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12.騙された人と番人

「陛下、霧谷光喜が発掘所に送られたとの事。作戦成功、ですね……」


「そうか、それなら次のターゲットを見つけるとするか。いやはや、地球人全員が神石を使いこなせる才能があるのを知らないのは本当に爆笑物であるなwww」


「いかにも間抜けですね」


「そうだな。あたかも自分が特別で神石が使える事が凄い事の様に見せ、魔法を覚えさせてわざと私の顔に向かって魔法を撃って来るように裏で遠隔操作を施し、それを寛大な心で許す私を見て敵では無いと認識させ、完全に油断した所で一気に地獄へ突き落とす。これが実にたまらなく面白いwwwきっとあの番人から話を聞いて後悔と憎しみで発狂してるだろうなwwwあー想像しただけで笑いが込み上げてくるわwww後で ご 挨 拶(・・・) にでも行ってやろうかwww」


「ちょ、お止めください陛下www」


「なんてったって地球人を発掘所に送るよう計画を立て、実行に移したのはこの」


         『私だからなwww』


 〜神石地下採掘所〜


「何だ? あれに書いてある地下神石発掘所ってのは」


 文字がかすれた看板を見ていたら思わず口に出てしまった

 いや、よくよく考えて文字通りの意味だとすればここは地下で神石を採る場所、と言う事か。

 それにしても俺はなんて所に連れて来られたんだ。あの三木隆幸とか言う奴、許さん。

 だが、ここを出てアイツをボッコボコにする事は出来無い。なぜなら何も持っていないからなんだよな。超石も剣も何も無い……

 これじゃあただの普通の高校三年生。じゃなくて引き篭もりの人権無し、か。アイツの言ってた事が本当になっちまったじゃねえか……

 せめて超石さえあればなんとかなるのに……


 そんな事を思っていると俺に向かって声が聞こえた


「おい囚人番号11-11111! 何をぼーっと突っ立ってんだ!? そんな暇あったらとっとと働け! このクソ役立たずの地球人が!」


 ムチを床に叩きつけた音が響く


 うわぁ、怖いよこの宇宙人さん……

 ここでの名前は11-11111なのか。え、ラッキー! じゃなくて! 働く? もしかしてあの騎士団長が言ってた通り一生ここで強制労働をさせられるのか!? うわぁ………最悪だ……


「お前に言ってんだよ お 前 ! 聞いてんのか!?」

「は、ハイッッ!?」


 驚いたので変な返事をしてしまった。普通に恥ずい。腹の底から熱が込み上げてくる。


「とぼけてんじゃねぇ囚人番号11-11111! さっさとこれ持って仕事しやがれ!」


 と、言ってツルハシを床に落とす。自分で拾えって事か。


「は、はい!」


 俺もそれに応えるべく拾い上げる


「仕事、頑張ります!」と言って走り出した。


「囚人番号11-11111! お前の職場は反対側だ!」

「ふぇ?」


 またしても変な声が出てしまった。

 体は火照りに火照っている。通行人がこっちを見ているから尚更だ。


「ふぇ? じゃねぇさっさと走れ! 新人の役立たずが! ったく、これだから新人はよお……ついでに言っとくが、俺に舐めた口訊くとお前の首に描いてある奴隷紋が反応して滅茶苦茶苦しい思いするぜ? ま、それはお前の勝手で俺等は奴隷紋に苦しむ姿を見るのが楽しいだけだかな!」


 ど、奴隷紋!? 何だそれ?


 と思い、首を見ようとする


 ああクソ、角度的に見えないようになってんのか? それか死角にあるとか。

 まぁホントにあったら嫌だし、逆らわない事だな。


 そしてまた走り出す。だがその時


「うわぁ!」


 俺は思いっ切りフローリングの舗装されたピカピカの床で足を滑らせて転んでしまったのである


 頭の後頭部から鈍い音が聞こえた


『!!!!!!!!!』


◇◇◇◇


 俺は激しく悶絶した後、気絶してしまったようだ。

 今日転ぶの2回目だよ!? 嘘だろ……


 と、考えていた所で目が覚めた


「……うっ!」


 俺の後頭部が激しく痛む。触るとたんこぶが出来ているのが分かった。これは全治2ヶ月だな。それにしても痛え……

 そんでもってここまで俺を運ぶだけで治療とかゼロかよ! まぁそりゃあなんてったって俺は奴隷(・・)なんだからな。


 良く見たらここ俺が来たときに目が覚めたベッド(汚い)じゃないか。

 それにしても起きて早々転んで気絶とは中々運が悪いな。


 ベッドの横には柄が木で出来た鉄のツルハシがポツンと置かれていた。

 あ、あの看守のおっちゃん? が運んで来てくれたんだな、きっと。

 治るまで休んで働かないとか俺が処刑されるのは容易に想像出来る。だから俺は働く!


 そう思ってツルハシを手に取り立ち上がる


 うっ! やはり頭が痛い……吐き気もするし、今にも倒れそうだ……

 だが、このまま働かずに殺されるのは御免だ!

 今度は冷静に、しっかりと足を出す。このまま、歩いて現場に向かえば必ず到着する!


 一歩、また一歩と激痛に耐えながら歩を進め、遂に遼らしき施設の出口に着いた。


「ここが出口……」


 目の前にはセンサーらしき物と番人が居る


「おいそこのお前! 見ない顔だな。もしや新入りだな?」

「はい、そうです……今日から働く事になりました……」


「そうかそうか! そりゃあお疲れ様でした、だな!」

「はい?」


 まだ俺働いてないぞ? 今日はゆっくり休めってか? それはご親切にどうも。


「いいか? 新入り。ここはなぁ、陛下に騙された地球人が憎しみを抱きながら働くブラックな労働環境の塊、地下神石発掘所なんだよ!」


 訳が分からなかった。


「はい? 陛下に騙されたってどういう事ですか?」


 頭の傷みなど等に忘れて疑問を番人にぶつける


「毎回この話を新入りにするのは面倒だが、これも俺の仕事だ、いいか? 一度しか言わないぞ? よーく聞いとけよ!」


 俺は耳を立てて話に聴き入る態勢を取る


「陛下はなぁ」


   『地球人が嫌いなんだ」


 今度はもっと訳が分からなかった。


 だって陛下は俺をしっかり人扱いしてくれたし神石だってくれた。番人の言っている事なんて


「信じられるか、だろ?」

「え? 何で俺の考えている事が……」


「地球人の侵略もあったが、一番はそれが、陛下のやり方だからさ」

「はい?」


 何も分からなかった。どうでも良くなりそうだった


「地球人を上げて落とす、それが陛下のやり方だ。これで解ったか?」


「そ、そんな……あの騎士団長とやらが俺をここに連れて来たのも、殺人を犯した事を俺になすりつけたのも、全部陛下が計画してやったことってのかよ……」


「そうだ。お前は陛下にまんまと利用されるがまま、という訳」

「嘘だ!!!」


 いつしか俺はツルハシを投げ捨ててそう叫んでいた


「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ! そんな訳ない! だって、あの俺への対応や優しさが嘘な訳ない! 俺は信じない!俺は」

「黙れ!!!」


 その一言で、俺ははっとした


「俺はお前みたいな奴を何度もこの目で見てきた! そしてお前みたいな事を言って叫ぶ奴も見てきたんだ! だからもう諦めろ。諦めてくれよ……」

「そんな……」


 俺は膝から崩れ落ちてしまった。何かがプツンと切れた気がした。


「いや、でも何かの間違いじゃ」

「お前は騙されたんだ! お前にはもう地上に戻ったとしても生きる価値が残っていない! いい加減それを認めろ!!!」


「そんな、嘘だと、言って……くれよ……」


 騙された悔しさと王にまで突き放された悲しさと憎しみが混ざり合った涙が流れた。そして『激怒した』

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