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「お尻が丸見えでっす!!」『ヌルヌルローション坂と聖女の歌姫』

 魔王城の城門を抜けると、城に続く道は坂道になっていた!!


 ユキノは坂道に絶望し、膝から崩れ落ちる。


「くそぉ!ただでさえ坂道で登りにくいのに、さらに坂の上から水が流れているぞ!!」


 魔王城入り口から出た水が坂道を緩やかに流れている。坂道は結構な急斜面で登りづらそうだ。


「そ、そんな……この水、ヌルヌルするわ!」


 レキは坂道に流れる水を手で触り、ヌルヌルする感触を確かめる。


「ロ……ローションだと……!?正気のじゃない!こんな事……誰も思いつかないぞ!!」


 まさか!といった表情の剣聖イク。


「え~ん!これじゃあ坂道を登れないよぉ~!」


 目の前の絶望に泣き出すトモミン。


『さすがは魔王軍策略部隊長スライムローショーンね……』


 ゼクスがつぶやくと同時に坂の上で液体がみるみる人の形を作る!


「ふははは――!恐れいったか勇者ども!!のんぴと足りとも我があるじの城に足を踏み入れることはできんぞ――!!」


 難攻不落のヌルヌルローション坂に対する絶対的な自信が、ローショーンの声を張り上げる!


「……お正月特番で見たことあるな」


 マーサは転生前に見たことがあった!


「へい!ミュージック、スタート!はい!ほっ!よっ!はっ!」


 軽快な音楽と共にローショーンは踊りだした!


「な、なんだと……」


 マーサの目が見開く!


 説明しよう!ローショーンが粘液を出すには身体を揺らす必要がある!音楽があると揺らしやすく、どうせ揺らすなら踊ったほうが楽しいのだ!


「ぷるん………ぷるんぷるん……」


 マーサはローショーンの揺れる胸に釘付けだ!!今回は役に立ちそうにないぞ!


「まったく!マーサのアホは放って置いて、とっととこんな坂、攻略してやるわ!」


 最初の挑戦者!レキ!


 靴と靴下を脱ぎ捨て、ローション坂と相対する!


「レキさん!がんばってください!」


 トモミンの応援がレキの心に火をつける!


「いっけぇ――!!!!」


 レキは勢いよく駆け上がった!その姿は早馬!しっかりと足は地面を掴み、疾風迅雷の如く駆け上がる!


 『作戦その1 勢いよく上ります作戦』だ!


「行ける!?」


 ユキノがニヤリと微笑む。


「がんばれぇ――!!」


 イクも拳を振り上げて応援する!


「任せて――!!……あ、あれ?」


 気のせいか、下がスースーする。


 ローションは踊りながらつぶやく。


「あ、いい忘れたけど、この粘液、服溶けるから」


 お約束だった!


「いやぁ――!!」


 レキの服がみるみる溶け始める!!


「きゃ――!つるっ!!ああ――!!」


 気が緩んだレキは足を滑らせ、横回転しながら滑り落ちる!!


「危ないレキ!!」


 パシッ!!


 マーサは滑り込んでレキをキャッチした!!



「ま、マーサ……!?……あ、ありがとう」


 マーサに抱き抱えられ、自分の体の全てをマーサに預け、頬を赤らめる。


 そういうレキの服は溶け、丸見えになったおっぷには抱きかかえたマーサの顔にジャストフィットしていた。


「天国見つけた」


 おっぷにの間で顔をフリフリする。


「地獄へ行ってこ――い!!」


 バッキャ――ン!!


 マーサはレキの拳を受け、ぶっ飛んだ!


「おっ!後ろ向きで登ると登りやすいぞ!」


 ユキノはお尻を突き出しながら登る!格好は恥ずかしいが、なぜか登りやすいぞ!?


 『作戦その2 後ろ向きで安定作戦』だ!


「よ、よし!私も!!」


 イクもユキノを真似して登る!お尻を突き出しながら……お尻を……。


「ユキノ様!イク様!お尻が丸見えでっす!!」


 トモミンが慌てながら二人のお尻を指差す。


 跳ねた粘液で、お尻だけ丸見えだ!


『きゃぁ――!!』


 二人は慌てて両手でお尻を隠すが、バランスを崩す!


「あぶな――い!!」


 果敢にも飛び込むマーサ!!危険をかえりみない勇気!助けるのに理由なんていらない!まさに本能!いや……煩悩か!?


 ぽよぽよ~ん!


 二人のお尻がマーサに直撃する!


「Go!to!heaven!(天国に行ってきます!)」


「二度と帰ってくるなぁ――!!」


 またもレキの鉄拳制裁!


 バッキャァ――ン!!


「ギャァ――!!」


 マーサは、天国へ旅立った!


「トモミンもがんばる!」


 ついにトモミンが動いた!


 『作戦その3 トモミン、初めての上り坂作戦』です!


「と、トモミン!」


「トモミンちゃん……」


「トモミン殿……」


 仲間の三人は、とても心配した!幼児体型のトモミンは見た目の通り運動神経は限りなく0に近い!


「えい!パタン!!きゃ!!」


 最初の一歩で滑って転んだ!


『……かわいい』


 全員、癒された。


「ふぅ……あと少し」


 トモミンに気をとられているいるうちにマーサはヌルヌルローション坂を約9割攻略していた!


 『作戦その4 ローションは日常作戦』だ!


「ま、マーサ!?」


 ユキノが坂を登りきろうとするマーサに目を疑う。


「マーサ殿、いったい……どうやって!?」


 イクがスイスイ坂を昇るマーサに問いかける。


「ん?ヌルヌル馴れてるし……」


 マーサは答えた。


「マーサがんばれ!」


「もう少し!」


「マーサ殿ファイト!」


「ご主人様!すごい!」


 マーサが、なぜヌルヌルに馴れているか聞く者は誰もいなかった!


「ほう……やるな!ならば私も本気を出す!魔曲『ポリリズムディスコ』!!」


 ローショーンは粘液で二体の自分の分身を作り出す!三人になったローションは息の合ったキレッキレのダンスを踊り出した!曲はもちろんテクノポップだ!


「うわっ!すごい!おっぷにのビッグウェーブやぁ~!……ぎゃ――!!」


 マーサは転げ落ちた!!まさに人生を転げ落ちるリストラサラリーマンのごとく!!


 ドカァ――ン!


「……自業自得」


 レキが冷ややかな目でマーサを見つめる。


 誰も助けなかった!


「……社会は厳しい」


 くの字に曲がりながらマーサはつぶやいた。


 世の中はそんなに甘くなかった!


「こうなったら、合体だ!」


 ユキノの掛け声でイク、レキ、トモミンも立ち上がり4人でスクラムを組む!


 『最終作戦!みんなでスクラム作戦』だ!!


「いっちに!いっちに!」


 スクラムを組みながらお尻を突き出し、四人で後ろ向きに進む!


「いっちに!いっちに!」


 一歩すつ……だが、確かな一歩だ!


「いっちに!いっちに!」


 気持ちをひとつに!上を目指して!


「いっちにぃ!いっちにぃ!」


 挫折など存在しない!あるのは希望という光の道ただひとつ!


「くっ!!」


 さらに粘膜の波を強くするローショーンだが、四人の絆は揺るがない!


「いっちに!はぁ……いっちに!はぁはぁ……」


 地獄の縁から生還したマーサは後ろ向きに進む四人の後ろにピッタリと付き、粘液で服が溶け、ところどころ露になった四人のおっぷにが揺れる絶景を眺めていた……。


「もう……この覆面に用はない!!」


 マーサのバナンポに装着された覆面がゆっくりと外れた……。


「あ、あんたは……」


 剣聖レキの頬が赤らむ。


 謎の覆面バナンポがそのベールを脱ぐ!


「あ……お、大きい……」


 剣聖イクの目が見開く!


 次々と劇場版予告のセリフが回収される!


「あ!イク様!体制を崩しちゃ!きゃ――!!」


 イクが前のめりでマーサのバナンポを凝視したため!四人のバランスが崩れた!


「うわっ!」


「きゃ―!」


 四人は体制を崩して転げ落ちた!


「み、みんな!!」


 マーサは四人全員を受け止めようとした!その瞬間、時間はスローモーションで流れはじめる!


 極限状態のマーサは覚醒したのだ!


「――――!!」


 最初に落ちてきたレキのおっぷにを右手で鷲掴み!落下を止める!


 次に落ちてきたトモミンはバナンポを口にうまく押し込み、落下を阻止!


 続いてユキノのおっぷにの間に顔を押し込み動きを止める!


 ユキノのおっぷにに顔を埋めて前が見えなくなったマーサだったが、覚醒マーサには関係ない!


 最後にイクを心眼で左手を伸ばしてキャッチする!


 なんとマーサは四人全員を受け止めたのだ!!


「いやぁ~激しく揉まないで~」


 マーサの右手が揉むレキのおっぷにが、荒波のごとく波打つ!


「もごもごもご……喉奥のさらに向こう側……!!?」


 トモミンの小さな口がバナンポの姿を全て包み込む!


「あん!胸の中で暴れないでぇ~」


 マーサの顔の形に変形したユキノのおっぷにの谷間が小刻みに揺れる!


「そこはお尻の――!!やぁ~ん!指を入れないで~!!」


 マーサの左手の中指がイクのお尻の中にかくれんぼする!

 

「もう……ダメぇ~」


 イクの力が抜ける。


「ああ……俺も……限界だ……どぴゅ!」


 違う意味で限界だった!!


「んぐっ!んはっ!!……あ、指輪が……!?」


 マーサのバナンポにはめられた指輪が七色の光を放つ!!トモミンは、そっと指輪を左手の薬指にはめた……。


「ご主人様を守るためなら……『バナンポオーケストラ』!!ラ――♪ラァ――――♪♪」


「『ト……トモミン!!その技はあなたに負担が……やめてぇ――!!』……って、あれ?私は何を言っているんだ?」


 見えない力が働いている!


 聖女トモミンの歌声に応えるように草木……大地……空気……太陽でさえ歌い出す!


「みんなの歌声が、私の歌に力を与える……バナンポオーケストラ・フィナーレ!」


 歌声に応えるかのように粘液は逆流した!!


「そ、そんなことが!!?ぎゃぁ~!!」


 粘膜スライムローショーンは自分の粘膜に飲まれ消え去った!!


「勝った……勝った――!!」


 勇者ユキノが勝利の雄叫びを上げた!


 勇者一行は、見事ヌルヌルローション坂を攻略したのだった!


【魔王城 魔王の間】


「魔王様!!ローショーンがやられました!!」


魔王「カ……カカ……」


 魔王は震えている!


「し、失礼しました!」


 恐怖を感じたアマルルは慌てて『魔王の間』を飛び出した!


「くっ!私が勇者達を止めなければ!!」


 強い信念を胸にアマルルは走り出した!


魔王「カ……カ……神回!!!!」


 魔王はライブ配信を見ながら右腕を天高くに突き上げた!!


【天界】


「伏線回収!!!!」


 配信モニターに顔がくっつくほど近くで見ていた女神フレイヤも右腕を天高く突き上げたのだった!


勇者一行、魔王城……入・城!!


どん!!(太鼓の音)


<つづく!……どん!(太鼓の音)>

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