0-25.窮地
俺は極力自分が異世界から来ていることを明言するのを避けている。理由は、もしもの時の為、だ。
だが、そんな努力も水の泡になりかけていた。
「君さぁ、地上の人達と見た目が違うでしょ?だから、君ってもしかしてぇ………」
ま、マズい!!!バレるっっ!!!
「あの……あれ、地球人……だっけ?」
「え?」
この人は一体何を言っているんだ?………何で、地球を知っているんだ?
全く、疑問が頭の中でグルグルして酔ってしまいそうだ………
一回落ち着け!…………いや落ち着いてられるか!?こんな状況じゃ無理だ!そんな事が只の社会人に出来る訳ない!!!……って開き直んなし!!!
「ねぇ、どうなのぉ?貴也君?それに、タカヤって言う名前も珍しいよねぇ。中々そんな名前見ないねぇ」
「え、えーと………地球人って、……一体何の事なんでしょうかね………?」
………バチコリ疑われてますやんけ!!!!!
どう回避したったらいいのさこの状況!!!
もしかしたらもう回避のしようがないのかも知れないよな………
「あれ?地球人じゃないのかい?お父さんが昔本で見せてくれた人の体のつくりにそっくりだったから、僕も寄せた見た目にしたんだけどなぁ………また別の種族なのかなぁ?」
危ねぇえぇぇ!!!!!鈍感で良かったぁ…………んいや、ちょっと待とう。
「寄せた見た目にした」?なんだそれは!?見た目にしたって事は、体を変形させたりとかも出来るのこの人!?
って言うか、良くみたら肌が白に近いな。瞳も黄色と緑だし、それに身長も190はある。そんでもって体格は割とすらっとしてる。見た目が変わってるから本当の体格は分からないけど………
「寄せた見た目にしたってどういう事ですか?」
「ん?魔法で変えただけだよぉ。別にそんな大層な魔法じゃないけどねぇ」
「そう、ですか………。それじゃあ、本当の姿は一体………」
「それはねぇ、ヒ ミ ツ!だよぉ」
「やっぱりそうですよね………」
この人(?)今となっては人なのかすら怪しけれども、別に特別危険な人って訳でもなさそう。
でも、用心は怠ったらいけない。いつ何が起こってもいいようにしとかないとな………
◇◇◇◇
私はまた更に奥へと入り込んでる。危険だと分かっていながらも。月光で照らしても10m位までしか見えないなぁ。これ以上進むのは危険そう。
でも、私はお兄ちゃんをあっと言わせたい!絶対に強くなってやるんだから!
だが、一歩、また一歩と進む度に辺りが見えづらくなってくると、流石に不安になってきた
どうしよう………もう先があんまり見えないや………
月光の魔力供給量とか増やせないのかな………
私は何となく立ち止まって両手を上に向けて「は~~~
!!!!!」と言ってみる。
すると、以外にも月光の光が強くなり始めた
「あ!!!光がどんどん強くなってる!もっと魔力を……!!!……でも少し目がチカチカする……」
なので私は顔だけ下に向けて手を月光に向けて魔力を供給し続けた。
月光の様子は見えなかったし、誰かに見られたらめっちゃ恥ずかしいけど、流石に誰もいないと信じた。
~数分後~
そろそろいいかな………?
そう思って顔を上げるとそこにはさっきよりも一回りも二回りも大きい月光が空中に浮かんでいた。
「うわっ眩しっ!!!」
私は咄嗟に手で両目を覆う
そして、正面、私の進行方向を見た途端、とんでもない景色が広がっており、言葉を失って口が開いてしまった
「こ、これは………」
天井の方を今度は見る
「これってもしかして、大ピンチ、って奴………?」
そこには、自分の体よりも遥かに大きい蜘蛛の魔物が30体を越える程居て、全ての魔物が私を見つめていたのだった




