0-8.アンデッドウェーブ
2/2【総合ポイント4達成!】
剣、剣、剣。見渡す限り全てが剣だ。無尽蔵に地面に刺さっていて、俺から1メートル先にも剣がある。
あの宗教施設で拾った剣より見た目も切れ味もこっちの方が良さそうだな。一つだけ貰っていこう。こんな所に人が俺と結衣以外来るはずがない。バレやしないだろう。
でも、結衣が見当たらない。どこにいるんだ?
持っていた剣を捨て、新しい剣を拾い上げた時、背後に気配を感じた気がした。
「だ、誰だ!?」
後ろを振り返ると驚いた事に……
「あーバレちゃった? 後もうちょっとで驚かせれたんだけどなあ……」
結衣がいた。
余りの迷惑っぷりに思わず俺はこんな言葉を発していた。
「俺はお前を心配していたんだぞ!? そんな中俺をビックリさせようだなんて……全く、今の状況分かってて言ってるのか!?」
そう言うと「す、すいません……」と結衣は素直に謝ったので今回は特別に緊急事態という事もあり、許してやった。
「さて、どうした物か。そうだ、結衣も取り敢えず剣を貰ったらどうだ? どうせなら何かに備えておいた方が良いだろ?」
そう言って日本刀らしき青色の鞘とオレンジの柄のコントラストが効いた刀を地面から引っこ抜き、結衣に渡す。
ん? 日本刀? 何でこんな所に日本刀が? いやでもただ日本刀に似てるってだけで別物の可能性はあるか。
「重っ!? 5キロはあるでしょこれ!? ……じゃなくて、それもそうだね。聖女が剣を持つって何かヘンだけど、私だってちょっとは闘って見せるんだから!」
「そう言っていざとなると俺に全部頼るんだろ?」
「ち、違うもん! そ、そんな事考えてないもん……兎に角! ここから出る方法を考えるの!」
慌てているのが見て取れる。まあ、ずっと叱るのも可哀想だ。大目に見よう
「そうだな。じゃあ探索しやすくするために周りを明るくするか」
「月光!」
魔法には光や闇という形のない魔法も可能らしい。異世界ってホントに魔法があって良いよなあ。でも、まだここが異世界って断定は出来ないけどな。
「光ってるよ、お兄ちゃん! これで大丈夫そうだね!」
「おう。これで身の周りの安全は確保出来た。だが、それだけで満足しちゃ駄目だ。他に必要な物は何か分かるか? 結衣」
「えーっと……身の周りの安全が確保が出来たら次は……衣食住の衣と住は何とかなりそうだから、食! 食べ物の確保だね!」
「正解だ。じゃあ、どうやって食を確保したら良いと思う?」
「うーん……どうしたら確保できるかな……」
1分と少し悩んだ末に結衣はこんな答えを出した。
「神石で食べ物を創る?」
俺の考えを正に的中させてきた。やるな。
だが、神石とやらを俺は持っていない。そこだけ残念、外れだな。
「せ、正解だ。良く分かったな」
そんな事を言うと結衣は上機嫌になりやすい。
「凄いでしょ! 私はやっぱり他の人とは違うの! これぞ正に天才ね!」
俺はそっと結衣に合わせて更に褒める
「それは良かった」
「でしょでしょ! お兄ちゃんもそう思うよねー!」
俺は頷いて、結衣が少し落ち着くまで待った所でさっきの話の続きをする
「結衣、話の続きだが……」
「?」
「実際の所、俺等はまだ食べ物を創った事がない。だから、まだ創れる事が確定した訳じゃない。一応考えとしてはこの世の全ての物は原子から出来ているらしいから恐らく成功すると……って、結衣? 大丈夫、じゃなさそうだな……」
「私こういうムズカシイ話分かんないよぉ……」
結衣は少し目眩がしたらしいのでその場に座らせて話を聞いてもらう事にした。
「さっきはすまない。それで、簡単に説明するとだな」
結衣は興味津々で頷きがら話を聞く。
「本当に簡単に言うと、食べ物が創れそうって事だ!」
そう言うと同時に「おぉー!」と結衣が感嘆の声を上げる。本当に簡単に言ったが、それでいいだろうか……
「でも、どうやって創るの?」
「その質問待ってました! と、言う事で、なんと魔法で創っちゃいます!」
そう言うとまた「おぉー!」と結衣が感嘆の声を上げた。
あれ、でもさっき結衣自身その事言ってたよな……忘れたのか?
まあいい、飯だ、飯!
「お兄ちゃん!」「あぁ、分かってる」
「せーのっ!」
「お米創ろう!」「パン創るか!」
『え?』
「お米じゃないの?」
「そっちこそ、なんでパンじゃないんだ?」
「だってパンは水分持ってかれてパサパサして素っ気無いんだもん!」
「いやいや、それなら水とかスープとかと一緒に食べるだろ。米はこういうサバイバル的な状況には向いていない。お椀も必要になるし、コスパならパンが上だろ」
「パンはコスパ重視でしょ? 食べ物は味なの味! お米は噛めば噛むほど甘くなって美味しくなるの! 色んなおかずに合うし、単体でも美味しい。それに比べてパンはずーっと変わんない味で飽きるでしょ?」
「言わせて置けばパンは変わらない味だと? 結衣には分からないだろうがパンはパンで味があって美味いだろ? パンだって色んな物に合うし単体でも負けてない。それに比べて米は味が薄くて物足りないだろ?」
「違うよお米だよ!」
「いーやパンだね!」
「お米!」
「パン!」
「お米」「パン」「お米」「パン」「お米」「パン」
「お米ー!」
「パンー!」
『これよりアンデッドウェーブ第一波が開始されます』
ん? 今何か聞こえたぞ? 結衣が何か言ったのか?
アンデッドウェーブ?
「なあ、結衣。今何か俺に言ったか?」
「え?今のはお兄ちゃんが言ったんじゃないの?」
「え?」
「え?」
『カウントダウン開始。10,9,8……』
「な、な、何か始まってるよ!?」
「お、俺にも良く分かんねぇよ!」
『6,5,……』
「私達どうなっちゃうの!?」
「もう祈るしかないだろ!?」
『3,2,1……』
俺達は目を瞑って固唾を呑んで事が過ぎるのを待った。
『0。アンデッドウェーブ第一波、開始です。ご武運を祈ります』
◇◇◇◇
最後に声を聞いて1分程してやっと目を開けた。それまで恐怖と焦りで動けなかったのだ。
それは結衣も同じだった。そして口にした言葉も同じだった。
「「何処だここ!?」」
来た事のない場所だ。服とか持ち物は……全部あるみたいだ。
周りを見渡す。地面はコンクリートの道路で、ビルが倒壊してツタが生い茂っている。地球に帰ってきたのか? それともここは世紀末の世界か何かか?
でも何か可笑しい。俺と結衣以外に人が一人たりともいないのは何故だろうか。
とてつもない孤独感と恐怖感だ。結衣の方に目を向ける。不思議そうな顔をしているのも頷ける。
瞬きをした。俺と結衣だけしかいないこの空間に新たな存在が目の前に1つ増えたみたいだ。
剣を持ってこちらを見つめる白骨死体だった。
告:光喜がUFOが連れされるまで後59日と17時間




