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第91話

テンクウちゃん語りその2。



(・ェ・`U)

そこの町は壊滅した。ボクはただただ見ていた。


キングオーガというモンスターたった一体によって壊滅したんだ。えっとね、たしか大きさは大人3人分ぐらいの高さだったように見えたよ。町は壊滅してしまっていたし、建物もキングオーガと同じぐらいのものが多かったから壊滅してしまってからは、遠くからでも何をしているのかすぐにわかった。


町が炎に燃え、なにかが焼ける臭いが舞う。ボクの記憶の中で一番臭くてたまらない、そんな町になってしまっていた。町自体にほとんど入ったことがなかったボクは壊滅した後の町しか知らなかった。


けれど、そこでうごめく人間だったものを見て、その前にいた集落だったあの村を思い出した。それを見るまですっかり忘れていたのに、その人間だったものを見て、お腹の奥から酸っぱいものが込み上げてきた。人間だったものは時間が経つと自然に動かなくなった。


ボクはその時はじめて“死”を理解した気がする。


共食いだって死なのにね。おかしな話でしょ。でもね、その人間だったものを見なかったらボクは死をわからなかったんだ。


キングオーガは“共食い”をずっとしていた。キングオーガより強いやつなんていなかったから、もう“共食い”と言う名の“モンスター食い”ではなくてただただ(むさぼ)っていた。モンスターも人間もなんでもかんでも。


町は壊滅したけれど、人間は少しだけ生きていた。その中にとても強い人間が数人いた。そいつらがキングオーガをとても長い時間をかけて殺すことに成功した。ボクもキングオーガに少し怪我をさせられたからその時は強かった人間に感謝したんだ。


でもね、ボクもあのキングオーガと同じモンスターだと知ると襲ってきた。そしてその強い人間達は言った。


『全てのモンスターと動物をこの場所で1匹も逃がさずに殲滅するべし!』


その後どうなったのかはわからない。だってボクは死にたくなんてなかったから、久しぶりに風のように走ったんだもの。


たくさんたくさん走った後、ボクはまたどこかの村にいた。そこは畑がいっぱいあって食べ物に困っていないとてもゆっくりとした時間が流れた村だったよ。とても穏やかな村だった。


そこでボクは知ったんだ。動物って奴らは人間と一緒に暮らしているのもいるってことに。あのモンスターの森の事を思い出すには充分だったよ。


だってあの森にいたモンスター達は森に住んでいた。そして森を削られて追いやられていた。けれど、その村では動物達は追いやられることなく一緒に暮らしていたんだから。


ボクはそれを見て動物のマネをして少しの間だけど、村で過ごした。どうして少しの間だけかって?ちょっと事件が起きたからだよ。思い出すと胸くそ悪い事件が起きたんだ。


ボクはモンスターだ。お腹も全然っていうほど減らないからある程度食べなくても生きていける。強い体を持って、強い力を体に宿している。でもね、まさかと思うじゃないか。


人間があのキングオーガみたいに動物達を虐殺していくだなんて、ボクは、そんな、と思ったよ。


その人間は、大人だったけど子供はいないみたいだった。そしてその人間はたった1人でそれをやっていたみたいなんだ。ボクがその胸くそ悪い人間に手を出す前に他の人間達が取り囲んでどこかに連れていったよ。


やりきれない気持ちのままその村を去ったよ。だってあの人間達も、あの動物達も、あの森にいたモンスター達とは敵わないくらい弱いのしかいなかったんだ。


あの村の中ではボクが一番強い。そう思っていた。


だけど力が強いだけで本当は心のほうは疲れきっていたんだ。それに気づいていなかった。疲れていたからあの穏やかな村で他の動物のマネまでして居つこうと思ったんだ。


でも事件が起きてボクはそこも去った。走って走って、風になって、今度着いた所はね、あのキングオーガが入っても壊れなさそうな洞窟。そこでほとんどの時間を眠って過ごしたんだ。


だってその時は気づいていなかったけど疲れていたから、とても眠くて眠くて仕方がなかったんだ。


ボクは走るのが好きだ。でも今は眠りたい。

ボクは風になれる。でも今は根っこが生えたように足が動かない。

ボクはモンスターも人間も嫌いじゃない。でも好きでもない。


幾日も幾日も過ぎて、ハアとため息をつくと、そのため息の音がいつもと違って、音が空気に溶けた感じがしなかったんだ。音が変わるのも無理はなかった。洞窟の外は雪に覆われていたんだ。


さすがにボクも空気がなくなったら苦しくなってしまうから洞窟を覆った雪を掘ったよ。掘って掘って掘って掘って掘って・・とうとう(ひら)けた。


雪はその時初めて見たんだ。辺り一面真っ白で、目が痛いくらいに光がキラキラと輝いていた。眩しくて、切なくて、どうしようもなくて、でもそこにあって。


ボクはねそこで久しぶりに走り出したんだ。とっても楽しかったなぁ。走るたびに積もった雪が舞い上がるんだ。そして舞い上がった雪をまたボクが風のように走るから吹き抜けるんだ。


そうやって遊んでいたら『おい』って声をかけられた。誰だったと思う?あのね、そこにいたのはビャッコだったんだ。一面真っ白で覆われた銀世界に1匹の真っ白い猫のモンスター。声をかけられた時ドキリとしたよ。


ビャッコも最初はね仲間と一緒ではなかったんだよ。ボクと同じひとりぼっちだったんだよ。ボク達は出会ったんだ。雪が全てを覆い尽くすその場所で。


『あっちいけ、シッシッ』


他に言うことあるでしょ?って思うよね!ひどくない!?ビャッコって昔からそういうやつなんだよ。


(・ェ・`U)わふっ!


明日も更新予定・・・作りましょ~作りましょ~さてさて何が~できるかな~!はい!出来ました~(あずまんが大王、チヨちゃんの歌)ってくらい簡単に出来たら、いいなぁ。

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