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「ちゃんと舌の上に出してね」『マーサと四人の花嫁』

 【魔王城一階】


「やぁ――!女・神・降・臨!」


 マーサたちの前に突如、女神フレイヤが現れた!


「あ、女神様!久しぶり!」


 女神に軽い挨拶をする。誰にでも平等な男、マーサ!


「え?え?女神フレイヤ様!?」


 さすがの勇者も女神様とは面識がない!


「マーサ殿、女神様とお知り合いなのですか!?道理で並外れた力を持っているはずだ!」


 イクは自分のことのように誇らしげだ。

 

「本物の女神様が目の前にいらっしゃるなんて……夢みたい!」


 レキは目をキラキラさせている。


「ご主人様のご主人様!?ごちゅじんちゅじん様!?」


 トモミンは舌を噛んだ。


「ごちゃごちゃうるせ――!!」


 女神フレイヤは思ったことは全部言う!

 

「……」


 絶対、あがめられるのに向いてない!マーサは心の中で思った!


「ま、いいわ。マーサ……おめでとう。借金完済よ!」


 なんと、さきほどの配信(サムネ『勇者パーティーひとつなぎの秘部』)でバズりにバズって見事、三億ノーエッチの借金を完済したのだった!


 トモミンは「ご主人様~借金ってなんですか~?」とマーサに尋ねる。


「あ!いや!あはは――!」


 とぼけた男がさらにとぼけた!


 女神フレイヤはマーサを無視して彼女達にねぎいの言葉を掛けた。


「勇者ユキノ、剣聖イク、拳聖レキ、聖女トモミン……あなた達の活躍は全て上(天界)で見させてもらったわ」


「すべて……ですか?」


 レキは「あれもか……」と、いろいろ思い出し、冷や汗をかく。


 女神フレイヤは「すべてよ」と答える。


「あれも、これも……ですか?」


 イクは「あれも、これもか……」と、いろいろ思い出し、冷や汗をかく。


「あれも、これもよ!あんた達がすぐにエッチしちゃうのも全部よ!何あれ?わざとなの?わざとでも、ああはならないわよ!」


 女神フレイヤは若干キレ気味に答えた。


「で、何のよう?」


 マーサ以外の全員が恥ずかしさのあまり両手で顔を隠す中、あっからんとするマーサ!これがAB型!いや……これぞAB型!


 女神フレイヤは「魔王が逃げ出したわ」と伝えた。


 全員が声を揃えて『魔王が……逃げ出した――!?』と驚く。


 ユキノは「ほ、本当に?」と目を丸くした。


 ひとりマーサは「俺に恐れをなしたか……」と誇らしげに胸を張る。


「さすがご主人様でっす!」


 トモミンはマーサの周りを喜びながら駆け回る。


 女神フレイヤは一度深呼吸をしてから、衝撃の真実を叫んだ……。


「あんたらが、エロすぎるからよ――!!」


 しょうもない理由だった!


「……なんだそれ」 


 マーサは意味がわからなく、呆れた。

 

「これで国民は大喜びだと思ったら……、そうもいかないのよ……」


 女神フレイヤは深くため息をつく。


「まさか!もう新たな魔王が誕生したのか!」


 ユキノは腕をぐるんぐるん回して意気込む!


「いいえ……原因はマーサ、あんたよ!」

 

 女神フレイヤはマーサへ視線を送る。


 マーサは「え!?お、俺!?」と驚いた。


 女神フレイヤはマーサに人差し指をビシッ!っと指差し、不満をぶちまけた!


「あんたが、いろんな女の子に手を出すからコメント欄は大炎上なのよ――!」


 ※配信モニターは特別有料会員になると自分の意見を書き込むことが可能です。


「コメント欄って……」


「いい……勇者ユキノ、剣聖イク、拳聖レキ、聖女トモミン、一人ずつマーサとデートして、一人選んで結婚しなさい!」


 女神フレイヤはさらっとすごいことを言った。


 レキは「けけけけ!結婚――!?」と驚く。


 ユキノは「結婚とは!驚いた!」と腰を抜かす。


 トモミンは「ご、ご主人様と……結婚」と頬を赤らめる。


 イクは「マーサ殿と……そんな……結婚なんて」と照れながら聖剣ゼックスカリパでその場の草刈りをはじめる。


 聖剣ゼックスカリパは『聖剣を草刈りに使わないで~』と声を出すがイクには届かない。


 女神フレイヤは彼女達に不満そうな顔を向ける。


「なに!?嫌なの!?嫌なわけないわよね――!?あんなにエッチしといて!!編集大変なのよ!」


『…………』


 誰も否定できなかった!


 マーサは「そんな……選べないよ!」とモジモジしている。


 そんなマーサに「気持ち悪ぅ!」と言いながら、女神フレイヤは説明する。


「その点は大丈夫よ!一人ずつデートする模様をライブ配信するから!一番『いいね!』をもらった子と結婚ね!」


 とんでもない提案だった!


「あ、ついでにあんたにあげた指輪、それ結婚指輪だから。一番光らせた子が優勝するかもね!」


 てへっ!と舌を出す。


 マーサは「結婚指輪を変なとこにはめないでよ……」とバナンポを見る。


 結婚指輪は今もマーサのバナンポにハマってます。


 ユキノは「……結婚かぁ」とつぶやいた。


 全裸で縛られるユキノの横で夕飯を食べるマーサを想像する。勇者ユキノは結婚生活も勇者級の規格外だ!


「マーサ殿と……結婚……!?」


 新築の家の庭でマーサと鍛練をする。マーサに負けたイクはおもむろに服をたくしあげ……!? 


 剣聖イクも妄想を膨らませる!


「マーサと……へへっ」


 お風呂に一緒に入るマーサとレキ。「ちょっとマーサ!真面目に洗いなさいよ!」泡だらけのレキの体にマーサの手が蛇のようにウネウネ動き回る!拳聖レキは悪戯されたい!


「ご主人様と……トモミンが……」


 マーサが「あ~ん」とスプーンにのせたプリンをトモミンの口へ運ぶ。トモミンが目を閉じ「あ~ん」と口を開けると、口の中にはマーサのバナンポが!?……そんな夢の(?)生活を思い浮かべる。


「でも、そんな、急に……」


 焦るマーサとは対照的に女の子たちは案外やる気になっているぞ!


 突如始まったライブ配信対決!


 一番『いいね!』を貰うのは誰か!?


 一番『女神の指輪』を光らせるのは誰か!?

 

 マーサと結婚するのは、果たして――


 ついにベールを脱いだ【マーサと四人の花嫁編】


 ここに、堂々開幕!!


 <つづく!>


 【おまけ小説『マーサの新婚生活(妄想編)』】


「……四人のうち、誰かと結婚……!?」


 マーサは悩んだ!とんでもなく悩んだ!


 『拳聖レキの場合』


「ほらっ!マーサ!パン焼けたわよ!バター乗せる?」


「ありがとう、レキ。バター貰うよ。レキは?」


「私は……その……あんたから出たの……また乗せて食べたいな……」


「また?」


「て、手でするね!」


「ちゃんと(こぼ)さずに乗せるんだよ。この前だって……」


「ちゃんと服についたのは、全部舐めたもん!!」


 ※服についたバナンポジュース(修正)はあとでレキが美味しくいただきました。


 謎のテロップが流れる!そういう時代だ!


「先に舌の上に出して、それをパンに乗せれば?」


 マーサのバカな発想は、ときに男の夢を語る!


「なるほど!あんた天才なの!?そうする!!ちゃんと舌の上に出してね」


 ※これはマーサの妄想です。


「もう、仕方ないな~」


「あ~ん!はい、いいよ――」


 レキは口を大きく開けて、舌を出した――。


 『勇者ユキノの場合』


「マーサ!朝ごはんを私に盛ったぞ!」


 全裸のユキノに焼魚にご飯、フルーツまで盛られている。


「うぉ!朝から自作の女体盛りとは!すごいな!」


「寝起きはいつも私がいただいているから、朝ごはんは逆に食べてほしくてな」


「今朝もありがとね、ユキノ。では、いただきまぁ~す!」


「はぁ――ん!それは真っ赤な苺じゃない――!」


 ユキノがのけ反る。


「あ、間違えた!ごめんごめん……」


「ねぇ、下のオマーンエビを食べてよ」


「メインは最後にしようと思ったのにな。もう、仕方ないな~」


「いただかれてま~す!はぁ――ん!!」


 『剣聖イクの場合』


「マーサ殿!朝ごはんができました!」


「ありがとう、イク!朝から山盛りご飯だな!」


「はい!今朝採れたばかりの山菜を天ぷらに……あ……う!?」


 急にイクの顔が赤くなり、息づかいも荒くなる!


「こ、これは!食べたらおっぷにからミルクが吹き出る『吹きのとう』ではないか!?」


 マーサは山菜の天ぷらを箸で持ち、驚く。


「ええ!?味見した時は大丈夫だったのだが!?マーサ殿……どうすれば治るの?」


「確か、ミルクが出なくなるまで、おっぷにを吸えば治るよ!」


 イクは「……よろしくお願いします」と言いながら、服をたくしあげ、おっぷにを露にする。


「もう、仕方ないなぁ~。じゅるる~」


 マーサはおっぷにを吸った!それはもう、思いっきり吸った!


「はぁ―ん!出ちゃう!ミルク出ちゃう!」


 じゅるる――!!ちゅぱちゅぱ!


「ああん!ダメぇ――!!そんなに吸わないでぇ――!!」


 朝から栄養満点だった!


 『聖女トモミンの場合』


「んぐっ!んぐっ!」


「トモミン~!ずっと咥えてたら朝ごはん作れないよ~!」


「んぐっ……ごめんなさい……旦那様……。お口が寂しくて……」


「今日は俺がトモミンの好きなオムライスを作ってあげるからね。ソースは何がいい?ケチャップ?デミグラス?」


「旦那様の……ホワイトソースがいいです」


「もう、仕方ないな~。タマゴは甘めに作るかな……」


 かき混ぜた卵にトモミンは口の中に含んでいたバナンポジュースを流し込む。


 マーサは手早くトモミン用のオムライスを完成させ、行儀よく座るトモミンの前に差し出す。


「モグモグ……甘い卵に苦いホワイトソースがマッチして、美味しいでっす~」


 トモミンは満足そうな表情でオムライスを食べた。


 【現実】


 マーサは「もう、仕方ないな~」のニヤニヤしている。


「……何が仕方ないの?ニヤニヤして気持ち悪い」


 レキが軽蔑の眼差しを向ける。


「あ、いや……えへへ……」


 鼻の下がチーズのように伸びていた!!


 しかし、マーサの妄想は特殊スキル『夢で会えたら』で妄想したことは、現実に起こる事になるのでは……!?


 <つ、つづく!!>

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