37.神石
◇◇◇◇
何時間か雨音と話していると、スモーアがご飯を持ってきた。今日のご飯はカレーらしい。しかも一緒にスプーンが付いている。なんと心の優しい収容所だろうか。まさか日本の食べ物がこんな場所で食べられるとは思いもよらなかった。
「いっただっきまーす!」「いただきます」
一口目はお米と一緒には食べずにルーだけで食べるのが私の中では常識だ。フーフーはしない。熱かろうが何だろうがカレーの素を味わいたいのである。
だが、ルーは思った三倍は熱かった。なんとも情けない叫び声を上てしまう。響く廊下を目前に。そして雨音にまた笑われた。普通こういう刑務所とかの食事って出来たてのホヤホヤが出されるもんなの……?
「お姉ちゃんフーフーぐらいはしなよー笑」
「いいの!これが私のモットーって奴なの!」
「その割にはモットーに苦しめられてるようだけど?」
「………」
返す言葉が見つからない。これからはフーフーはする事にしよう。
◇◇◇◇
カレーも食べ終わり、する事もなくなってきた頃、ふと超石を取り出してみた。
黄色に輝いている超石は、魔法を使うには必須のアイテムだ。これがなければ第二階層の時のようにただの一般人になってしまう。
暫く眺め、気付いた事が一つある。この正八面体の物体の中心に横に一筋切れ込みが入っているのだ。90°回転させても切れ込みがある。そこで思い付いた。
もしや、これ、開くのでは?
取り敢えず端と端を持って引っ張ってみるも開かない。それならば捻ればどうだ。そうしたらすんなりと開いた。
開けた瞬間、超石が浮遊して、くるくる回り始めた。何やら真ん中にはコアのような物がある。
「お姉ちゃん、それ何ー?」
変化に気付いた雨音が一目散に私の真横へと駆けつけてちょこんと座る。
「超石だよ」
そう答えてもう一度超石の方を見る。コアとおぼしき黄色の物体の中には液体が入っているのが見えた。そしてその上にはパーセンテージが表示されている。《94%》と書いてあるようで、これが何を表すかは分からない。
それに、液体とは何だろう?魔法に関係が……?
そう思った直後、アナウンスがまた入った
《超石のコアの中身の液体は、魔力変換装置の電池です。具体的に言うと、人体の活動エネルギー、すなわち酸素を魔力に変換し、魔法を使用する手助けをする物です。充電は不可能です。また、空気中の酸素は魔力に変換する事は不可能で、あくまで人体内の酸素だけを変換する事が出来ます》
「ナニソレめっちや重要な事じゃないですか!!!」
心の中で叫んだつもりが、また声に出てしまった。遠くまで響く廊下を前に。
いきなり叫んだから、雨音を驚かせてしまった……なんて事は無く、というか笑っていた。もう私はお姉ちゃん交代でいいよ。うん。
「お姉ちゃんがいるといっつも面白いからこの牢獄生活も全然苦じゃないや笑。それで、重要って、何がそんなに重要なの?説明してー!」
全く、こうも子供みたいに言われると、お姉ちゃん交代は絶対に避けたくなってしまう。
今アナウンスで聞いた事をそっくりそのまま雨音に説明すると、少し俯いて考え込んだ。そして私にこう言う。
「魔法を撃つと疲れる原因って、これにあるんじゃないかな?」
私は「あ、確かにー!」と、すぐ気付いた。確かにそうかも知れない。
「体内の酸素を魔力に変換するんだから、魔法を撃つと体内の酸素が無くなって、一時的に息切れの症状が出る。そして、魔法を打ち続ける、つまりを体内の酸素を消費し続けると、貧血を起こして倒れる、そう言う事ね」
「魔法のメカニズムはそう言う事だったのね……」
「魔力が増えるとどうなるかについてだけど、それは体内に取り込める酸素の量が増えるって事だと思う。酸素が増えれば撃てる魔法も多くなる。意外と単純ね」
「中々話が難しいわね………」
だって、こんなの高校でやんないんだもん!!!




