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23.過去

          ~2008年~


「私ね、おっきくなったらね!お父さんみたいにすっごい科学者しゃんになってね!それでね、すっごい大発明するの!」


  お父さんの名前は二条誠治(せいじ)。至って普通の人だった


「そうか、それは頼もしいな!じゃあ、科学者さんになるにはどうしたらいいと思う?」


   「うーん………あ!わかった!お勉強する!」


「良く分かったなー!偉いぞー雨音!」


   「やったー!じゃあ、私、いっぱい勉強するね!」


「おう、頑張れよ!」


「あなた?まだこの子には勉強はちょっと早いんじゃない?」


お母さんの名前は二条マリー・リー。愛称はリリーだった。


「そんな事ないさ、子供はやる気さえあれば、なんだってやってみればいい物だよ」


「それもそう……ね!」


   「お母さん!今度、勉強する物買って!」


「はいはい、じゃあ、明日買いに行こっか!」


   「わーい!!!」


◇◇◇◇


一年程して、雨音は小学校に入った。だが、勉強を頑張ったお陰か、いつもテストは満点。

 小学二年生になる頃には小学六年生の範囲まで勉強を進めていた。

 だが、そんなに人生は上手く行かなかった。

 小学三年生の時だった。


◇◇◇◇


          ~校舎裏~


「お前、気持ち悪いんだよな!!!」


   一人が殴る


   「うっ!!!痛い!何するの!!」


「うるせー!お前が気持ち悪いからだろ!小学生の癖に真面目に勉強してんじゃねーよ!」


   もう一人も殴ってくる


   「あうっ!痛い!痛いよぉ……!!」


   私は何で殴られているか分からなかった


◇◇◇◇


それからはそんな日が毎日続いた。そしてある日、とうとうお父さんにその事がバレた。

 小学六年生の時だった。


   「ただいま」


もうこの時には何をされてもなにも感じなくなって特に気にする事もなかった。今はただ科学者を夢見ていた。


「ん?その首………雨音!!!その痣はどうしたんだ!?まさか、誰かにやられたのか!?」


「ううん、何でもない。今日は宿題沢山出てるし、勉強しな」


「言いなさい」


   「え、でも」


「言いなさい!!!」


こんなお父さんの表情は見た事がなかった。私は本能的にこれは答えなければならないと感じた。

 私はもうどうにでもなってしまえ、という気持ちで今までの事を全てを話した。お父さんの顔はみるみる青白くなったが、その場にお母さんが仕事でいなかった事が不幸中の幸いだった。


「何て、事だ………!!!」


お父さんは泣き崩れた。当時、私は何故お父さんが泣いているのか分からなかった。


「情けない……そんなに長い間俺は何一つ雨音の変化に気付かなかっただなんて………クソッ、クソッ!!!」


「い、いいんだよお父さん。私は、対して気にしてないし、そんな事より勉強の方がもっと」


「そんな事とは何だ!!!これでは雨音の生死に関わる!!!なんとしてでも止めなければならない!!!」


そう言ってお父さんは研究室に駆け込んでいった。今までは二日に一回程しか入らなかった研究室。当時はさほど研究室に打ち込んではいなかった為、お金もあったし、何よりお父さんの笑顔が見れた。


でも、その日からお父さんの態度は一変した。


研究室からは殆ど出てこなくなり、いざ出てきたとしても髪はボサボサで邪険な眼差しで、何かふつぶつ呟いていて、とても話しかけられるような状態じゃなかった。

 そして、勇気を出して二人で話しかけたとしてもこっちを見るだけで何も言わなかった。


    そんな日が、中学三年生になるまで続いた

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