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第87話

ケセランパサラン(仮)ちゃんをベッドにバイーンと置いて、ダッシュで一階に降りた。


「モナちゃん?」


「どっか行っちゃった」


「なになに?」


「きゅーん?」


「・・・・」


セイリューは部屋のドアから階段下を見ようと軽く部屋から覗いているがコエキもテンクウもビャッコも動く気配はない。それよりもベッドに置かれモナに放置された(くだん)のケセランパサランに興味津々だ。


「あの、えっと、あの」


トッタッタッタタと勢いよく階段から足音が近づいてきた。モナが2階に戻ってきたようだ。開口一番、


「違うって!」


「えっ?」


みんなキョトンとするしかない。


「魔王の配下じゃないって!」


「聞いてきたの!?」


ケセランパサラン(仮)ちゃんはビョイーンと少し体を伸ばすように驚いた。階段から2人分の足音が近づいてきた。テンクウとコエキとビャッコは普通の犬と猫を装ったがケセランパサラン(仮)ちゃんは普通に喋ることを止めなかった。


「わふっわふっ」


「すまんなぁ、モナちゃんが変な事聞いでくっから気になってこっちきちまったけんど、アタシらが魔王の配下ってどういうこったい」


「あわわわわわ。でもでもでも、魔王はこの街で生まれたんだよ。モナも見たでしょ?」


「えっいつの話?知らない??」


「んなぁぁご」


「あれっ」


「どれ?」


「なーんか話が噛み合っとらんなぁ。大体魔王ってお話のなかの偽物っていうか、作り話だべ?」


「んだよなぁ。アタイら魔王なんて名乗った奴なぁんて見たことも聞いたこともないべ。見たの本当にモナちゃんだったんかぁ?」


「モナ・・・モナは・・・あっ。」


ケセランパサラン(仮)ちゃんは何かに気づいたようだった。


「まだ魔王。今はまだ。生まれてな・・・かったかも?」


真っ白いふわっふわなケセランパサラン(仮)ちゃんはコロロンコロンとひっくり返って元に戻った。


「生まれてない?」


「未来だったかも」


「みらい」


「みらいって先の、未来?」


「きゅんきゅんきゅん?」


「ぼく、わたし。だって、見たモナちゃん大人だもん」


「「あー。」」


ミギィさんとレフティさんから声が漏れるように出た。


「つまりこのちっこい子は未来から来たってこったね。」


レフティさんが納得するとモナが付け足す


「でね、神様の所から来たみたいなの。神の使いでは無いって言ってるけど神様の所からきた。らしい。そうだよね?」


「たぶんね。」


「ほーん。」


「未来に魔王がでて、それの配下にアタシらがなるってな。」


「それはいつ頃なんだい」


「モナちゃんが大人っつってたろぉ。だいぶ先なんじゃないかぁ?」


「ならまだ安心か」


「んだべ」


「んだか」


「またなんかわかったら教えてくれろ」


「アタシら夕食の仕度しとるから戻るなぁ。出来たら呼ぶから、遊んどき。」


「うん!」


ミギィさんとレフティさんはすぐに一階に戻っていった。


「ミギィさんとレフティさんは恐い人達じゃないよ。ケセランパサランちゃん」


「そ、そうだねー。そっか。そうなのかー。」


「そうだよ。まだ魔王だか、マオさんだか、間男だかしらないけど、マのつく人はいないから安心してよ!」


「まおとこってなーに?」


おっと失敬。聞かなかったことにして欲しい。と言うか流れで普通にミギィさん達戻って行ったけど、神様だとかの話出たら驚かないかな?普通だったな。


私自身もあまり驚いてないけど、結局のところ、見てない物に関しては現実的じゃないんだよね。百聞は一見に如かず。脳処理追い付かないっていうか、“宇宙猫顔”になるよね。おん。って顔。


「そっかー。あの、あの、配下じゃないなら怖くない?」


「怖くないよー」


「よかったぁぁぁ」


ほわわわわわわって毛玉がもっちりムッチリ膨らんだ。なんこれ。なんなん。しょげるとしぼんで、喜ぶともちもち膨らむとか、可愛い。


ベッドに放置していた子は膨らむと同時にほわわんほわわんと宙を漂った。クラゲみたいな動きだなぁ。ほわわんほわわん、ぷしゅー。ほわわんほわわん、ぷしゅー。


ぷっくくく・・・。テンクウちゃんもコエキちゃんもビャッコくんもセイリューちゃんもその動きが面白いのかみんなで目で追ってしまって同じ動きをしている。スマホがあったなら動画撮りたい。撮れるものなんてない。異世界こういうところ不便。悔しいです!


「ねえねえモナちゃん」


「なぁに?」


コエキちゃんが話しかけて近寄ってきた。


「首輪の話してくれた?」


「あっごめん。後でご飯の時にするね」


「わーい。くっびわっ♪くっびわっ♪」


ミギィさん達は“モナちゃんが大人”という言葉で安心してくれたけど、私としてはその言葉は安心できる要素にはならない。


テンクウちゃん達が言うには、魔力があれば私は元の体の私に戻れるらしい。魔力さえ体に馴染んで循環してしまえば大人に戻ってしまう。その未来がいつにしろ、私が大人に戻ればそれはいつだって魔王とやらが現れることになってしまう。


単に今回現れなかっただけでもしかしたらそれが今回のサルの騒動の最中だった可能性だって本来ならあったわけだ。今回は違った。本当にただそれだけだ。


私がこの世界に現れたのは魔王を倒すためとかなのだろうか。なんだろう。めんどくさいな。どうせならそんなのは他の誰かがやってくれと願うばかりだ。


頼まれてもやりたくないけど、誰に頼まれてもいないのだから放置していい案件。で、あることを祈る。


せっかく子供に戻ってしまったのだ。まったりのんびりしていたい。あの日本に戻りたい気持ちもある。でもよくわからないけれど、戻れると思っている。このよくわからないけど核心めいたものも前からずっとあるけれど、不思議と不思議な気持ちもそんなに起こらない。


これも神様かなにかがやったのだろうか。いるのか知らないけれど、ケセランパサラン(仮)ちゃんがそれっぽいのがいるというなら、居るのだろう。それともここは夢の世界だとかいういわゆる夢オチとかいうやつだろうか。


近づいてきたテンクウちゃんの頭を撫でた。


「テンクウちゃんはテンクウちゃんだよね。」


「うん?ボクはボクだよ?」


触れる。ココに来てからのことを思い返す。匂いも味も温度も感じている。夢なら一週間は長すぎる。やっぱり異世界。それに尽きるというか、そこに落ち着くというか。それに限る。それが答え。


「なにか見落としてる気がする」


「「「「?」」」」


みんなキョトンと私を見た。


「モナ。あのね、そのね。」


「あ、ごめん、なぁに?」


「名前付けて欲しいなぁーって。」


ケセランパサラン(仮)ちゃんがぷわぷわ浮きながらそわそわと言ってきた。・・・・・名付け、私下手くそなんだけども。どうしよっかなーーーー。


ゲームとか「ああああ」「いいいい」「たろう」「はなこ」もしくは最初のまんまの私だぞ。


期待した目がこちらを見る。


うーーーーーーーーーーーーーんんんんんんん。こまっちゃーうなぁぁ~名前をせまられてぇぇ~~♪

最後の「困っちゃうな~」は山本リンダさんの歌です。


宇宙猫、って宇宙猫だよねっていう。どう説明したらいいんだ。うちゅうねこ。


この物語は夢オチ作品ではありません。異世界作品です。(一応言っとく)


さらりと流したけど、悔しいです!は芸人さんのネタの悔しいです!の感じです読んでください。読んでくれなきゃ、


悔しいです!Σ(p´;Д;`)q


ちなみに私はゲームではああああもいいいいも主人公にはつけたことがありません。主人公には・・・。うん。



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