13.名付けツルハシ
もう嫌だよ。頭痛いし……でも、そんな事考えたってどうにもならない。だから……
「ここを出たら、働けるんですね」と、言いながら立ち上がる。
「え? こんな早く泣き直る奴いるのかよ……普通はもっと……」
「ここを出れば、働きに行けるんですよね!!!」
「え!? あ、おお。ここの門を通れば発掘場だ。だが、何故そんなに普通にしていられる? それを教えてくれないか」
「そんなの簡単だ」
『ここで強くなって復讐するからだ』
一瞬時が止まった。最初に口を開いたのは門番だった。
「は!?」
「それじゃあ、俺は初仕事に行って来る」
「え、ちょ、ちょっと!? 新人!?」
そうやって俺はツルハシを持って門をくぐり、外に出た。
「ここが、外……!」
見た限り一面が黄土色の土で覆われそして目の前には……
「おらっ! おらっ、はぁ、っはぁ。疲れる……」
カン、カン
「クソっ、サボりたいけどこの奴隷紋のせいで逆らえねぇからなぁ……よいしょっと!」
カン、カン
「人だ……それも、沢山……」
横を見ても何処から続いているのか分からない人の長蛇の列が見えた。
こんなにも沢山の人がここで働き続けているのか……
《紋章の效果が発動します》
え? アナウンス? 紋章? ああ、奴隷紋の事ね。で、でも效果って一体……
カン、カン!
「ん? 何だ何だ!?」
急な金属音にビビって情けない声が出てしまった
「ん? おい! 新入りが来たぞwww」
「あーまたアレが見れるのかwww」
アレ……まぁ良く分からんが今俺は仕事場にこの奴隷紋とやらの力で自動転送されたらしい。
さあ働こう! お、後ろには神石を入れるトロッコか。で、その隣には疲れた時用の回復ポーション的なのが置いてあると。
かなり良い環境で働かせてくれるみたいだな。そういや給料的なのは……無いか。
でも、働かなかったら奴隷紋にナニカをされてしまうからな。
「良し、試しに一回掘ってみるか」
「お、掘るぞ掘るぞwww」
ん? 何だこの人。やけに俺が掘るのを楽しそうにニヤニヤとしてるじゃないか。まぁ良いや。
「よっこらせっ!」 と、ツルハシを振り下ろしてみた。だがそれがどうだろう。
カン、という綺麗な音は鳴った物の、その綺麗な音を代償に、ツルハシがポキっと折れたのである。
「アハハハハ!!! やっぱ面白ぇwww」
「これだよこれwwwマジで最高www」
成る程……そういう事か。困った物だ。
「アーハッハッハwwwあんなへっぽこツルハシじゃあこの土は掘れる訳ねぇのによぉwwwおい新入り! よーく見とけよwwwこれはな、名付けツルハシじゃなきゃ掘れねぇんだぜ?」と、言って固い地面を掘っている。
おお、確かに掘れてはいるなあ。俺も明日やってみるか。
その日はツルハシが折れてしまったので何も出来ず就寝した。
次の日、俺は新しいツルハシを貰い、早速名前を付ける事にした。
えっと〜……ツルハシだから……ツル、ツル……鶴?
あーもう鶴子でいいや鶴子で。
俺がそう思うとアナウンスが流れてこう言った。
《ツルハシが個体名 鶴子に変化しました。よって、鶴子が霧谷 光喜の所有物になります。また、鶴子の全パラメータが3000%上昇します》
何か色々なってこの鶴子が強くなったみたいだな。って! 何か見た目も豪華になってんだけど!?
《はい。パラメータが3000%上昇した事により、鶴子が最上位ツルハシになりました》
3000%…………つまり30倍、強いですねー(白目)てか、アナウンスさん何か口調変わった?
そう思うとアナウンスさんがこう答えた
《い、いえ、これは私の役目なので真面目モードになったまでですから、決してそう言う訳では……》
成る程成る程、じゃあ今後とも宜しくな。
《は~い♪》
と、言った感じで、鶴子がめちゃんこ強くなった訳だが、そういや元々持っていた超石の效果ってまだ持続してんのかな。してたら良いけど、多分してないだろう。
そんな事はさておき、この鶴子の力を見せてもらわないとな。
《紋章の效果が発動します》
あ、またあのアナウンスだ。で、移動したら昨日俺を罵ったあの二人。名前はまだ訊いていない。
「おいお前! 今日は名付けツルハシ、持ってきたか?ま、名付けだとしても雑魚同然だろうがなwww」
もう一人もこう言う
「だな。どうせ、パラメータ10%上昇とかだろwww」
「3000%だ」
だが、何を言った所で信じてもらえる訳ないよな。
「は?30%の間違いだろwww」
全く……ならツルハシを見せれば説得出来るかもしれない。
「これならどうだ?」と、言ってツルハシを二人に見せる。名前は伏せて置こう。
「な、何だそのツルハシは!?」
「情けねぇがこんな美しいツルハシ見た事がねぇ………」
「そうだろう?」と、自慢したくなるような出来栄えらいしい。
「だ、だが、どれだけ掘れるかは分からない。3000%と言うのも嘘の可能性があるからな。さぁ、掘ってみろ!」
「お望み通り掘りますよ、オラッ!」
掘ってみると意外な程に簡単に土を掘る事が出来た。
それもカン、なんて金属音すら出さずボロボロ崩れ落ちた。
「す、凄い。こんな簡単に………」
「こーゆーの見ると自分が情けないぜ………」
おまいら、甘いぞ! 俺はまだまだ効率化を求めるんだ!
だから、俺はアナウンスさんに丸投げ感覚でこう訊いた。
なあアナウンスさん、これってまだ効率化って出来そうか?




