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46.ギルドの試験の前に

◇◇◇◇


「ここがランクAの検定会場です!」と、指示されたのは、ギルドの中とは思えない程広い闘技場のような場所だった。

 思わず感嘆の声を漏らしながら闘技場を一周見回す。

 見た所、どうやら観客席まで用意しているようで、本戦を行っている様子をざっと10000人が360°楽しめる造りになっているみたいだ。

 いやいや、そんなに大勢に注目されながら検定って、私は人気者でも何でもないし恥ずかしいかから受けたくないなあ……


 念の為、ギルドにこんなに大きな部屋があるんですか、と訊くと、「魔法をドアに付与する事で闘技場にテレポート出来るようにしているんですよ〜」と返された。

 私はもう何も返答する気力もなくなり、「あぁ〜」とだけ言って真顔になった。よくよく考えればわかる事を、真面目に杞憂していたみたいだなあ……

 まあ、そもそも魔法をドアに付与出来る事が常識と捉えれていない我々地球人にはまだまだこの星に適応するのは早すぎるって事なんだろう。


「では、今からランクAの検定を始めさせて頂きます!」

「お願いします」「お願いします!」


「まずは、夏目さん、お願いします」

「はい!」


 お願いしますと言ったが、誰もいないじゃないか。的がある訳でもないし、ここにあるのは雲一つない晴天とローマを彷彿とさせる闘技場と私達だけだ。

 まさか、雨音と私で闘えって事なんじゃないでしょうね……


「あ、因みにですが、私、魔力1000万程度しかないですから、手加減してくださいよ? 死んじゃうのは流石に嫌ですから……」

「は、はあ……」


 手加減? 店員さんに? ……もしかして今から、こ、この人と闘うの!? それは予想外すぎる。単なる店員だと思っていたのに、1000万も魔力があるとは驚きだ。それなら誰もいなくて当たり前か。

 でも、この人は武器らしい武器は持っていない。魔法か格闘技だけしか使わないって事なら、私もそれに合わせた方がいいかな。


「それと、闘いにくいようでしたら、同族同一視化というスキルが存在しているので、何か引っ掛かる点があるのであれば、使った方がいいと思います!」


 同族同一視化。全く聞いた事のないスキルだ。名前から察するに、自分と同じ種族の見た目に自動で変えてくれる、と言った感じだろうか。

 となれば相当便利だ。相手が地球人なら見た目に囚われずに生活出来るって物。まあ、流石に魔物までは人に見立てなくてもいいけど。


 スキル構築。スキル 同族同一視化を検索。

 ……構築。


 脳に痺れが走る。これかあ。でも、思ったより大した事ないし、気にしなくても良さそうだ。

 さて、スキル 同族同一視化、使用!


《スキルを発動させる対象を選択して下さい》


選択肢:ヒト この世の全て 生物 物 有機物 無機物 etc……


 成る程。ここで発動させる対象が選べるのね。まあ勿論ヒト一択でしょう!


 タップでヒトを選択すると、《対象設定完了。スキルを発動させます》と流れ、店員さんの姿が変わって行く。

 さっきまでは地球人とは似ても似つかなかったエイリアンが、まるで現地人のようなスリムな褐色お姉さんへと変貌していた。

 懐かしい。これだよ。私達が今まで生きていて目にしていた普通の人とは。

 永遠のSF気分に浸るのも悪くはないけれど、異世界に住む地球人だなんてのも格好良くていいじゃない! これからは見た目は地球人、中身はエイリアンの人達に世話になりそうだ。

 こんなに画期的なので、雨音にも同じようにスキルを創って貰った。これはこれから生きる上で重要になるだろう。そうに決まっている。


「あのー、もうそろそろいい、ですかね? スキルは創り終わりましたか? ……いやー分かってはいるんですけれど、私闘うのが好きでして、今でも魔物討伐に行っては沢山ドロップ品を持ち帰ってお金を稼いでいるんですよ。なのでちょっと強い人と闘えてウズウズしちゃって……」


 こ、これが強者発言……! 一般人が到底発言出来るような台詞ではない強者発言をこの人は発した……! 私の方が強いらしいけど、人間的に言えばあちらの方が上。これだけで憧れてしまいそうだ。

 いつか私もあんな言葉が言えるようになりたいな。


「待たせたのはこっちで、責任は私にあるので別に気にしないで下さい。じゃあ、始めますか!」

「宜しくお願いします!」


「お姉ちゃん、頑張って!」


 (私は雨音のその言葉に激励された)

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