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第92話

ビャッコはボクが寝ていた洞窟の近くに住んでたんだ。ボクはほとんど寝ていたから洞窟にボクが居たって事をビャッコは全く知らなかったらしい。


他のモンスターに出会うのは久しぶりだったからついついビャッコにお喋りし続けちゃった。いつもはボクが話を聞く側だったのに。


話しかけてきたあの村の子供も、話しかけてきたあの森のモンスターも、今のボクと同じように気持ちが高ぶっていたのかな?ってその時思ったよ。


たくさんたくさんたくさん話すとね、スッキリしたんだ。口が少しパサパサしちゃったし、どう話したらずっと聞いてくれるかなって考えながら話をしていたから頭は疲れてたけど、もうぐったりと眠い気分にはなってなかったんだ。


ストレス発散?そっか、モナちゃんの言う通り、そのストレス発散ってやつだったかもしれないね。


色々話したら今度はビャッコが自分の事を色々話してくれた。そこの一面の雪はビャッコが降らせたんだって。スゴいよね。ボクは走ることばっかりだもん。


それでねどうせ暇だからって、ビャッコに魔法を教わったんだ。と言ってもこの速さを生かす魔法しか出来ないんだけどね。え?今度見てみたい?そうだね!見て!


そういえばまだモナちゃんにはサルの時のボクぐらいしか見せてないよね。あの時はそんなに速くなかったから、今度バビューンってスッゴい速いの見せてあげる!楽しみにしてて!


それでどのくらいだったかビャッコと一緒に居たんだけど、ビャッコはその場所から旅立つって言い出したんだ。ビャッコはそこに生まれてからずっと居たわけじゃなかったから他の場所も知ってはいたけれど、人間や別のモンスター達やキングオーガみたいなものは見たことがなかったんだって。


もっと色々見てみたい。ボクも同じ意見だったけどボクはまだ少し怖かったんだ。だからビャッコとはその時はそこでお別れしたんだ。


モンスターってなんだろう。

人間ってなんだろう。

動物ってなんだろう。


ボクってなんだろう。


ボクはね、生まれた時のことはわからないけど、ボクがボクだと気づいた時、それはもうボクだった。それはわかってたけど、答えが欲しかった。でもでるわけなかった。


ビャッコが去ってからも当分の間は洞窟で暮らしていたんだ。雪がほとんどなくなってもずっとずっと住みつづけた。もう洞窟はボクの家になっていた。


心はすっかり穏やかになっていたから眠り続けなくはなったけど、やっぱりひとりでいるのは少し物寂しくなっていった。物寂しいのにひとりでいたい。


矛盾してるけどそれがその時のボクだった。


ビャッコみたいなツッケンドンしてる押しても押されない性格のがいればまた違ったんだろうけど、ビャッコも旅立って大分経っていたし、モンスターなんてなかなか現れる場所ではなかったから、少し後悔もしていた。


そして長いこと同じ場所に居続けたせいなのか洞窟にやってきた者が現れた。傍らにはモンスター。しかも動物からはかけ離れている。どうやって動いているんだろう?それはゴーレムというモンスターだったんだよ。


そのゴーレムの隣には人間。人間とゴーレムが仲良くボクを訪ねて来たんだ。強そうなモンスターが住み着いてるってなぜか噂になってたんだ。その辺りは見晴らしが良かったから前から人間にボクがココに居ることは知られていたらしい。


だからこそ誰もこの場所に近づこうとはしなかった。だからずっとボクは静かに過ごせたんだ。そのゴーレムとゴーレムの隣の“男”はボクに仲間にならないか?って言ってきたんだ。


もちろん返事なんてしないで逃げたよ。初めて会ってすぐにそんなこと言ってくるやつなんて今まで居たことがなかったからね。逃げるが勝ちさ。


居なくなったから諦めたと思ったら数日後にまた現れたんだ。洞窟だとバレバレだからいつもと違う場所で過ごしてたのに、あのゴーレムが優秀らしくてすぐ見付かっちゃったんだよ。


逃げて、見付かって、逃げて、見付かってを何回も何回も繰り返した。めんどくさくなって結局また洞窟に戻ったんだ。とりあえず話を聞くことにした。もちろんボクは聞くだけ。


男はひとりで喋りつづけた。


男は“テイマー”と言った。モンスターを仲間に出来るらしく、仲間に出来ると自身も少し強くなれるらしい。仕組みはわからないけど力をお互いに分け合えるらしくて、男は強い仲間を探して旅に出ていた。


旅。ビャッコも行ってしまった、旅。ボクが走り抜けるのとは違うって聞いて不思議だった。そんなにゆっくり移動してるのに楽しいらしい。しかも疲れるんだって。疲れが楽しい。その時は聞いても意味がわからなかったよ。


モナちゃんはわかる?スゴいなぁ。ボクは疲れるのが楽しいってのがわかるまでかなり時間がかかったんだ。うん。あのね、結局ボクはその男達についていくことにした。


ボクが人間の言葉が喋れると知ったらゴーレムの通訳を頼まれた。だってね、ゴーレムは“ウゴ、ウゴ”しか言わなかったんだよ。なのに今までジェスチャーだけでどうにかこうにか一緒にいたらしいんだ。


そっちのほうが断然スゴいと思うけどなぁ。でも男はゴーレムの本当の心が知れた!ってとっても喜んだ。ゴーレムと男が楽しそうにしてたらこういうのも悪くないなって思ったんだ。


その後も男はゴーレムとボク以外に仲間を増やしていった。そして男達と色々な場所に行った。男は人間の住むところよりもモンスターがいそうな森とか、僻地を行くのが好きみたいで町とか村とかにはあまり立ち寄らなかった。


何年も何年も男達と過ごした。でもある日男は病気になってあっけなく死んでしまった。

明日更新分でテンクウちゃんの語りラスト?かも。


クリスマスイヴですね!メリークリスマス!

(*ノ゜Д゜)八(*゜Д゜*)八(゜Д゜*)ノィェーィ!

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