミルキーは睨み付ける。
「まぁ、いいわ!そのうち現れるでしょ!魔曲『ポリリズムディスコ』!」
ローショーンはそういうと三人に分裂して踊りだした!
「うわ!す、滑る!」
みるみる急斜面が大量のローションで埋め尽くされる!
明るいお天気姉さん『晴れドキドキ日和アイアイ』は滑って転げ落ちる!
「晴れ時々ローションは聞いてないわよぉぉ~!』」
正体不明の仮面の淑女!
変態!『全身タイツ仮面』も滑って転げ落ちる!
「もじもじもじもじ~!」
あちこちで転倒し!脱落者続出だ!
ローションの激流に食らいつくモンキーDミルキー
「へん!山を知り尽くした私にはこんなローションくらいで……」
「そこの山賊統領!服、溶けてるぞ!」
登ってきた勇気ユキノが話しかける。
「え!?きゃ!胸がポロリしてる!いやぁ~ん!きゃぁ――!!」
ゴロゴロ――!!
山賊統領は意外に乙女だった!滑って、脱落!
「いっちに~さん!いっちに~さん!」
勇者ユキノは以前攻略したようにお尻を突きだし登って行く!なんと、ユキノを先頭に互いの腰を掴みながらイク、レキ、トモミン、マーサと縦に並んで登っている!
最後尾のマーサだけは、なぜか、前を向いている……。
「現れたね!勇気ども!まさか協力して登ってくるとは!」
アマルルが勇気達に立ちはだかる!
「今度こそ!奈落の底へ突き落としてやるわ――!」
ローショーンの踊りが激しくなった!
「確かに優勝者は一人だが、誰かを蹴落として勝った勝利など、私はいらない!」
先頭の勇者ユキノが豪語する!
「ユキノ様!ついていきます!」
二番目の剣聖イクは三番目のレキの腰をしっかり持ち、後ろ歩きでついていく!
「その通りよ!元四天王!私達は、負けない!!」
三番目の拳聖レキも、やる気満々だ!
「んっ!!んっ!んん!」
四番目の聖女トモミンは最後尾のマーサのバナンポを咥えながら登っていた!
「この、歩きながらの感覚……まさに新感覚!」
マーサはトモミンに吸われながら、みっともなく登る!
「バカマーサ!いいから、早く指輪に魔力貯めなさい!!」
レキがアホヅラのマーサに激を飛ばす。
マーサのバナンポにはめられた指輪は、はめると魔力が増幅するが、マーサが(バナンポジュースを)出さないとバナンポから抜けない!
「あなた達……何をしてリンコ?」
免許皆伝!くの一の里町『パットリさん』参上!
お尻を丸出しにした勇者ユキノを先頭に縦に並んだ勇者パーティーを冷めた目で見る。特に聖女トモミンは男の物を咥えながら登っていて、常識では考えられない光景を目の当たりにしていた!
「こ、これには深い訳があるのだ!」
イクが慌てる!
「そう!そうよ!深~い深~い訳が!」
レキも慌てる!
「は~っはっはっはっ!」
ユキノは、なんだか楽しそうだ!
「そう……ご自由に。先に行くでござリンコ」
誤解をしたまま忍者道具『水蜘蛛』を足にはめたパットリさんは『スィ――スィ――』と急斜面を登って行く!!
「これが私達の秘策!『ビフォー・アフターン・オールスター』!!」
アマルルの闇魔法が炸裂!なんということでしょう!!女の子達にバナンポが生えたではないですか!
※スキル『年齢制限』発動!
『バナンポは果物です。バナンポジュースは美味しい飲み物です』というテロップが出た!これで大丈夫だ!(大丈夫か?)
「うわっ!ば、バランスが取れない……で、ござリンコ!」
急に慣れないバナンポが生え、バランスを失う!
「うわぁぁ~!!」
パットリさんは落っこちた!で、ござリンコ!
「きゃ――!!またバナンポが生えた――!」
レキが叫ぶ。
勇者パーティーにも元から生えているマーサ以外、全員にバナンポが生えた!
「くっ!さすがにバランスが!……イク!!」
ユキノが目でイクに合図を送る!
「はい!ユキノ様!」
合図を受け取る。最初から勇者ユキノとパーティーを組んでいる剣聖イクは、勇者ユキノの考えていることは目を見ればわかるのだ!
ユキノはイクの腰をガシッっと掴み直した!
「狙いを定めて……」
ユキノが狙いを定める!
「……ユキノ様?」
「せ~の……」
「……ゆ、ユキノ様?」
「はぁ――!!」
掛け声とともに勇者ユキノに生えたバナンポを一気にイクへ押し入れた!
「んはぁ――!!ゆ、ユキノ……様ぁ……」
思ってたのと違ったようだ!
「うむ!安定した!そして、なんか気持ちいいし!」
ユキノはイクの腰をガシッ!と掴み、体制が安定した!
「……レキ殿」
イクの鋭い眼光がレキを襲う!そうだ!もっと安定させなければ!
「ひゃ――!イク様!わ、私はその……あの……」
「ええ――い!ズブズブ――!!」
イクは躊躇なく生えたバナンポをレキに勢いよく打ち付け、固定させた!
「はぁ――ん!!イク……様……」
レキは気を失いそうな衝撃になんとか耐え、目の前のトモミンの腰を握り直す。
「……」
レキは自分に生えたバナンポをトモミンに一気に押し込んだ……。
「え、えい!!」
「んっ!んっ!んん?ん――!!!!」
入れられた衝撃でマーサのバナンポの奥の奥まで咥え込む!
「我慢ってどうやってするんですかぁ~!?」
情けない声を出しながらマーサは果てた!
「んはっ!!!!えほっ……ゆ、指輪取れました!」
七色に光輝く指輪を自分の左手の薬指にはめる。
「いきます!『バナンポ・オーケストラ・フィナーレ!!』」
トモミンが歌い始めると、それを聞いた山に住む動物達も歌いだす。やがて大地の歌声がフジサンヨンゴ山の大合唱へと歌が広がる!
「んぁ!んぁ――!あぁ~ぁぁ♪」
イクにバナンポを入れたユキノも唄う(?)
キレイな歌声!上手い!
「あっ!あぁ――!あう!あ――♪」
ユキノに入れられながらレキに入れているイクも高らかに唄う(?)
高音までしっかり出ている!上手い!
「あ~!あぁ――!ぁぁぁぁあ~♪」
イクに入れられながらトモミンに入れているレキも元気にいっぱいに歌う(?)
音程がブレブレだ!音痴だが元気いっぱいだ!
「ラ~♪ラ~♪ラ~♪ぁぁぁ~~♪」
ひとりスッキリしたマーサも唄う!
ビブラートが効いててめちゃめちゃ上手い!
無駄な才能!これがAB型なのか!?
大合唱はやがて大きな力の波となり、雪崩が逆流してアマルルとローショーンに襲いかかる!
「ぎゃぁ――!!!!」
逆流した大波に流されるアマルル!!
「またかぁ――!!!!」
ローショーンも波に体を取られ、踊ることができなくなった!
アマルルとローショーンは雪崩のようなローションの大波に巻き込まれて見えなくなった!
「よし!勝ったな!では、みんな勝負再開だ!……あん!」
ユキノがバナンポを抜き、駆け出す!
「んあっ!……はい!ユキノ様!」
イクもバナンポを抜き、駆け出す!
「んはっ!……私も行きます!」
レキもバナンポを抜き、駆け出す!
「んんっ!……私は魔力を使い過ぎたので、ちょっと休憩します……」
トモミンの『バナンポ・オーケストラ・フィナーレ』は魔力のほとんどを消費してしまうのだ!
あと、どうでもいいのたが……抜く時は気持ちいい!
「みんな、速いなぁ~~」
ユキノの姿はすでに見えなくなっていた。
レキの後ろ姿が微かに見える。
ひとり遅れて登っているイクにマーサが追いついた。
「……ふぅ」
「イク、調子悪いのか?」
心配して木陰で休ませる。
「……ああ、ちょっとな。……ふぅ」
「これは……こ、高山病の症状だ!早く水分補給しなければ!水は、持ってない……くそっ!」
マーサ本日二回目の『くそっ!』
「はぁ……はぁ……」
イクの顔色がどんどん悪くなる!
「仕方ない!イク!飲むか!?」
マーサは真剣にバナンポを出す!
(決してふざけてはいない!真面目にバカな男!マーサ!)
「はぁ……はぁ……はい」
イクは一言だけ……「はい」と答え……口を開けた――。
シ、シャァ――……コポ……。
【五分後――】
「来たわね!イク!」
勇者ユキノがすごい勢いで登ってくるイクに手を振る。
「お待たせしました!ユキノ様!」
イクは元気いっぱいだ!
「待ってました!イク様!」
レキも喜ぶ!
「やはり、この三人が残ったか!勝負だ!イク!レキ!」
勇者ユキノは走り出した!
『はい!!』
山頂付近、二人の声が山びこになり、こだまする。
次回、決戦!頂上での戦い!!
優勝は――誰の手に!!
<つづく!>
「ま、待ってぇ~!」
自分も水分補給したマーサが、ゆっくり三人のあとを追う!
マーサよ!気づいているか!?
お前は登る必要ないんだぞ!!
結婚相手決まるの、下で待っててもよかったんだぞ!
「みんな、登るの速いよぉ~」←気づいてない!
<今度こそ、つづく!>




