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3.突然変異とスライム

 〜王城の正門〜


「陛下にお会いしたい」


 取り敢えず行く宛もないので王城に帰って来た。勿論護衛がいた。何とかなるかな……


「ん? あぁ陛下が言ってた魔法の天才霧谷光喜か。でも駄目だ。その地球人の女と一緒ならな」


 おい、そこまで過大評価されると少し困るんだが、後そのダサい二つ名やめてくれ。霧谷光喜はいい名前なんだ!!! 頼む!!!


「この子はチンピラに絡まれていたところを俺が助けたんです。服も汚れて可愛そうなので……どうかここを通して下さい!」

「何を言ったって駄目なものは駄目だ。さぁ帰った帰った」


 冷酷だ。あまりにも冷た過ぎる。氷に塩かけた奴より冷たいぞこれ。


「なぜですか! ここを通して下さい!」

「いいんだよ光喜! 服ならどこかのお店で買うしわざわざこの星の王様に会いに行くのもちょっと勇気いるし……」


 初っ端から呼び捨て……!? 夏目って人との付き合い方の「つ」の字も知らないんじゃ……?

 いやいや、こんな如何にも高校生ですって言う見た目してそれはない。多分。


「そんなこと言ったってお前お金持ってないだろ。俺も金持ってねえし。それに陛下はそんなに怖くないし優しいから大丈夫だって!」

「それもそう……なのかな?」


「何を勝手に話を進めているんだ。何したって駄目なもんは駄目なんだよ」

「そんな……」


 何かいい案は無いのか?ここを突破ァ! ってする方法……


「アレを俺に見せたら通してやらないこともないぞ?」

「アレ?」


「神石だよ。ま、どうせ神石なんか持ってる訳」

「はい」


 ん? こいつ俺が神石貰ったの知らないのか? 多分、魔法を撃っただけで貰っているとは思ってなかったんだろうな。


「え?」

「これだろ。神石って」


 俺はドヤって神石を見せつける。その時夏目は神妙な面持ちで神石を見ていた。


「あっ(察し)」


 護衛はスーっと、ドアを開け、「こちらへお通りください」と頭を下げた。


「察しが良くて助かるよ。よし、行こうか」


 何だよ俺、急に女友達が出来たからってカッコつけんなよ!

 友達というか仲間だけど。


「うん!」


 〜城内 玉座の間〜


「おお、戻ったか光喜よ。それとそこにいる地球人は誰だ?」


 陛下が夏目に指を差す。おい失礼だろう! それなら俺を差せ!


「えっと……はじめまして! わ、私は小川夏目って言います! よろしくお願いします!」


「夏目よ。お主、服が汚れているではないか。一回着替えてみてはどうだ? 地球人用の服もこちらにたくさん置いてあるぞ」


 なんてバリエーションが豊富だこと。


「え、いいんでしょうか?私みたいな人が着て」

「何でも着ていきなさい」


 じゃあ俺もついでに着替えようかな。


◇◇◇◇


 やっぱり俺に服を選ぶ才能は無く、選べずにそのまま戻ってきてしまった。く、ここでも陰キャ発動かよ……


 そして夏目はという、「ジャジャーン!」と、服を見せて来た。あれか?最近の人気コーデって奴。

 道端に落ちてた何社かは分からんけど新聞でチラッと見たがこんな感じだった気がする。

 名前は分からんが兎に角めっちゃ可愛い!!!


「どう?似合ってる?」


「あ〜女神を見ている気分だ……」と、思ったがどうやら口に出てしまったらしい。やってしまった。


「め、女神!? う~もうっ光喜のバカっ!」


 肩をぺシッ、と叩かれた。

 気持ちが顔に出やすいとは言っても、心の声が漏れてしまうなんてこの頭どんな構造してやがる……でも何か照れてるな。じゃあ喜んでるみたい? だし良いか。


「ハッハッハ、仲が良いみたいだな」

「うぅぅぅ」


 だ が そんなほんわかムードをぶち壊すかのように兵が玉座の間に扉を思いっきり開けて入ってくる。


「陛下! スライムの群れが首都トアハイトに向かっています!」


「スライムだと? なぜ余り攻撃的ではないスライムが急にそんなことを……住民は大丈夫なのか?」

「はい! もう多くの民が避難しております!」


 俺は思った事を率直に訊いた


「へ、陛下、この星にはスライムがいるのですか!?」


 スライム!? 本当に剣と魔法の世界みたいじゃないか!これは今すぐにでも外に出たい!!!


「地球にはいないが他の星には大抵いるぞ」


 大抵の星にいるのか!? 生命の可能性ってすげぇな……

 んでもってスライムかぁ~。どんな見た目なんだろう。ゲームしてたからだいたい想像つくけど。


「そうか……よし出撃命令だ。光喜、お主も行くのだ」

「了解しました!」


 ……とは言ったけど、具体的に俺は何をすればいいんだ? 天才とは言われたがまだ魔法の初心者だぞ?

 剣は少し位剣道が役に立ちそうだがそれ以外はただの足手まといだろ! でも、地球に帰るため、地球に帰るため!


「わ、私も行きます!」

「そ、そうか……」


 反抗してもどうせ説得させられそうだしな……


「光喜よ、ご武運を祈っておるぞ」

「はい!」


 〜首都 トアハイト〜


「見て光喜! スライムがいるよ!」


 スライムがいる、と指を差している方を見ると確かにいる。水色でぷにぷにな見た目は、思わず誰でも食べたくなるだろう。


「ホントだ! ゲームで見たまんまだな〜。攻撃してくる様子はなさそう、だな。良し、一回高い所に行ってどんな状況か確かめるか!」


 ◇◇◇◇


「ここなら見渡せるだろう……!?」

「どうしたの? 光喜」


「スライムって物理攻撃しかしてこないよな」


 俺の常識が今覆りそうだ。しかもスライムの。


「そのイメージではあるけど……それがどうしたの?」

「いや、な、スライムがさぁ、」


 『魔法陣展開してんだよ』 

「え? それって……」


スライムの長「全軍砲撃よーい!」


「遠距離攻撃だ!」

「撃てー!」


 岩は俺等の言い分を聞く耳を持つ訳もなくただ散々と降って来る。

 おいおいこれ流石に無事じゃ済まねぇだろ。初っ端からこれかよ。


「対魔法防御バリア!」


 間一髪の所で誰かが助けてくれた。バリア……? に岩が当たって物凄い衝撃音が鳴る。


「気をつけないか光喜殿! 相手は突然変異した魔物だ! ほら、早く立つんだ!」

「は、はい! 夏目も……ほら! 立とう!」


 と、手を差し出す。初めてで、少し緊張して手が震えるが。


「ありがとう」


 割とすんなり夏目は俺の手を取って立ち上がった。今日は初めてが多くて疲れるなあ。


「そう言えば突然変異……? ってなんですか?」


「突然変異っていうのは魔物が繁殖を行った際に異常な魔物が産まれる事で、それが繁殖してしまうとこうなる」


 スライムなんて簡単に増えそうだもんな。無性生殖で分裂して増えるんだろうな。うわー無性生殖とか懐かし、やったなーそんなの。


「それと対魔法防御バリアというのは?」

「それは、俺が作った魔法なんだぜ!」


 おースゲー、ばちこりカッコつけてんな。でも実際魔法を作るなんて実際すげえな。


「魔法って作れるんですか!?」

「そうだ。凄いだろう?」

「はい!」


「ねえ光喜、後ろにスライムがいるんだけど……」

「お! じゃあ俺の魔法の出番だな! 創造魔法『火』!」


 魔法陣から出た炎はスライムを飲み込んで轟々と燃える


「よっしゃ一体やりー!」


 火の煙が消える。だが、そこにはプルンとした球体がまだ残っていた。


「なんでまだ生きてんだよ!?」


神石について①


 神石は生まれつきか特定のダンジョンをクリアすることで使用する権利が得られる。魔物は突然変異で神石なしで魔法を撃つことができるようになる。詠唱、無詠唱による効果の変化はない。

 使い続けると使える回数が少しずつ増える。神石で神石を創造することはできない。また、神石を使えば魔法やスキルを作り出すことも可能。

 だが魔法を六つ以上作ると神石に負担がかかりすぎて消滅してしまい、その神石で作った魔法についての記憶がすべての人から削除され、作った本人は一日魔法が使えなくなる。

 これは神石の鉄則であり魔法などで解除することは不可能。


「なぁ、今俺スライムに当てたよな?」


 スライムって普通序盤のキャラだし一発で倒せるもんだよな……?


「はい! 私も見てました! 間違いないです!」

「これはもしかすると相当ヤバいかもしれない……」

「どうしてですか?」


 突然変異してるんだし、大体理由はそれか。


「恐らく魔法が効かない理由はスライムが魔法を使える事と何か関係があるはず……なるほどそういうことか……」

「何か分かったんですか?」


 非力なこの星の住人でも知能はしっかりあるみたいだ。


「多分こいつらは知能を持っている。そして魔法が効かない理由は……こいつらが魔法を作り出したということだ。そしてその魔法の効果は恐らく対魔法防御だ。突然変異ってこうも極端に強くなるものなのか……」


「スライムってそんなに頭がいいんですか?」


 RPGだと体当たりしかして来ない位能無しだけど……


「いや、そんなはずはない。スライムは脳がないし誰かに操られているわけでもない。やはり突然変異が原因か」


 あ、能以前に本当に脳が無いんだ。へえ〜。


 「じゃあどうすれば……ん? あれは……」と、遠くの方を見る。誰か闘っているのか?


「この攻撃力増加のバフをつけた今の俺なら倒せる! うおおおお!」


 それでも剣が弾き返されて折れる


「な、何で死なないんだよおおお! ウワアアア!」


「クソっ! どうしてこんな事に!」

「なんて事だ……もしや対物理防御の魔法とかいうのも持っていたり……」


 流石に身に危険を感じる。これは、早急な対処が必要になる!


「光喜! このままじゃ皆スライムにやられちゃうよ!」

「あぁ、どうにかしなくちゃな……魔法を作ったスライムに対抗する方法は……魔法を作った……? あ!」

「どうしたの?何か良いことでも思いついたの?」


 そうだ、いい事を思い付いてしまったのだ! これはかなり悪魔的だぞー!


「スライムが魔法作れるなら俺だって魔法作れるのでは?」

「出来るの?」

「分からない。でもやって見る価値はある」


 そうそう、どっかのテレビ番組で言ってた。やってみなくちゃ分からないって。


「でも相手は鉄壁の守りがあるんだよ?魔法も物理も無意味だと思うけど……」

「単なる魔法じゃない。スライムにだけ効果抜群の対スライム魔法を作ればいいんだよ!」


 これが悪魔的と言う理由だ! まさにスライムの天敵! 人間はずる賢いなあ〜!


「そうゆうこと!? でも魔法でしょ? 本当に効くのかな~?」


「一か八かだ。やってみるしかない!」


 えーと、こういうのって異世界アニメだと魔法陣的なのを開いて……


 どこにも魔法陣が無くて内心少し焦っているといきなり魔法陣が現れた。脅かすなよ。


 お、これか。そんでもって、何だ?選択肢が4つある。魔法構築、スキル構築、魔法強化、スキル強化。

 えーと俺が創りたいのは魔法だから……魔法構築を選択、かな。

 対スライム魔法は検索しないと出て来ないかな?


 検索マークと入力欄がある場所をタップし、入力する。何で日本語なんだ……?

 まあいい、『対スライム魔法』検索っと!


 お、出て来た! それじゃあ構築開始!


 NOW LOADING……


おし! 100%になった!


「魔法陣展開! 対スライム砲、発射!」


 これで、倒せたらいいが……


「いっけぇぇぇ!!」


 白い光が町全体を包んでいく。流石にスライム以外に影響出たりしな、い、よ……な……


 魔法を撃ち終わると見事にスライムだけが綺麗さっぱりいなくなっていた


「やったー! やったよ光喜! あれ? 光喜? どうしたの? 大丈夫? ……気絶、しちゃったのかな」

「まぁ対スライム魔法だから街に被害はなかったからとりあえず一件落着だな。さぁ、とりあえず光喜殿を王城へ連れていかないとな」


「そうだね」


 〜こうしてこの事件は幕を閉じたのであった〜

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