42.必勝法(?)
◇◇◇◇
無人牢獄の囚人の朝は遅い。早いのではない。遅いのだ。それも、遅すぎる程に。
そう、具体的に言えば、朝かは定かではない朝10時に起床する。昨日、一昨日は特別慣れる為、という名目で早起きだったらしい。
一日が34時間もあるこの星では、いつも昼間が18時間、夜間が16時間という規則正しい時間配分になっている、とビガイから聞いた。
朝は必ず6時に日が昇り、15時に日が頂点に達し、24時に日が沈む。残念ながらここでは日は拝めないが。そして6時まで夜が続く、という感じらしい。
そして、この時地球ならもう次の日だ。もう体内時計が狂う狂う。
こんな時間配分と聞けば、まるでゲームのような均一さだ。だが、なぜか寸分の狂いもないらしい。
そう言えば、何で地球と時間の長さの概念が一緒なんだろう。もしかして私達の為にビガイが調整してる? 何と気遣いのいいお方だろう。絶対上司にしたい程だ。
今日は第四階層の制覇が目標だ。だが、残念な事に朝食は無い。腹が減っては戦は出来ぬ、と言うが、昼食と夕食があるだけいいじゃないか。
囚人になった以上、我慢は避けられないのだ。
寝起きで寝癖やら何やら確認しないまま扉の前に立つ。準備運動も何もない。あわよくば死ね、という事で受け取って置く。
でもアンタ達の思い通りにはならない。私達には絶対に生きなければならない理由があるから。
水魔法で顔を洗う。良し、これで全力で挑める。
そう思いながら、扉という地獄の奥へと進んでいく。きっといつか、ここから出られると信じて。
◇◇◇◇
とうとう10階層を制覇した。ここまで長い道のりだった。でも、まだ終わりじゃない。いつ終わるかも分からない。
強くなった。闘いも慣れた。色んなスキルや魔法もゲットして、魔法の階位の事についても知れた。
そして、新たに統合という物も学んだ。これは、スキルや魔法を合体させて、より強い物を獲得する謂わば上位互換製造スキルだ。しかも見易くなる特典付きだ。
そして、私の今のステータスはこんな感じだ。
基礎魔力:60万
魔力:6090万
《下位魔法、スキル》
《魔法》 なし
《スキル》 なし
《中位魔法、スキル》
《魔法》 物体念動
《スキル》 言語理解
《上位魔法、スキル》
《魔法》 なし
《スキル》 装備強化 貫通、盲目耐性、究極統合
《超上位魔法、スキル》
《魔法》 火魔法Ⅸ(属性魔法を撃つ際、超上位属性魔法まで下位属性魔法の効果が引き上げられる。引き上げない選択も可能。消費魔力は下位属性魔法と変わらない)、水魔法Ⅶ、風魔法Ⅶ
《スキル》 身体能力強化Ⅱ、高速治癒Ⅲ、魔力密度増加C (100)(魔力+100.5倍)
《極上位魔法、スキル》
《魔法》 攻撃阻害Ⅱ(敵の攻撃する位置をずらす)
《スキル》 浅はかな願い(持っている武器が壊れない)、基礎魔力増加Ⅴ(基礎魔力2倍)
《神聖魔法、スキル》
《魔法》 うたた寝(三秒間時を止めれる)、表裏一体(敵と自分の位置を入れ換える)
《スキル》 神からの告げ口(上級以下の魔法に魔力を必要としない)
大体の敵は、超上位魔法で一発で倒せた。炎濔を使って倒したのが大半だった。
必勝法だと思われたその魔法は、第11階層でことごとくあしらわれる事になる。
◇◇◇◇
「な、何でアンタ炎濔をもろに食らって生きてるのよ……」
さっき炎濔を奴に向かって放った。そして奴は死んだ。死んだ筈なのに。トドメも刺したのに。
それでも奴は事実と矛盾して死なない。
「しょうがない人達だ。いくら無駄な攻撃をしたって無駄な物は無駄な物として儚く散るだけのに」
ここは第11階層 格闘の皇帝、エレンテのバトルフィールドだ。




