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「うん!苦い!やっぱり味が違う!」『呪いのバナンポとひとつなぎの秘技』

 魔王城へ続く坂道を登りきった勇者一行は、とうとう魔王城へと足を踏み入れる。


「……家が建ってる」


 マーサが魔王城の扉を開けると、一階の中央に古びた家が建っていた。玄関先には『ウェルカム』と書かれた看板が立て掛けられている。


「どうしよう!ものすごく怪しい!」


 レキが眉間にシワを寄せながら看板を睨み付ける。


「しかし、2階に続く階段もないし、罠と分かっていても入るしかないのかも……」


 キョロキョロと辺りを見回してからイクは言った。


「そっか!じゃ、お邪魔しま~す!」


 勇者ユキノの辞書に『ちゅうちょ』という漢字は難しすぎて載っていなかった!


「ようこそ、魔女の家へ」 


 胸元の大きく開いたセクシーな黒のドレスにトンガリ帽子、『秘穴の魔女アマルル』が姿を現す。


「覚悟しなさい!四天王の二人が相手よ!」


 羽をパタパタさせながら飛んできた『七変化の妖精コスプレイーヤ』はへそ出しセーラー服に、地面に着きそうなぐらいだらしなく履いたルーズソックスで登場だ!


「あれ?あなた、どこかで会ったような……」


 ユキノはコスプレイーヤの顔を覗き込む。


「会ってない!会ってないったら会ってない!!」


 絶対会った人の否定の仕方だ!


 コスプレイーヤは以前、『女体盛り』に変装(?)して勇者暗殺を企てたが、逆に勇者ユキノにメロメロにされた過去があるぞ!


「メロメロになってない!」


「……何も言ってないが?」

  

 ユキノが首をかしげる。


「……うるさい!」


 情緒不安定は恋の初期症状だ!


「上へ行く階段は私達を倒さないと現れないわ!気になる対決方法は……コスプレ写真対決よ!」


 アマルルは意気揚々と宣言する。


「ふざけた事を言うな!」


 イクが聖剣ゼックスカリパに手を掛ける。


「バカにしてるの!?」


 レキは力強く拳を握りしめる。


「面白そうだな!」


 ユキノは頭の後ろで腕を組みながら言う。


「やった!コスプレ対決!!待ってました!」


 ガッツポーズのマーサ。


 反対二人、賛成一人、バカ一人だった!


「別に先に進みたくなければいいのよ~」


 コスプレイーヤは勇者パーティーの回りをパタパタ飛び回り挑発する!


「やっぱり、会った気が……」


 ユキノがまたコスプレイーヤの顔を覗き込む。


「しつこい!会ってないって!絶対会ってない!」


 絶対会ったことのある人の慌て方だ!


「もう!仕方ないわね!でも、コスプレってどうやるのよ!」  


 腕を組みながらレキがため息をつく。


「こうやるのよ!秘術!『ビフォーア・フタール』!!」


 なんということでしょう!魔女の家がたちまち病室に早変わりし、セクシーナース服を見にまとったアマルルとコスプレイーヤが現れる!


「おお!セクシーナース!お注射したい!」


 バカが発病した!


「どうなっているのだ!?」


 イクは様変わりした風景に驚く。


「ふっ!驚いた!?私の秘術で、この家はどんなシチュエーションでも再現できるのよ!別室にいっぱい衣装あるから、着替えて出てきてね!」


 アマルルが指した指の先には『コスプレ部屋』と書かれた扉があった。


「面白そう!採点は誰がやるんだ?やっぱりマーサか?」


 ユキノはナース姿の四天王に鼻の下を伸ばしているマーサを見る。


「採点は、お前だ!」


 アマルルはレキを指差す!


「わ、私?」


 レキは人差し指を自分に向け、戸惑う。


「違う!お前の胸に挟まっている魔バナンポだ!」


 アマルルはレキの胸を指差していた!


「ぽんぽ~ん!」


 レキの胸のボタンがはじけ、バナポンとレキのおっぷにが飛び出す!


「きゃ――!」


 おっぷにを瞬時に隠す。


「確認!」


 マーサはあらわになったおっぷには、たとえレイコンマ一秒でも見逃さない!


 瞬時に決して消えない心の隠しファイルに保存する。


「それ、バイブンの魔バナンポでしょ。撮影&点数機能ついてるのよ。バイブン、変態だったから」


「ポン、ポン、ポン、ポポ~ン!パシャ!」


 バナポンはセクシーナースのアマルルとコスプレイーヤを採点した写真を吐き出した。


「注射されたい。79バナンポ……だ、そうです」


 マーサが翻訳する。


「……なんで、あんたバナポンの言葉わかるのよ」


 レキが呆れた顔を見せる。


「……なんとなく」


 バナンポに国境はなかった!


「先に100バナンポ出したら勝ちね!負けたチームには『語尾が「バナンポ大好き」になる呪い』が1週間取り憑くわ」


 アマルルの魔女呪いは対象者の心を蝕む!


「……絶対に勝たなければ」


 呪いの恐ろしさに体がワナワナ震えるイク。


「イク様!大丈夫!バナポンは私達の仲間よ!絶対勝てるわ!見ててください!」 


 レキは自信満々でコスプレ部屋に駆け込み、シチュエーションをアマルルに告げる。


「それではどうぞ!拳聖レキの挑戦です!『ビフォーア・フタール』!」


 なんということでしょう!家の中だったはずが辺り一面、海と砂浜が広がった!


「お待たせ――!!」


 レキは大胆なビキニを着けて登場した!


「ポン、ポン、ポポポポ……パシャ!」


「勝ったわね!」


 両腕でおっぷにをはさみ、セクシーポーズを決め、勝利を確信する!


「ぽぽ~ん……」


 バナポンが写真を吐き出す。


「工夫がない。30バナンポ。失格……だ、そうです……」


「あんたね――!」


 マーサの胸ぐらを掴む。


「違う!違う!俺じゃない!バナポンが言ってるんだって!」


「ほ~ほっほ!相手にならないわね!」


「次は私達の番ね!」

 アマルルとコスプレイーヤはコスプレ部屋へ入る。


「まぁまぁ……私は、かわいいと思うぞ」


 ユキノは水着のレキにハンカチを手渡す。


「ユキノ様……ありがとうございます」


 慰められて、涙をぬぐう。自信あったのに……。


「出てきたぞ!」


 イクがコスプレ部屋を指差す!


 なんということでしょう!瞬く間に学校のプールに早変わり!コスプレイーヤはスクール水着を着用し、アマルルはスクール水着の上になぜかジャージを着て出てきた!


「なにそれ!ププッ……私の方が露出があって、いいに決まってるじゃない!」


 レキが鼻で笑った!


「ポンポン、ポポポポポポ……ポ――ン!!!!パシャ!」


 バナポンの採点!


「95バナンポ!スクール水着の小さな膨らみが青春を思い出す!上にジャージを着ることで下にちょっとだけ覗く逆三角形でご飯何杯でも食べれます!ご馳走さまです!……だそうです」


「…………どうして」


 レキは負けたショックで膝から崩れ落ち、立ち直れない!


「レキ……あとは任せて。いくよ!イク!トモミン」


 頼もしい勇者ユキノのかけ声にイク、トモミンが返事をする。


『はい!!』


 衣装部屋へ向かう三人。その背中には闘志が宿っていた!


「……みんな」


 頼もしいうしろ姿を残し更衣室に消えていく。


「何をやっても、私達には勝てないよ!」


「次はミニスカメイドポリスをやるんだから!私達の勝ち確定ね!」


 アマルルとコスプレイーヤが余裕の表情を浮かべる。


「くっ……!ミニスカメイドポリスだなんて……!卑怯だぞ!見たいじゃないか!」


 マーサが両手で頭を抱える!容赦しない四天王!想像しただけで、屈してしまいそうだ!


「……あんた、ちょっと黙ってなさいよ」


 軽蔑を通り越して道端の犬のフンを見る目でマーサを見る幼なじみのレキ。


「なにをやってもムダだよ~」


 コスプレイーヤが陽気に飛び回る。


「くっ!!……ユキノ様……がんばって!」


 やがてステージにライトが灯される。


「いくぞ!!」


 ユキノの掛け声でシチュエーションが変わる!


 なんということでしょう!瞬く間に最初に見た病室に早変わり。ユキノ&イクのダブルナースにパジャマ姿のトモミンが登場する。


「おほほほっ――!私達が最初にやった病室で出てくるなんて!何も思いつかなかったの!?ナース服も普通だし、笑っちゃうわね!」


 アマルルはケラケラと高笑いする。


「……こ、これは!」


 マーサの目が煌めく!


「ポン、ポン、ポポポポポポ、ポンポポーン!パシャ!」


 バナポンの採点をマーサが翻訳する。


「100バナンポ!ユキノチームの勝ち!」


「待て!なぜそうなる!勝てないからってイカサマはよくないぞ!」


 アマルルはマーサに詰め寄る。


「そうだ!そうだ!明らかな不正だ!」


 コスプレイーヤもパタパタ飛びながら抗議した。


「バカヤロ――!この写真をよく見ろ!」


 マーサは一喝すると、写真の中のトモミンを指差す……。


「あ……あああ……患者姿の聖女トモミンが体温を計って……い……る……!?」


 アマルルの手に取った写真がプルプル震える。


「前ボタンを上から四つも外し、体温計を脇に差し込むことで……ちっぱいが……見える……なんて……。完敗だ!ぐはっ!」


「全裸より、脱ぎかけ……当たり前だ!」


 マーサが魔王軍四天王を一喝する!


「さっきから、何を言っているかわからないわ……」


 レキは頭にハテナを浮べた。


 オタクの発する言語は辞書には載っていないのだ!


「俺達の勝ちだ!残念だったな!次は異国の学生服『セーラー服を着たままお風呂』を提案しようとしていたから、どっちみち勝つのは俺達だ!!」


 レキはまたもや頭にハテナを浮かべたが、マーサが楽しそうなので今度、やってあげようと密かに心に思った。


「ええぃ!こうなったら!『ビフォーア・フタール』」


 追い詰められたアマルルが魔法を唱える!


 なんということでしょう!レキにバナンポが生えたではないでしょうか!マーサのバナンポにも見劣らない立派なバナンポは魔女アマルルの匠の技術がなせる技!


「きゃ――!何これ――!!」


 レキのバナンポがそそりたつ!


「あははは!いい気味だわ!その『呪いのバナンポ』は刺激を与えて中のバナンポジュースを空にしないと消えないわよ!」


 スキル『年齢制限』発動!『呪いのバナンポ』を『かわいいバナポン』で表現!これで大丈夫だ!(大丈夫か!?)


「出せば……消えるの?」


 レキは生唾をごくりと飲み込み、自分のバナンポを両手で持った……。


「コシコシ……あ、ああん!」


 レキは初めての感覚に悶える。


「ああ!たまらん!」


 マーサは『たまらん!』とだけ言い残すと自分のバナンポを取り出し、すぐさまレキに入れた!


「ば、バカマーサ!!ああ――ん!!で、出る――!」


 レキの手コシコシがいっそう強まる!


「やばい!間に合うか!」


 ユキノは疾風迅雷のスピードでレキの前に回り込み、しゃがんで口を開ける!


「いや!ユキノ様にかかっちゃ……ああ――ん!」 


 レキは初めての『バナポン(修正済み)』から『バナンポジュース(修正済み)』をユキノの口の中に解き放った!


「んはっ!ごく……ごく……おお!マーサのより甘い!」


 マーサのより甘かった!


「こしゃくな!『ビフォーア・フタール』」


 アマルルはさらに秘術を唱えた!


 なんということでしょう!剣聖イクの額に『かわいいバナポン(修正済み)』が生えたではないでしょうか!誰も思いつかない大胆な発想。これぞ空間を操る魔女のなせる匠の真骨頂!


 前は寂しい思いをしていたイクでしたが、これなら一緒に楽しむことができ、趣味の『穴埋め』にも没頭できるでしょう。


「きゃ――!!ひ、額に『かわいいバナポン(修正済み)』がぁ~!」


「ユニコーンみたいでカッコいいわよ」


 ユキノが慰めるが、たぶん逆効果だ!


「穴があったら入りたい~!」


 イクはマーサのお尻に突進した!


「待て待て待て!なんで、俺……ぐはっ!」


 マーサ(の心)に大ダメージ!!


「ああ――ん!!ふ、深い……」


 マーサが突かれた衝撃で、マーサの『かわいいバナポン(修正済み)』もいっそうレキに入り込む!


 これでレキとマーサとイクが繋がった!


「アマルル、私にもお願いしたい!」


 ユキノがアマルルに頭を下げる。


「え?……『ビフォーア・フタール』……これでいい?」


 ユキノに『かわいいバナポン(修正済み)』が生えた!さぁ!どこと繋がる!?


「よし!そりゃ!」


「あ!んはっ――!!」


 四つん場になって額の『かわいいバナポン(修正済み)』がマーサと合体しているイクに後ろから突っ込んだ!


「レキ様、キレイにしましょうね……ぱくっ」


「いや!トモミン!やめて!」


 トモミンがレキの『かわいいバナポン(修正済み)』を咥え、マーサがレキを突き、イクの額がマーサに埋まり、イクにユキノが入ってる……全員繋がった!これでコンプリートだ!?


「ぽぽ~ん!」


 まだだ!まだ!バナポンが残ってる!


「バナポン……おいで」


 ユキノは自ら秘密の花園の入口を広げ、バナポンを誘う。


「ぽぽ――ん!!」


「なに!?『強さ『MAX』振動パターン『災害級』』だと!?」


 すかさずマーサの通訳が入る。


 バナポンがユキノの秘密の花園へ突入する!


「ポッポ――!!!!」


「んぁぁ――!!……癖になる刺激!」


 これでやっと全員が繋がった!コンプリートだ!


「……勝てないわね……バナンポ大好き!」


「そうね……負けでいいわ……バナンポ大好き!」


 目の前で繰り広げられる酒池肉林に呆然と立ち尽くすことしかできないアマルルとコスプレイーヤに敗者への呪い『語尾が「バナンポ大好き!」になる』が付与された!


「呪いが解けるまで一週間……バナンポ大好き!」


「長いわね……バナンポ大好き!」


 二人は一週間、極力喋るのを諦めたという――。


 【勇者チームの勝利!】


「れ、レキ……出そう!」


「ちょっとマーサ!ダメ!あ!ダメ!私の『バナンポジュース(修正済み)』が先に出ちゃう!ああ――!」


「んはっ!レキ様の『バナンポジュース(修正済み)』ごちちょうさまでした!……あ、本当だ!ご主人様のより甘い!」


「あ!あ!私も……何か来ちゃう!」


 ユキノが身震いをする。


「んあ――!!?あふぅ……ユキノ様の『バナンポジュース(修正済み)』あったかい……あ、私も額の『バナンポジュース(修正済み)』……出そう!!?」


 ユキノに温められ、穏やかな表情のイク。


 それとは裏腹に破裂寸前の風船のような額のバナンポが今まさに、限界を迎えようとしていた。


「待て待て待て――!イク、やめて!やめて――ああ――!!!!」


 ドッパァ――!!


 マーサが初めての感じた温かさは、まるで母親のお腹の中にいた時のような温かさだったという……。


「ジュルル~!」


「はぁ――ん!ゆ、ユキノ様ぁ――!」


 ユキノはレキの秘密な花園に顔を埋め、先ほど出されたマーサのバナンポジュースを吸い出す。


「うん!苦い!やっぱり味が違う!」


 やはりレキの液よりマーサの方が苦かった!


「…………ぺろっ」


 額についたバナンポから流れ落ちた口元のバナンポジュースをぺろっと舐め、ウンウンと頷く剣聖イクであった!

 

 【魔王城 魔王の間】


「よし!我、逃げよう!」


 すごいものを見た魔王は、大切な『配信モニター』と『無修正メガネ』だけ持って逃げ出した!


 勇者一行の力に臆したからではない!


 配信のプレッシャーに耐えきれなかったからだ!


 『神回』を立て続けに見せられた魔王は、自分との闘いであれ以上のものを視聴者に見せれる自信がなかった!もちろん、著者も頑張って考えたけど浮かばなかった!


「トモミン……ラブ」


 必ずトモミンに会いに戻る!


 そんな切ない想いを胸に、魔王は魔王城を後にした。


【天界】


「マーサ……よくやったわね……。今回の写真の注文と合わせると……借金……完済よ!!」


 ちゃっかり写真を回収してネットで転売していた!!


 ちなみに一番売れた写真はマーサが趣味で撮った、トモミンの『脱ぎかけスクール水着』だった!!


 次回、怒涛の新展開!


 【マーサと四人の花嫁編】堂々スタート!


 

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