17.猫と死闘
え!? 何でこんなところに猫が!? 可愛いなぁ!
ナデナデしていいのかな?
《光喜さーん、何を考えているんですかー。そいつ、ボスですよー》
またまたご冗談を〜こんなただの猫がボスとは到底思えないって!
刀を咥えているだけで敵対的なのかも分からないし取り敢えず近づいてみれ
「あー! さっきからうるっさいのだ! ニャーの事を猫猫猫と! あんな下等生物と同じにするななのだ!」
え? 何だ? 誰かの声が俺の脳に話しかけているのか?
目の前にいる猫……な訳あるまいし、一体この声は何だ……?
「聞いているのだ!? ニャーの話を聞くのだ!」
はいはい、聞いてますって。そんで、あんた誰よ?
「やっぱり話聞いてないのだ! ったく……これだから人間を好きにはなれないのだ」
早く名前教えろよ! 今猫のボスと闘わなきゃいけないんだから! ボスじゃない事を願いたけども。
「その猫……じゃなくてボスがニャーなのだ!」
は? 何言ってんだ? 猫が喋るっていうか脳に話しかけて来る訳が……
「猫じゃないのだ! 妖魔なのだ!」
はぁ、お前と話すと何だか疲れるよ……猫が喋るだとか妖魔だのなんだってさ……
「それはこっちの台詞なのだ!」
その時、猫が刀を咥えるのを止めて壁に刀をぶっ刺した。急にどうしたんだ?
「お、お前刀は使わないんだ」
「違うのだ! これはお前が頑固だからなのだ!」
!?
「シャ、シャベッタァァァ!!!」
いや、ね。これを素で使う時が来るとは思ってもいなかった。
「うるさいのだ!」
「猫が、猫がァァァ……」
今まで猫と対峙した時に話せればいいなあ、とか思ってたけど、いざこう話すと違和感パないな……
「はぁ……いいか? さっきお前の脳に話しかけていたのはニャーなのだ」
「ゑ?」
「本当に地球人は頭が悪いのだ……」
てことはコイツ地球人と以前会った事があるのか……
「そうだったんのか! じゃあ名前教えてよ!」
「感情起伏が激しい人は余り好きじゃないのだ。まぁこれから闘う相手。名前くらいは教えてやるのだ」
「はーやーくー!」
《光喜さん……》
猫が何か、立ち上がって二本足で立つ。仁王立ちのつもりか?
凄い偉そうにしてるがコイツは何者なんだ……?
「いいか! ニャーの名はアイツ! 妖魔アイツであるのだ! よーく覚えるのだ!」
「アイツ……覚えた!」
覚えた、けど。すぐ死んだりしたら洒落んなんないな。まだ俺だって長生きしたいんだ。死んでなんかいられない。
「じゃあお前の名前も教えるのだ!」
「お、おう。光喜。霧谷光喜だ」
「ほ~、いい名前だな!」
「猫にいい名前って言われる日が来るとはな……」
まあ、いい名前だ、と言われたのは宇宙人が初めてだった。それに比べたらどうって事ないか。
「あのなあ、ニャーは! 猫じゃないのだ! 何度言ったら分かるのだ……それで、もう闘う準備は出来たのだ?」
「え? ちょ、ちょっと待って! 剣をまだ作ってないから……」
「剣を持たずしてここまで来たのだ……?」
一体化の使い方ミスってここまで来ちゃったなんて言えない言えない……
「何なのだ? 一体化とは、良く聞かせるのだ」
「やべ、しまった……な、何でもない。ただ、丁度ここに来る前に剣が壊れてな。作ってなかったんだよ……」
「そうか、ニャーの聞き間違えか。じゃあ、さっさと剣を作るのだ。退屈は嫌いなのだ」
本当に猫なのか怪しい位に流暢じゃねぇか……まあ、いい。
剣はそうだな、薄くて少し長めのがいいか。それで、軽けりゃもっといいんだが……おし、上手く行った。
「良し、これで完成! これで思う存分闘える!」
そう言って剣を構える。いい感じだ。今の所暫定最高傑作だ。って言っても、まだこれしか作ってないから当たり前だがな。
「あっさり負けたら駄目なのだ! こっちも退屈していたから暇つぶし程度にはなれなのだ!」
「って言って意外とすぐに決着がついt」
*ここからアイツの脳内会話は「」でお楽しみ下さい*
なんて調子こいていると俺は気付かない内に剣で攻撃を受け止めていた。
きっとスキル 剣豪のお陰だろう。ちょっとこれ勝ち目ある!? 俺スキルに頼らないと駄目んなってんじゃん! 実際の実力は下の中って感じだろうなあ……
刀と剣が互いにカチャカチャと音を立てている。鉄と鉄が擦れ合い、火花が散る。時代劇で良くありそうなシーンだ。
てか、猫の癖にどんだけ力強いんだよコイツ!
「ここまで来たならこの位受け止めれて当然か」
口調が変わった。恐らく本気モードとやらだろう。それに刀を俺の剣に押し当てる力だけで浮いている。
さっきも言ったがどんだけ力あんだ? だが、
「俺を舐めても容赦はしない!」
「そのようだな」
一旦距離を取り、そしてまた鉄の棒を互いに死に物狂いでぶつけ合う。これが殺し合いか。楽しいじゃねぇか!
上下、左右と目に見えないスピードで闘っている、が何となく感覚で闘う事が出来た。多分スキル 剣豪が無ければ俺は死んでいたな。
俺の目は何も見えちゃいないし、脳は何の処理もしてくれてはいないが、しっかり体だけは追い付いてくれている。絶対そんな闘い方は無茶だって言われそうだな。
互いに距離を取る
「これで決めさせてもらう!」
「来い! アイツ!」
「妖魔刀技第三ノ術・炎天下降陽!!! これはニャーの渾身の一撃、人間の目には留まらん!」
くっ、確かに見えない。何が起こっているのかさえも理解できない。だが、そんな壁があったとしても、俺にはスキルってのが、付いているんだ!!!
「未来視!!!」
スキルの中にあったスキル 未来視。きっと未来が少しだけ分かるのだろう。と思うとやっぱり分かった。
アイツが消えた。だが分かる。見えちゃいないが分かるんだ。感じゃない。これは確定された決定事項。この未来は、揺るがない!
「上だ!!!」
「もう遅い!」
「いや、まだだ。変形魔法 剣 ロングソード!」
俺はそう言うと剣を創造魔法で伸ばす。機転だけは昔から利くんでね……
「何!? 剣が伸びただと!? ま、不味い! このままだと剣先が刀にぶつかってしまう!」
だがもうニャーは攻撃に入っている。今更攻撃を止める事は出来無い。もう、賭けるしかない!
「行けぇぇぇ!」
「俺の勝ちだぁぁぁ!」
キーン、と音叉のような、超音波が出る鐘でも叩いたかのような綺麗な音が階層全体に響き渡る。そして、刃がクルクル回って次第に地面に突き刺さった。
「もう少しお前の剣が伸びるのが遅かったらニャーの刀は折れていたかもしれなかったな。やるじゃないか、光喜」
その言葉を最後に俺は血反吐を吐いて突っ伏してしまった。全身が痺れて動けない。麻酔銃でも刺されたか!?
何をされたかは分からない。それに、アイツも不思議そうな顔をしてこう言う。
「剣を切っただけなのになぜ血を吐いてそこに倒れているのだ?そう言う趣味か何かなのだ?」




