0-9.惑い
豆知識:貴也の身長は182cm、結衣の身長は166cmで、二人共黒髪。貴也と結衣が今使っている剣はどちらも大業物らしい……
「うわぁぁぁ!!!」
結衣もこちらに振り向いてこう言う。
「うわぁ! 何何ソイツ!?」と、後退りするが俺も突然の出来事で後退りをしてしまった。
が、骸骨!? いつ出て来たんだ!? それに、骸骨なんてこの世に居るはずが……いや、そんな常識は捨て去れ俺。ここは異世界、何があっても不思議じゃない。
死体は歯をカタカタ言わせてこちらに向かって来る。
「この剣の強さも、見させて貰うとするか」
「お兄ちゃーん! 負けちゃ駄目だよ!」
「分かってる分かってる」
なんてったって、俺は勇者なんだからな!
ガイコツは相変わらずカタカタと歯を鳴らしている。
「さっきから五月蝿ぇよ!」と、若干怒り気味に言いながら剣を振り下ろした。
骸骨は剣を振る間もなく真っ二つになった。
え!? 雑っ魚……もうちょい苦戦すると思ったら全然余裕なんだけれども。
もしかして俺、強いのか? それとも「剣豪」とこの剣の切れ味が良すぎるのか………?
そう思っているとまたアナウンスが入った。
《スキル「ソウルブレイクⅠ」を獲得。所持スキルに追加します》
ソウルブレイク? 何だそれ。
《スキル「ソウルブレイク」。対象の体内エネルギー、魔物の場合は魔力を一定量破壊。対象の敵意損失を図ります。また、このスキルは常時発動します》
ふ~ん、中々便利なスキルだ。Ⅰというのはレベルの事か?
と、一人で考えていると結衣が俺を呼んでいる事に気付いた。
「お兄ちゃんこっちにも骸骨が!」
振り向くとさっきの骸骨と全く同じ見た目の魔物がいた。見た目が同じなら、強さも同じだろう。
「結衣! 今度はお前がやってみろ。多分また同じ敵が出てくるから、二人で協力するんだ!」
少々強めに言ってしまい、結衣は少し驚いて「えぇ!?」と言って慌てていた様子だったが、すぐに顔が真剣になり、「私、頑張る!」と闘う気になった。
「私だってやるときはやってみせる! 刀なんて持った事はないけど、それでも私はお兄ちゃんの為に闘うの!」
「とりゃぁぁぁ!」
骸骨は剣で受ける。が、どうやら結衣の刀の切れ味には敵わなかったらしい。
次の瞬間には剣もろとも骸骨が綺麗に真っ二つになった。
「た、倒しちゃった……」
骸骨は煙になって消えて行く。俺はすかさず結衣に声を掛けた。
「結衣 !凄いじゃないか! 怪我はしてないか? していないなら、ちょっと俺に付いて来てくれ!」
「う、うん!」
俺は結衣を高めの丘に案内した。
◇◇◇◇
「結衣、アレが見えるか」
「うん。ハッキリ見える。ホントは見えて欲しくないけど……」
「でも、見えた物は仕方が無い。アレと闘う準備をしないとだな」
何が見えるかって?そりゃあ勿論、骸骨の大群に決まってる。
100はいそうだな。まだかなり遠くにいるみたいだしこっちに来るまで時間が掛かりそうだな。
これは……多勢に無勢すぎる。いやいや! こっちは強くて相手は雑魚。それはさっき闘って良く分かった。だからかなりの格差がある筈だ。負ける訳ない!
ガイコツを見ながらそんな事を思っていると結衣が口を開く。
「お兄ちゃん。今あの骸骨達に出来る事ってないのかな?」
「今出来る事? そうだな……こっちからだと近距離攻撃は出来ないから遠距離攻撃、か。遠距離攻撃といえば……あぁ! 魔法があるじゃないか!」
「魔法……! そうだよ魔法だよ! 何で今まで忘れてたんだろう?」
「だな! そうと決まればやる事は一つだ」
「水爆 圧縮型ボール 発射!」
「水爆 圧縮型ボール?」
「まぁ細かい事は気にするな」
ここで一時停止。
水爆 圧縮型ボールとは、まず、水爆の元となる水と火を混ぜて、水爆にする。
その後、水爆を空気で圧縮してボールにする。(何か圧縮させるポーズをしたら何か小さくなった。……原理は良く分からん)
これで完成だ! 敵に投げて粉砕してあげよう!
◇◇◇◇
「さて、どのくらいの威力を発揮してくれるかn」
言い終わりそうになったタイミングでとんでもない爆発音が耳を劈き、爆風が体に吹き付ける。
死んでしまう……自分の攻撃で死んでしま……あれ? 熱くないぞ?
「な、何で爆風をもろに食らって何ともないんだ……?」
「もしかしたら、敵に対してだけダメージが入る……とか?」
「んー、そういう物なのか?」と、若干の違和感を覚えつつも、取り敢えず骸骨がどうなったかが気になるので見てみると驚いた。
まだ半分も生き残っているじゃないか。




