45.ギルドの登録
資金調達と言っても、どこに行けばお金を稼げるのか分からない。
異世界物は良くギルドという場所で依頼を受ける事によってお金を得ていた。もしかしたらこの星にもそんな場所があるかもしれない。
私がこの星に来た時は奴隷として働かされ、一日働いてやっと少しの額を貰えて生活していた。
そんな生活とももうおさらば。まずはギルドを探す事から始めよう!
意気込みを入れる為、魔法で服装を整える。黒の靴下に黒い靴、青の半ズボンに白パーカー。黒の帽子を被れば完璧だ。流石に人前でヒラヒラなのは遠慮したい。
雨音は色を対比させて私と色違いにしていた。私がお姉ちゃんである設定を順守している……のかな。
後は街行く人にギルドの場所を訊くだけだ。
通りすがりの人に訊いてみると、この街の一番大きな広場にあると言う。ここからすぐの所にあるそうなので、聞いた通りの方に進む事にする。
とか言っておいて、ホントは広場を軸に広がる大通りがあり、真っ直ぐ行けば簡単に着くらしい。
そのせいで訊いた瞬間鼻で笑われた。まあ、確証を得た訳だから、結果オーライだ。ポジティブ思考で行こう。
大通りを進んで行くと、あからさまギルドですよ、と言わんばかりに大きな看板が見え、200m先ギルドあり、と書いてあった。外国人に優しい設計だ、ありがたい。
目的地がすぐそこにあると分かって少し浮かれながらギルドに向かっていると、数分もしない内にギルドが見えてきた。
入り口とおぼしき場所の上には木彫りでギルド、と書かれている。これは勝ち確だ。ありがたく入店させて貰おう。
とその前に、何やら雨音がもじもじしてこちらを見つめている。ここまで誰にも話しかけられなかったし、何か問題でもあったかな?
もしかしてトイレに行きたい、とかかな。
「雨音、どうかした? 何か言いたい事でもありそうだけど」
訊いたはいいけれど、雨音は俯いたり目をそらして話そうとしない。
「怒ったりなんかしないよ。まあ、怒る理由もないだろうけどさ。話さないと私もどうにも出来ないからね!」
そう言うと納得してくれたようで、話してくれる気になったみたいだ。でも、何が雨音をそんなに困らせるんだろう。全く見当も付かない。
会った時はもう冷静沈着で、大人っぽくてカッコ良かったんだけどな。今はちょっと子供っぽくて可愛い私にとっては天使だよ天使。
良く雨音は私達と会った時にああいう風な態度でいれたなって思う。演劇とか絶対得意なんじゃないかな。
でも強さは本物。私と互角かそれ以上だ。まあ、私達がどれ程強いのかは知らないけど。
話がそれてしまったが、雨音曰くこの国の言語が分からないと言う。
「なんだそんな事かー!」と、声に出てしまった。雨音の事だから心配したけど、そうと分かればやる事は一つ。スキルを創って貰おう。
言語理解の説明をし、いざ創造。すると、何だか雨音の様子が変だ。体調が悪いのかな?
後から訊いたら、あれは脳に痺れが走っていたらしい。
今までスキルを創ったりしていなかったから気付いていなかった。
新しい発見というのはいつも死角から出てくる物だ。
少し問題が発生したけれど、気を取り直してギルドに入店だ!
取り敢えずカウンターらしき場所に向かう。内装は木造で昔からありそうな雰囲気だ。
横の方には紙が釘に打たれて沢山貼られているクエスト一覧的な物があった。あそこから私達でも出来そうなのを選ぼう。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」
ご用件って言っても、まずはギルドの登録が必要だよね。こういうのって水晶玉に手を当てるんだっけ。
「えっと、ギルドへの登録をお願いしたいんですけど……」
「ギルドへの登録ですね。では、こちらの水晶に手を当てた後、それに応じたランクの試験に受けて頂きます」
店員はそう言ってカウンターの下から水晶玉を取り出す。あれか、触ったら色が変わって、それで魔力量が分かる訳だ。
まあ、期待はせずにBランクだと思って触ろう。
水晶玉に触れる。ひんやりして気持ちがいい。さて、色はどうなったかな……?
「あ、赤色!? お客様これは……!!!」
「どうしたんですか? 赤って凄いんですか?」
何やら店員さんは凄く驚いているみたいだ。しかも、赤と聞いた人達が一斉に私の方を見る。私なんてまだまだの方なのに、どうしてここまで驚かれるのだろう。
私ってもしかして強い? いやいや、無人牢獄じゃ私達よりも強い敵がうじゃうじゃいる。そんな訳ない。
「お、お客様! どうやら水晶の調子が悪いようなので、違う物と交換させて頂きます!」
と、私が考えている隙に店員は奥の方へと水晶玉を取りに行ってしまった。
その間後ろの方で何やらざわついている。やっぱり赤って凄いんじゃ……
いや、まさかこれが「私、もしかしてまた何かやっちゃいました?」の奴なのかな……?
店員がもう一つ水晶玉を持ってきた。まあ、赤が凄いんなら私は赤じゃないと思い、もう一度水晶玉に触れる。
だがしかし結果は赤色。更に後ろの方のざわつきが大きくなった。店員さんも目を丸くしている。
私と雨音だけ何も知らないなんて不平等だ。赤色が何を意味するのか教えて貰おう。
「すいません、赤色の事に驚いているようですけど、一体何がそんなに凄いんですか?」
「凄いってレベルじゃないですよこれ! 魔力5000万以上じゃないと現れないですから、これは騎士団の中でも精鋭クラスのランクAです! それもAの中でもかなり上位の方ですよ!」
その事を聞いてやっと理解した。騎士団の中でも精鋭クラスの人がここにいるんだったら驚かれるのも無理はない。
それなら本当に私は強い訳だ。何か自信が付いたからか、凄く気分が良くなってきた。
「えっと、そこの子も一応水晶に触れて置きますか?」
多分雨音の事だろう。身長が低かろうと強さには影響しないのだ! その証拠を見せようではないか!
「あ、お願いします!」
そう言って水晶玉に触れる。私と互角なので勿論赤色に光った。
まあそうだろうと思ってはいたが、やっぱり店員さんは私の時よりも驚いていた。もう後ろには人だかりが出来て、我こそは、と赤色の水晶玉を見たがっている。
「こ、これは失礼しました! まさかあなたまで5000万以上魔力があるとは思ってもいなく……」
私だって今の雨音にそんな魔力があるとは思えない。しょうがないしょうがない。
「で、では、ランク検定の前に名前の方をこちらの板に書いて下さい。日本語で大丈夫ですよ」
良かった。日本語じゃ駄目だったらどうしようと思った。この国の言葉は難しすぎるから日本語が使えると本当にありがたい。
ギルド名:アインザムギルド
氏名:小川夏目
年齢:17歳
戦闘方法:剣、魔法、格闘
ランク:A
「こんな感じでいいですか?」
「はい、大丈夫です! それにしても魔力5000万もあって、剣も魔法も格闘も出来るなんて凄いですね! 尊敬します!」
尊敬された。やっぱりここまでくると私達の常識が可笑しかったという結論に至りかねない……
となれば、光喜なんて物凄く強いんじゃ……?
ギルド名:アインザムギルド
氏名:二条雨音
年齢:17歳
戦闘方法:剣、魔法、格闘
ランク:A
「出来ました」
「え!? あなたも剣も魔法も格闘も出来るんですか!? これはもう本当に失礼しました! では、受かるとは思いますが、ランクAの検定会場に行きましょう!」
何か、あの日見た人達とは違って、凄い優しい人だな。
世界は広いって、改めて実感する。これから私達はどうなるんだろう。想像も出来ない。
ギルドの店員について
貴也がギルドに来た時にいた店員は地球人に対し、悪質な態度で接客していた事が他の店員にバレ、速攻解雇となり、今の店員に至る。




