0-22.危機
3時間位経った気がする
だが毎回思う。
体が浮いた気がした………って何だそれ。寝てる時のあれか?急にビクッ!!!ってなる奴。
だが、それとは少し感覚が違う。足が地面についていない。それに………
何か前に………というより数秒前に見た光景を何回も見せられているような気がする。デジャブでもなさそうだ。
………奴が毎回最後に放った一言でこうなっている。
[ハーシャーダーツァイト]
あれは多分魔法だ。まあ、その前に、魔物が喋るなんて可笑しいと思うが、ストロングの様な感じで普通っちゃ普通なんだろうな。
◇◇◇◇
あれ?ここは………
またループした。何故かループする度に少しびっくりする。もう何十回、何百回と経験している筈なのに……
俺が同じ行動を取る限りずっとこのまま、か。
このループしてから次のループまでには恐らく掛かる時間は2秒掛かるかどうかだ。
さっき、と言うのだろうか。それともこの後と言う………いや、そんな事はどうでもいい。
つまり、奴が攻撃を出す前に俺が奴を倒したあの瞬間に奴が放った一言、[ハーシャーダーツァイト]がこの現象を引き起こしている。
……もう俺は数えるのを飽き始めている。何故なら、この瞬間の考えている間でさえ何回もループを繰り返しているのだから。
多分、他の行動を取ればこのループは終わる。だが、そんな事をすれば奴の攻撃を避けきれずに俺は奴に殺されてしまう。
ジレンマ、という奴か。どうしても避けられない運命がそこにはある。いっその事僅かながらの可能性とやらに掛けるのもアリか?
いや、確実な方法を見付けるまでは何もしない方が吉だ。
結論、奴も俺を殺せない。何故なら奴の最後の切り札が[ハーシャーダーツァイト]なのだから。
もし、奴もループしている間に考える事が出来たら?いや、多分出来るだろう。
なら、速く考えなければ奴にこの折角のチャンスを奪われてしまう。
まあ、チャンスでもありピンチでもあるとも捉えられる。
深く考えれば何かが閃いたりするんじゃないのか?どうだろう。奴との知恵比べに勝てる発想が俺にある自身はない。
なら、諦めるのか?俺。そんなわけないだろう。
じゃあ考えるんだ。奴も考えている。どうすればこの気が狂いそうな程短い期間で周期するループを抜け出せるかを。
◇◇◇◇
奴が姿を現した。何故だ。また俺で遊ぶのか。全く、本当に腹が立つ。
奴はバリアの様な物を出した
変化だ。久しぶりの変化に少し喜んだ。だが、その喜びは直ぐに絶望へ変わった
「バリア?そんなもので俺を止めれると思うな!!!」
俺はバリアに突っ込んだが予想とは全く違う結果になった。
「破れ、ない?」
俺は焦った、というより、死を悟った。
予知通りだと次に水攻撃が来る。無気力さが俺を襲った。
俺の攻撃は全てバリアに吸収され、俺はその場に立ち尽くすしかなかった
もう、死ぬ
『はいはい、そこまでだよぉ?ティト?』
謎の声が聞こえたと同時に目の前には灰色の髪をした20代前半と思しき男性が立っていた。
そして、恐らく『ティト』と言われるその魔物の見るからにとんでもない威力の水属性魔法を全て余裕そうな表情で片手で受け止め、俺の方を見て「君、大丈夫ぅ?」と声を掛ける。
俺は何が何だか分からなかった。結衣には悪気があったが、死ぬ気満々で、放心状態だったせいもあるかもしれない。
俺はポカーンと男性の方を見つめるしかなかった。
「アハハ、大丈夫じゃなさそうだねぇ。それよりぃ、ティトぉ………?手加減はしてと言ったけどぉ!ちょっとやりすぎなのぉ、しっかり反省しないと駄目だよぉ?」
ティトは[デ、デモおレはこレデモて、手加減シィたつ、つも、りだったノニ……]と、とても大人しくなってしまった。
俺は恐る恐る男性に尋ねる
「あ、貴方は一体………」
そうすると男性は即答する
「僕ぅ?僕はねぇ、セスト・ファウストって言うんだよぉ?気軽にセスト、って呼んでもいいよぉ」
俺は絶対にセストとは呼ぶ気にはなれなかった
「で、ではセストさん………」
「何ぃ?」
「助けて頂いて、有り難うございました!本当に感謝しています!」
正直な感謝を伝えたつもりだったが、返答は意外だった
「いやいや、僕はちょっと謝んないといけないといけないんだけどねぇ」
「と、言いますと?」
「実は君を試していたんだぁ………ゴメンねぇ」
!?
「試していた?それってつまりこのティトという魔物を使って俺の強さを測っていた、そういう事、ですか!?」
「まあ、そういう事~」
「……………」
もしかしたら、俺は闘ってはいけない魔物と闘ってしまったかもしれない。
告:光喜がUFOに連れ去られるまで後59日と1時間




